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01/25 「死神の友達」 アラルコン
01/23 「神のはらわた」 ブリジット・オベール
01/14 「死の仕立屋」 ブリジット・オベール
01/05 「未来世界から来た男」 フレドリック・ブラウン
08/07 「いさましいちびのトースター」 トーマス・M・ディッシュ
08/01 「青猫家族輾転録」 伊井直行
06/10 「猫は七面鳥とおしゃべりする」 リリアン・J・ブラウン
05/12 「死の蔵書」 ジョン・ダニング
04/27 「小悪魔アザゼル18の物語」 アイザック・アシモフ
04/09 「百万ドルをとり返せ!」 ジェフリー・アーチャー
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2007.01.25 Thu

『死神の友達』 EL AMIGO DE LA MUERTE / LA MUJER ALTA 
 
 著者:ペドロ・アントニオ・デ・アラルコン (Pedro Antonio de Alarcon)
 訳者:桑名一博・菅愛子
 出版社:国書刊行会 バベルの図書館28
   
<感想>
『死神の友達−幻想物語−』『背の高い女−怪談−』の2編からなる「バベルの図書館」シリーズの一つ。
『笑いの騎士団』のコメントでkazuouさんにこの本を紹介していただき、とっても興味があったので図書館で借りてきました。

『死神の友達−幻想物語−』頼れる家族が死んでしまい友人さえもいない不幸な青年ヒル・ヒル。想いを寄せる女性も遠い存在で、自分の立場に悲観した彼は濃硫酸を飲んで死のうとした時に死神が声を掛けてきた!その死神によって幸せな一時を過ごすことができたヒル・ヒルだったが、待ち受けていた現実は・・・。
といった内容なのですが、一体どんな結末が待っているんだろうと読んでてずっと思ってました。愛するものと死神との間、つまり生と死との間にいるヒル・ヒルはどうなる?死神はヒル・ヒルから何を望んでいるの?と疑問を持ちながら読んでいくと・・・
死神から思いがけない事実を知らされる!!この事実を全く予想もしてなかった私は「えっ、えっ?え〜〜?!?!」と椅子からひっくり返りそうになった!
印象に残ってるのは死神が語る<人間とは何か、その存在は何を意味するのか>。そして夢が現実に見え、現実が夢に見えることに対しヒル・ヒルのはどう変わったのか。
まさかこんな結末が待っていようとは・・・。ただ単に不幸な青年のもとにやってくる死神の話かと思いきや、どえらい方向に進んでいき途中からSFみたいな雰囲気になって話のスケールが大きくなっていく・・・。
幻想小説とわかっていながらも、あまりにも奇想天外すぎてかなりインパクトあるストーリー。
各章についてるタイトルのつけ方も好きなのですが、なんと言ってもストーリー展開の意外性に感心しまくり!久しぶりに本を読んでショックを受けました(←いい意味で)。

『背の高い女−怪談−』は・・・『死神の友達−幻想物語−』があまりにも強烈すぎて普通の怪談としか読めませんでした

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2007.01.23 Tue

『神のはらわた』 DESCENTES D'ORGANES

神のはらわた (ハヤカワ・ミステリ文庫)
 著者:ブリジット・オベール (Brigitte Aubert)
 訳者:香川由利子
 出版社:早川書房 ハヤカワ文庫   





<簡単なあらすじ>
内臓をくりぬかれた死体が発見されるという殺人事件が!その事件を担当するのはマルセル・ブラン巡査、ジャン=ジャン警部、そして新たに加わった刑事たち。今回の犯人の奇怪はいかに?

