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2006.06.14 Wed 『ひよこはなぜ道を渡る』 YOUR NECK IN A NOOSE
著者:エリザベス・フェラーズ (Elizabeth Ferrars) 訳者:中村有希 出版社:東京創元社 創元推理文庫 <感想> トビー&ジョージシリーズ最後の事件となる作品。 「その死者の名は」「細工は流々」「自殺の殺人」「猿来たりなば」に続く5作目で、どうしてこれで最後なんだろうと少し残念。 かなりの長編作品があるのに翻訳されてるのはほんの一握り。あとはアンソロジー収録やミステリマガジンで読めるぐらいなのかな? ほんの数年前からエリザベス・フェラーズを読むようになったのですが、私が持ってる著書の中では「私が見たと蠅は言う」(これだけは改訳文庫化の記載あり)以外はてっきり最近の作品なのかと思いきや、実は50年以上も前に書かれた初期作品ばかり。 読んでてさほど古さを感じず(もしかして時代を感じさせるシーンがあったのかも知れませんが、私が忘れているだけです )トビー&ジョージの凸凹コンビは意外に面白いかも?なんて思ってました。 いろいろと犯人探しの仮定を立ててはなぜか自信に溢れてるトビー、そしてジョージはのんびりしてはいるけど肝心なとこは押さえてるというこの2人。 ホームズとワトスンによく例えられますが、解説にもあるように、ワトスン役のジョージが実は名探偵でトビーは迷探偵。 この迷探偵、ほんとトビーにぴったりの言葉で笑ってしまった!うまいこと言うな〜と感心。 ジョージがいてこそのトビーで、2人の会話も結構面白いです。トビーもなんだかんだ言いながらも結局ジョージを信頼し感謝してるところがよろしい(笑。 今作品ではジョージはなかなか登場せず、やっと!と思いきや犯罪ときっぱり縁を切り、トビーの口車には乗らないって決めたらしい・・・。 それでもやっぱり期待は裏切らないジョージかも?! 今までは2人の会話にユーモア的なイメージがあったのですが、今作品ではそれが少なく人間模様や心理に重点を置いてるような感じがします。 でもやっぱりこれでトビー&ジョージが終わったのは寂しい・・・。 これからも他の未訳ものが翻訳されることに期待! 22:02 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(2) 2006.06.03 Sat 『リプリー』 THE TALENTED MR.RIPLEY
著者:パトリシア・ハイスミス (Patricia Highsmith) 訳者:佐宗鈴夫 出版社:河出書房新書 河出文庫 <感想> 私がパトリシア・ハイスミスの長編を読んだのはこれが初めて。今まで短編はアンソロジーで読んだことはあったのですが、長編はいつか読もうと思いつつ今日まできてしまいました。 そこで最初に選んだのは、数年前見た映画「リプリー」の原作であるこの「リプリー」(「太陽がいっぱい」から改題)。 ヨーロッパにいる息子ディッキーに会って、呼び戻して欲しいという富豪の父親であるグリーンリーフからいきなり話を持ちかけられたトム・リプリー。警察にいつ捕まってもおかしくない自堕落的な生活をしていた彼は、過去を清算して新たな未来を夢見てディッキーがいるイタリアへ。しかし友人であるディッキーを殺して、彼に成りすまし生活するトム。 ディッキーの親や恋人や友人、そして警察の目をくぐり抜け完全犯罪が成り立つのか?! 計画性はまるでないのに、何度も訪れるピンチを切り抜けるラッキーボーイ。 