<感想>
『死の仕立屋』の続編で「このミス」のバカミス大賞2007で紹介されてた作品。
マルセル・ブランやジャン=ジャンは前作からの登場。
『死の仕立屋』で続編にすごく期待させる終わり方、そして「このミス」に載ってた<缶切りパパ>というサイコキラーに興味があったのですが前作に比べてちょっとトーンダウンのような。もっと<死の仕立て屋>が前面に出てきて何かやらかしてくれるんじゃないかと思ったりしたのですが、これは私の勝手な思い込みで<死の仕立て屋>の活躍を期待するとちょっと物足りないかも?
しかし前作の<死の仕立て屋>の複数の死体をバラバラに切断し、それを1つの体になるようにつなぎ合わせるという犯罪に負けずと今回の犯人も内臓を取り出すという奇怪な行動をしてくれてます。
前作同様に犯人が誰かを想像するというストーリーではなく、犯行のサイコキラーぶりの経過や独特のオベールワールドを楽しむって感じ。

訳者あとがきで著者が女性だったのにはびっくり!ブリジットって名前を見て読む前は女性なのかなと思ってたのですが、前作を読んで内容的にこれって女性が書いたの?と疑問に思い、カバーの著者の写真を見てやっぱり男性だったんだと思ってました(おいおい、女性の写真を見て男性と勘違いするなんて私ってなんて失礼なやつなんだ)。

『死の仕立屋』ほどは波長は合わなかったけど、どこか気になるブリジット・オベール。気になったあまり古本屋で彼女の著書を一冊買ってしまった・・。時間が出来たら読もうっと。

19:59 | [小説]A-E | edit | trackback(0) | comment(0)

2007.01.14 Sun

『死の仕立屋』 LE COUNTURIER DE LA MORT

死の仕立屋
 著者:ブリジット・オベール (Brigitte Aubert)
 訳者:香川由利子
 出版社:早川書房 ハヤカワ文庫




<簡単なあらすじ>
マルセル・ブラン巡査の担当区域で発見された死体はただの死体じゃなかった。複数の死体をバラバラに切断し、それを1つの体になるようにつなぎ合わせるというとんでもないもの。マルセル・ブラン巡査の身辺も騒がしい中、犯人を特定できる材料がどんどん揃っていき追い詰められた犯人は・・・。

<感想>
「このミス」のバカミス大賞2007で紹介されてた『神のはらわた』に興味があり、読みたいなと思ってたらTakemanさんにコメントで『死の仕立て屋』の続編だと教えていただいたので早速こちらから読むことに。
ヤバイです、この本と波長が合ってしまったかも。
犯人が誰かまわず殺すシーンや死体に対してする行為の描写はちょっと痛いけど、ミステリというよりサイコホラーなのでそう考えると読ませてくれる。

なかなか犯人を見つけれないでいるマルセル巡査たちを横目に、余裕で犯行をしていた犯人がどんどんヤバイ立場になっていく過程や、マルセル巡査の<灯台下暗し>捜査から目が離せない。ストーリー的には面白いんだか面白くないんだか微妙なとこなんですが、エピローグを読んで「面白かったかも」という気になってしまった(笑)。コメディ映画にありそうなユーモアな終わり方が結構好き。同時にこの状況から続編に繋がるんだとわかりやすくていい(笑)。
「このミス」に載ってる続編の『神のはらわた』の解説を読むと(たった9行ですが)、新たな登場人物も増えるような感じで興味が。
テーマソング付きサイコ・キラー「缶切りパパ」の登場が気になるので『神のはらわた』も読まなきゃ。続編も波長が合うといいんだけど・・・。

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2007.01.05 Fri

『未来世界から来た男』 NIHGTMARES AND GEEZENSTACKS

未来世界から来た男
 著者:フレドリック・ブラウン (Fredric Brown)
 訳者:小西宏
 出版社:東京創元社 創元SF文庫




<感想>
第1部「SFの巻」 、第2部「悪夢の巻」からなる短編集。
フレドリック・ブラウンは好きで以前は創元推理文庫は読んでたのですが、創元SF文庫を読むのは『スポンサーから一言』以来の2冊目(といってもかなり前に読んだので内容は殆ど覚えておらず(笑))。
短編の名手と言われるだけあって面白い!SFの巻のしょっぱな『二十世紀発明奇譚』『雪女』『こだまガ丘』からもう好き(笑)。
高校時代に読んだ星新一を久しぶりに思い出した。やっぱフレドリック・ブラウンの作風と似てるわ(私の微々たるおぼろげな記憶でそう思うんだからよっぽど似てるに違いない!)。
※kazuouさんのブログ「奇妙な世界の片隅で」でフレドリック・ブラウンについて詳しく書かれています。

タイトルにもなってる『未来世界から来た男』、いかにもSFらしいタイトルだと思い読んでたらオチはそうきたか・・・。未来では何気ないことでも現代では未だに意味あることということか。未来と過去の見解の違いが痛すぎる・・・。『おしまい』ではその場を時間を逆にすることが出来る機械が単純だけど最高に面白い!!1ページという短さがまたこの『おしまい』を一際面白くしてる。

「悪夢の巻」では『灰色の悪夢』で涙。歳を取るとこう思うのはわかるような気がする。現実的なショートストーリーという感じ。
「SFの巻」はどちらかと言えば楽で始まるのに対し、「悪夢の巻」は哀で始まるのが印象的。途中からは印象がガラっと変わりますが(笑)。
『インド奇術』『熊の可能性』は途中でオチがわかりつつも単純明快なストーリーに「ふふっ」となってしまう。『悪ふざけ』も女ではなく男のおしゃべりは災いの元という感じで面白いが、災いの元の結末は何とも言えない・・。

久々に読んだフレドリック・ブラウンですが、着想が良くてとっても満足♪もっとフレドリック・ブラウンの短編が読みたくなった一冊です。

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2006.08.07 Mon

『いさましいちびのトースター』 THE BRAVE LITTLE TOASTER

いさましいちびのトースター
 著者:トーマス・M・ディッシュ (Thomas M. Disch)
 訳者:朝倉久志
 出版社:早川書房 ハヤカワ文庫




<感想>
昼休みに職場近くの本屋に寄ったら<この夏はどんな本を読もう?と悩んでるあなたに!>と帯に書かれてる文句と表紙の絵に惹かれ購入。
森の小さな別荘で主人に置き去りにされた5台の電気器具たち。2年半も主人が帰ってこないことに不安になる5台は遠くの町にいる主人を探しに出かけるという冒険ファンタジー。
主人の身に何か起こったんじゃないかと心配するトースター・掃除機・電気毛布・卓上スタンド・ラジオが町に出るものの、人間の見てる前では必ずじっとしていなければないないという電気器具の原則があったり、森で花やリスとの出会いがあったりと何とも可愛らしい。
主人がおらず電気器具だけで暮らすという不自然さを指摘したり皆をまとめたりするちびのトースター。他の電気器具たちも自分たちの性能を生かした行動を描いているのはいい感じ。
読む年齢層を問わないこの本、単純なストーリー展開でインパクトは少し弱い感じは受けますが、主人のために働く幸せを頭に浮かべると読み終えたあとはほのぼの感が味わえます。

タイトル「いさましいちびのトースター」はグリム童話「いさましいちびの仕立屋」をもじったもの。
本のカバーに著者近影(?)の写真が記載されてますが、この写真は物語に出てくるちびのトースターと出会う花やリスたちのシーンを思わせるユーモアさが・・・。訳者あとがきを読むと、この他にも多数の小説を出してる作家なんだとか。
ちなみにこのトースターたちの「いさましいちびのトースター火星へ行く」という続編あり。
次作で「〜へ行く」とタイトルにつくとなんだか映画のタイトルみたいだな〜。

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2006.08.01 Tue

『青猫家族輾転録』 

青猫家族輾転録
 著者:伊井直行
 出版社:新潮社






<感想>
主人公は51歳の僕。30年ほど前に亡くなった叔父に対して語りかけてる僕の人生。妻と17歳の長女、そして0歳の次女(この次女についての顛末はのちに語られています)を持ち、小さいながらも会社を経営してる主人公のこれまでの波あり谷ありの人生を綴ったもの。