いくら顔容姿が似てるからといっても他人に成りすまし生活するなんて無謀としか言いようがない!しかも声真似まで。 もちろん場所を転々とし、怪しまれないようディッキーとして、そしてトム・リプリーとしていろいろ策は練ってるのですが、その場しのぎの行動はどうみても幸運に助けられたとしか思えない・・・。 訳者によるとこの幸運は、秩序を重んじる社会はあちこちと抜け穴だらけという皮肉がこめられてるそうな。 なるほど・・、そういう意味合いがあったんだ。 しかしそれだけじゃなく、やはりパトリシア・ハイスミスの手法によってこの物語の面白さは引き立ってるのは言うまでもないこと。 トムの人格を巧みに描いており、いつの間にかトムの気持ちになって読んでる自分が・・・。 もうだめだ、私(=トム)はもう終わりだ〜!と読んで何度思ったことか ![]() 物事はかならずなんとかなるものだという人生観をもってるトム。果たして彼のなんとかなるもんだがその通りになったのか?! 映画「リプリー」では結末に意味を持たせてますが、原作では結末がわかるようになってます。 ※リプリーシリーズとして、「贋作」「アメリカの友人」「リプリーをまねた少年」「死者と踊るリプリー」と続く。といってもまだ読んでなく、今私の読みたい本リスト上位にランクイン。 絶対読みます、読んで見せます!読んで見せましょう!! 20:02 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(2) 2006.05.26 Fri 『第三の男』 THE THIRD MAN
著者:グレアム・グリーン (Graham Greene) 訳者:小津次郎 出版社:早川書房 ハヤカワepi文庫 <感想> 名作中の名作である同名映画「第三の男」の小説版。 といっても原作が先で映画化されたのではなく、あらかじめ映画化を前提に書かれたもの。 第二次世界大戦後、友人のハリーの招待を受けてウィーンやってきた作家のロロ。 だのにロロが到着したその日はなんとハリーの葬儀の日。交通事故で死亡したというのだが、警察からハリーは闇商人だったと聞き、納得のいかないロロはハリーの女や事故現場に居合わせた友人たちに話を聞くことに。 事故現場に居たのは運転手以外に2人だったという友人に対し、事故を目撃していた人物は3人だった発言。第3の男とは一体・・・。 物語はロンドン警視庁の警察官のキャロウェイ大佐の一人称で進められていくのですが、彼の説明とともに、ストーリー展開の中には当時のウィーンの街の様子がこと細かく描かれています。 敗戦後、米英露仏4ヵ国の占領下に置かれてる状況や闇ペニシリン、そして難民問題は複雑で、政治情勢の暗い中で物語りは進められていくのですが、それを背景にしたミステリといったところ。というかこのような背景だから描けるミステリ(というかミステリで枠決め出来ない作品です)。 まず思ったのは、この作品は是非映像で見てみたい!ということ。 ウィーンの街並みもそうだし、地下道でのやりとりやラストシーンもそう。 本の解説にも書かれてますが、映画化を前提に書かれたとはいっても多少は変更がある模様。これも踏まえて是非映画も・・・。 実は今手元にはこの作品のDVDが!! ということで次は映画版の感想を。 23:46 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(0) 2006.04.02 Sun 『わたしを見かけませんでしたか?』 HAS ANYBODY SEEN ME LATELY?