娘の問題、過去に仕事で自分を裏切った荻田とその元妻の桃ちゃん、自分が経営する会社、叔父さんと過ごした思い出、その頃好きだった女の子の存在などが今現在の自分と過去の自分、そしておじさんが語る話と交差しながらストーリーが進められていくので最初は頭で整理しならが読んでいくことに。今時の娘のようでありながらドライな部分もあり、父親の話をちゃんと聞くところはやはり小説の中の17歳かなと。叔父さんが体験した話も少し現実離れしてはいるけどとても興味深い叔父さんであることは間違いなし。
そんな中、主人公が働いていた会社を辞めるに至っての経緯、そして元夫に対する桃ちゃんの感情ではストーリーに引き込まれるぐらい共感。
しかしこの「青猫家族輾転録」というタイトル、どこからきたんだろう?と思ってましたが、最後の方で娘が描く自分自身を重ねた青い猫の絵を見た主人公がふと口にした荻原朔太郎の「青猫」という詩集からきてたんですね。うーん、このほんの数ページにしか出てこない「青猫」がタイトルに?この詩を思い出して色々考える主人公、わかるような気もしますが正直わからないかも(笑)。

友達に薦められて初めて読んだ伊井直行。名前を聞いた時は思わず「井伊直弼が書いた本だって?!」とベタな事を言うぐらい全く知らなかった著者です
この本を読んで好きな部類か嫌いな部類かとと言えば・・・・・実は好き(なんか恥ずかしい)。
なんでしょう、途中からちょっと夢中になって読んでしまった。淡々とした主人公の語りなんですが、一つ一つの問題を考えると現実的に身近にあること。完璧な解決法を提示する訳でもないのですが、なぜか惹かれるといった感じ。
        
この作品の発表後大幅な改稿をしており<重心位置>が移動されてるそう。新潮に掲載されてた時の内容が気になるところ。

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2006.06.10 Sat

『猫は七面鳥とおしゃべりする』 THE CAT WHO TALKED TURKEY

猫は七面鳥とおしゃべりする
 著者:リリアン・J・ブラウン (Lilian Jackson Braun)
 訳者:羽田詩津子
 出版社:早川書房 ハヤカワミステリ文庫  





<感想>
シャム猫ココ・シリーズの26作目。
いつからかずっと読み続けてきてますが、もうそんなになるのかとびっくり。
なんだろう、まず文章がとても読みやすい。難しい言葉が少なく、遠まわしな表現がないのでスラスラと読めちゃう感じ。
主役はクィララン(クィル、ミスターQ)というものすごい莫大な遺産を相続した元新聞記者。
ムース郡に引っ越したクィラランは<ムース郡なんとか>でコラムを書いており、ポリーというガールフレンドもいる誰からも好かれる聞き上手の男性。
そのクィラランと同居しているシャム猫ココが、何か事件が起こるたびに不可解な行動をし、まるでクィラランに事件の真相を伝えるかのよう・・。

今回はクィラランのガールフレンドであるポリーが、長年勤務していた図書館を辞めてピカックスの町150年祭を目前に新しく出来る書店の経営者になろうかいう最中に起こる事件。
事件についての本格的なミステリというわけでなく、クィラランや周りの人間の日常生活が基盤となっており、その中に事件が組み込まれてるという感じ。
カバーや巻頭にある登場人物は主要人物のみの記載ですが、実際ストーリーの中ではシリーズ通して読んでる人にはお馴染みの人物がちょいちょい登場(過去のシリーズには、これらの登場人物が活躍するのもあり)。
またクィラランの1人芝居や、コラム<クィル・ペン>での執筆するまでの経緯、そしてココともう一匹の猫ヤムヤムを飼うことになったいきさつなど、今までのシリーズを読んでるとわかるようになってます。
はじめからこのシリーズを読んでなくてももちろん大丈夫ですが、クィラランが遺産を相続した経緯から順を追って読んだ方がいいかも。

本格ミステリやユーモアミステリ好きにはちょっと物足りない感じはしますが、深読みしないでも気軽に読めてしまうというシリーズ。
猫のココとヤムヤムの自由奔放な生活ぶりも可愛くもあったり驚かされたり。
強いていうなら、何か目をみはるような意外な展開も期待したいところですが、このままほのぼの系でいった方がこのシリーズらしいかな。

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2006.05.12 Fri

『死の蔵書』 BOOKED TO DIE

 著者:ジョン・ダニング(John Dunning)
 訳者:宮脇孝雄
 出版社:早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫

<感想>
無類の古書好き刑事が、古書に関する殺人事件の犯人を追うといった<稀覯本>をベースにしたストーリー。
ある事柄をきっかけに人生の岐路に経ったクリフは趣味が転じて刑事を辞め古書店主となるのですが、彼の収集は本格的です。
アパートメントのどの部屋の壁も本だらけで図書館の別館なみ。
どの部屋になんの本を配架するのかにもこだわりがあり、なんといっても初版本に対する想いは相当なもの。
著者であるジョン・ダニング自身が古書稀覯本専門書店をしてただけのことはあり、昔の有名作家から現代の作家の著書がこれでもか!というぐらい出てくるので、ミステリ本ということを思わず忘れ、各本の値や各作家の批評めいたものを読むのに夢中になってしまいます。←現代の作家に対しての辛口コメントもなかなかのもの。
もちろん主人公クリフが絶賛してる本もあり(著者の代弁?世間の評価?)、ついついその翻訳本が読みたくなってしまうこともしばしば。
ちなみにクリフが経営する古本屋の名前は、「緋文字」のナサニエル・ホーソーンの短篇集をもじったもの。

ハードボイルド調で殺人あり、宿敵の人物あり、ロマンスありといったありがちなストーリーではありますが、古書をふんだんに絡ませてることから思わずこの本を手に取った本好きの人は多いはず?
初版の価値や古本掘り出し屋という役割を知ることができるだけでなく、稀覯本取引の過程も興味をそそるものがあります。
私自身あまり稀覯本や初版に興味やこだわりはないのですが、コレクションとしてる人にとっては多大なる価値があり、また高額で取り扱われるためお金に目が眩んだり殺人事件まで引き起こすのはわからないでもないような・・・。

文中でクリフの店に突然やってきて助手として働くミス・プライドという女性がいるのですが、彼女が重要な人物になるのかと思いきや・・・
うーん、彼女の今後の飛躍にとても興味があったんだけどな〜。
それでもオチは想像しなかっただけに結構好きな終わり方かな。
ラストの一言でクリフのロマンスの相手への疑いが誤解であったと納得するたけでなく、本を愛する者の想いが伝わってきます。
ハラハラドキドキ、あるいはユーモア感はあまりない内容ですが、私が知らない稀覯本の世界を垣間見れただけでも面白く読めたので良かったかなと。

この本の中で賢い古本屋を営むにあたっての格言
「この世に一つしかないものを買うときは、実際の値打ちの2倍のお金を払ってでも買うこと。結局それが安い買い物になる」

クリフを主人公とした続編で「幻の特装本」がありますが、「死の蔵書」の内容をほとんど引きずってないので単独で読むことが可能。3作目「失われし書庫」もあり。
それでもやはり「死の蔵書」から読むのがいいかも。

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2006.04.27 Thu

『小悪魔アザゼル18の物語』 AZAZEL

小悪魔アザゼル18の物語
 著者:アイザック・アシモフ (Isaac Asimov)
 訳者:小梨直
 出版社:新潮社 新潮文庫   




<感想>
聞き手(アシモフ自身)が、ジョージという男性から小悪魔アザゼルを使って毎回人助けをする話を聞く短編集。
このジョージというのが、毎回聞き手に対してなにかしらの嫌味を言い、さらに自分がいかに素晴らしい人間で人に頼られる存在かをアピールするというかなりの皮肉屋さん。
しかも聞き手はジョージに食事をおごり、最後にはいろんな形で数ドルお金を巻きあげられる始末。
人を不愉快にさせる天才と言ってもいいかも。
自分からアザゼルのことを話しておいて、毎回聞き手に向かってなぜアザゼルを知ってる?と聞き返すジョージに対して大人の対応をする聞き手には拍手。