![]() 著者:コーリイ・フォード(Corey Ford) 訳者:浅倉久志 出版社:角川書房 ハヤカワepi文庫 <感想> 私がはじめてコーリイ・フォードを知ったのは「冷えたギムレットのように −美酒ミステリ傑作集−」のアンソロジーに入っている「おごりの一杯」。 たった4pというショートですが、そんな短さでもオチまでしっかりしており、是非この著者の作品を読んでみたい!という気に・・・。 コーリイ・フォードは多くの著書や短篇を残していますが、私の知ってる限りでは多くはアンソロジーや昔のミステリマガジンでしか読むことが出来ず、彼の作品を多く読むのは難しいかも。 今作品は19篇からなるエッセイ集で、大部分はミステリマガジン誌やユーモア・スケッチのアンソロジーに収録されている作品。 この中で注目してほしいのが「あなたの年齢当てます」。中年男性必見!! 著者自身が感じたことをエッセイにしたのもで、中年男性の普段の日常生活に起こりうる内容をユーモアに描いています。 全ての出来事をポジティブにというか解釈の仕方が面白く、暗い悲観的内容になっていないのが何とも言えない! 中年男性だけでなく中年女性にも十分当てはまり、私にも身に覚えがある内容が少しばかり・・・(悲。 著者の定義によると、中年とは概略21歳〜100歳までの時期をいうらしい。成人になったら即中年ってことか?! 「ヒモをためてますか?」は、いつか使うかもしれない、何かに役立つかもしれないと思いどうでもいいものをしまいこむ女性には必見!!かなり共感出来るかも。 「愛人マニュアル」では犬の立場から見た人間の飼い方を綴っており、これが意外に飼い主にとって勉強になる内容。 犬を飼ってる人だけでなく、飼ってない人にも十分楽しめます。 全体的に著者の日常を綴っており、お国柄か日本人にはあまり馴染みがない部分も多少ありますが、それでも読んでて「あるある」「わかるわかる」と共感出来る部分が多く、面白く楽しく読めるエッセイ集です。 15:51 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(2) 2006.04.01 Sat 『懐かしい殺人』 THE MURDER LEAGUE
著者:ロバート・L・フィッシュ(Robert L. Fish) 訳者:菊池光 出版社:早川書房 ハヤカワミステリ文庫 <簡単な説明と感想> シャーロキアンで、パロディものである「シュロック・ホームズ」シリーズの著者としても有名。 アメリカの作家でロバート・L・パイクというペンネームでもシリーズを発表。 今回の本は「殺人同盟」シリーズの一作目で、「お熱い殺人」「友情ある殺人」と続く。おそらく3冊とも絶版のはずですが、運よく1回だけ古本屋の100円コーナーで見たことがあり思わず小躍りした記憶が・・・。 完璧な保存状態を望むのではないのならそれほど高くないかも。ただほかの絶版本に比べて市場に出てる数は少ないような・・・。 私は2作目の「お熱い殺人」は持っておらず、飛ばして「友情ある殺人」を読もうかどうか数年悩んでまだこの一作目しか読んでなかったり(笑。 「お熱い殺人」は「懐かしい殺人」のすぐ後を描いているそうなので、なんとしてでも「お熱い殺人」を読まないと。 表紙に3人の主人公の挿絵が入っており、雰囲気が少しくたびれたなんちゃってイギリス紳士といったところ?(←でも文中では老紳士的なイメージ部分もあり) 英国ミステリ作家クラブの創立者であり、最近では本を書いておらず経済状態も芳しくない3人の老作家は「殺人同盟」を結成し殺人を請け負う商売をすることに。 上手くいってたはずなのに腑とした事から彼ら本意ではない失敗をしてしまい、敏腕弁護士に相談をするといったストーリーなのですが、この殺人は淡々と書かれており何よりも3人の言動が面白い!! 特に居酒屋で殺人を行った直後の逆ギレ演技が最高。 そんな3人組の上をいくのが弁護士のパーシヴァル卿。後半での裁判では彼の手腕ぶりが大いに発揮されており、この話って法廷モノ?と思わず感じてしまうほど巧みなもの。 主役はウィットとユーモアにとんだ3人組ではあるけれど、この弁護士が加わることによりミステリ性がより帯びてくるといった感じ。 以前はミステリ作家として活躍してた3人がおのおの知恵を絞って繰り広げる殺人方法や殺人同盟の広告も良く出来てるのはもちろんのこと、旧友の警部やなんだかんだと言っても3人が気になるミステリ作家クラブの事務長も密かに良い味出してたりするんだな。 このシリーズで3人以上に活躍する(?)弁護士のパーシヴァル卿、いろんな事件を扱う無敵の彼が主人公となるアナザーストーリーがあったら絶対面白かっただろうな〜(残念なことに著者は1981年没)。 この「懐かしい殺人」が発表されたのは1968年と今から38年も前ですが、それほど古さは感じずユーモアはいつの時代も関係なく面白い! 唯一時代を感じるのは、アメリカの電子頭脳(=IBM)をイギリスの警視庁が導入することぐらいでしょうかね。 このシリーズの続きはもっと面白いようなのでかなり期待大。 13:20 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(0) |
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