肝心の小悪魔アザゼルはというと・・・
先に小悪魔と聞くと、なんとなく可愛らしい雰囲気で、頼みは魂と引き換えに・・・なんてイメージですが、この本に出てくるアザゼルは違うんです。
身長2cmで皮膚は真っ赤、額には角が2本というミニ赤鬼のような風貌の男の子。
頼みを聞く代わりに見返りも求めない。そして自分は品があって力や才能を大げさに自慢する(実はジョージと似たりよったりの性格だったりするんだな、これが)。
そしていつも自分の世界で何かをしてるときにジョージに呼び出されるもんだから、喜怒哀楽もはっきりしてる。

お決まりのような感じですが、アザゼルはこの世のしくみをあまりよく理解しておらず、彼に頼んでもその通りに事が運ぶことがありません(やっぱりね〜)。ハッピーエンドでかと思いきやそうでなかったり。
正確に事細かく説明して頼みごとをしないとダメなところは、映画「悪いことしましョ!」の悪魔と似てるかな。

全体的に私にはアザゼルはそれほどインパクトはなく、話の始めと終わりのジョージの皮肉めいた言動の方が気になってしまいます。
「小悪魔アザゼル18の物語」を読んで気に入った人は、この話の基となった「ユニオン・クラブ綺談」、そして推理短編「黒後家蜘蛛の会(ブラック・ウィッドワーズ)」もオススメ。

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2006.04.09 Sun

『百万ドルをとり返せ!』 NOT A PENNY MORE, NOT A PENNY LESS


 著者:ジェフリー・アーチャー(Jeffrey Archer)
 訳者:永井淳
 出版社:新潮社 新潮文庫  

 

<ジェフリー・アーチャー>
イギリスの作家で、下院議員時代にある会社に投資したところ無一文になってしまい、その時の体験をもとにしたのがこの「百万ドルをとり返せ!」(記念すべき第1作目)。
その後上院議員として政界復帰するも女性問題で辞任。勝訴するも10年以上経った1999年、再びジェフリー・アーチャーが政界にするか否かというときに当時の女性問題で旧友が偽証を頼まれたと暴露し、ジェフリー・アーチャーは有罪になるも服役生活を綴った「獄中記」を発表。
日本では20冊以上翻訳されてますが、中には絶版本もあり。
今後の執筆にも是非期待したいところ。

<簡単なストーリーと感想>
詐欺師で大富豪の策略から幽霊会社の株を買わされ、100万ドルを騙し取られた4人が集まりそれぞれ知恵を絞った方法で100万ドルを取り返そうとするコン・ゲーム。
そんな簡単にいくはずがない!と思いつつ、数学教授・医者・画商・貴族とそれぞれ立場が全然違う4人が繰り広げる計画は面白い!
100万ドルを取り返すにあたっても「1ペニーも多くなく、1ペニーも少なくなく」をモットーにしてる4人の手の込んだ奪還作戦も読み応えあるし、自分が大掛かりな詐欺をする割には自分が騙されてるとはつゆ知らず、気分良く騙されてるのを見るとこっちまで気分良くなってくる(笑。
メッセンジャー・ボーイからの成り上がりで、地位と名声に関しては貪欲な大富豪なのにどこか憎めないキャラであるし、彼の行くところどころはイギリスならではの場所が多く、そのあたりも結構楽しめるかも。
100万ドルを騙し取られたという犯罪が背景にありながら、とにかく最後まで気分良く読める1冊。

ジェフリー・アーチャーは「ケインとアベル」や「チェルシー・テラスへの道」などのサーガ物、短編集、サスペンスも書いており、個人的にはサーガ物がおススメ。

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