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09/28 「まさかの結末」 E・W・ハイネ 
08/09 「おばちゃまは飛び入りスパイ」 ドロシー・ギルマン
07/18 「死者と踊るリプリー」 パトリシア・ハイスミス
07/16 「リプリーをまねた少年」 パトリシア・ハイスミス
07/07 「アメリカの友人」 パトリシア・ハイスミス
07/02 「贋作」 パトリシア・ハイスミス
06/14 「ひよこはなぜ道を渡る」 エリザベス・フェラーズ
06/03 「リプリー」 パトリシア・ハイスミス
05/26 「第三の男」 感想PART1
04/02 「わたしを見かけませんでしたか?」 コーリイ・フォード
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2006.09.28 Thu

『まさかの結末』 KINKERLITZCHEN

まさかの結末
 著者:E・W・ハイネ (Ernst W. Heine)
 訳者:松本みどり
 出版社:扶桑社 扶桑社ミステリー





<感想>
本屋で何気に見つけた一冊。<ベストセラー作家が贈る超短編集 短い短い小説に切れ味鋭いショックとユーモア満載>と帯に書かれており、ベストセラーと言われてるこの作家を知らないくせに、まんまとその文句に載せられて買ってしまった・・・。
ショートショート集となっており、収録されてるのは以下の通り。
「死者の挨拶」「判決」「ほんと、男って……」「正義の神」「テロ防止策」「ギプスの中身」「正義の勝利」「愛の手紙」「すばらしい贈り物」「復活」「四句節」「愛の死」「秘中の秘」「万引き」「強盗の襲撃」「いばら姫効果」「不気味な重要証人」「コールボーイ」「死んだ双子」「目には目を」「講演」「キルケ」「ただ乗り」「世界一短いお化けの話」の24編。
その中でいくつか紹介。
『死者の挨拶』ある高視聴率のテレビ番組「死者の挨拶」。高額な賞金がもらえるというよくある番組と思いきや、この番組のルールがとんでもないもの。冒頭に収録されており、一発目から手に汗を握る内容となってます。冒頭にこれをもってくるのはある意味ずるい!最後までこんな緊張感ばかりの内容となってるのか?!なんて思ったけど気のせいだった・・・。
『ギプスの中身』腕のギプスの中にヘロインを隠して国境を越える方法とは?ここでの方法は昔なら出来たかもしれないですが、今のご時勢じゃおそらく無理(といってもまだまだ出来そうな国もあるような感じが・・・)。
『愛の手紙』夏の休暇に知り合った男女のその後で、男と女の恋愛の感情感の差を皮肉ったもの。
『すばらしい贈り物』ケチなボスに対するほんの仕返しなんですが、<時は金なり>って言うボスにはもってこいの仕返しかも?
『復活』死んだはずの男がなんと霊安室で生き返る!さぞ家族は嘆き悲しんでるであろうと思った男は家へ帰ってみると・・・。一度死んだからこそわかる家族の自分に対する想い。結果は・・・。
『四句節』聖金曜日に行う苦行とは?なんかとんちや小噺みたいな結末です。
『万引き』『いばら姫効果』などは面白く読めたものの、奇想天外という訳でなくストーリー的にはありふれた感じ(というか全体的にそういう感じ)。私がこのショートショート集でベスト3を選ぶなら、『死者の挨拶』『講演』『目には目を』かなー。
一発目の『死者の挨拶』が強烈だったためあとの短編が少し物足りないような気もしますが、全体的には面白く読めた一冊でした。

21:01 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(2)

2006.08.09 Wed

『おばちゃまは飛び入りスパイ』 THE UNEXPECTED MRS.POLLIFAX

おばちゃまは飛び入りスパイ
 著者:ドロシー・ギルマン (Dorothy Gilman)
 訳者:柳沢由実子
 出版社:集英社 集英社文庫




<簡単なあらすじ>
ミセス・ポリファックスはどこにでもいるボランティアを多数している平凡なアメリカ女性。子どもの頃からの夢であったスパイのボランティアをしうようとCIAに応募することに。当然相手にされることはない・・・はずが、ちょっとした誤解からなのとスパイとしてあることを任命されてメキシコへ!観光がてらに出来るようなとても簡単な任務かと思いきや、いつの間にか生死に関わるとんでもない事態に。スパイデビューのおばちゃま、ちゃんと任務をこなし生きて帰れるのか?!

<感想>
第1章を読んだだけで「この本は絶対面白いはずだ!!」と確信してしまった私。予想が見事的中して読み終えた後はとっても満足おなか一杯。久々にユーモア感満点で、それでいておばちゃまの言動から目が離せない!先入観も何もなく読んだこの本は大当たり〜!!スパイものといってもハードなものではなく、とてもユーモアに描いているアドベンチャー冒険ミステリといった感じ。
年配女性が活躍する物語といったら老嬢が殺し屋の<ミス・メルヴィル>シリーズを思い出しますが、この物語のおばちゃまはただ単に上品で愛嬌があり優しいだけでなく、好奇心旺盛で想像力豊かでここぞというところではちゃんと押さえてくれる女性。といっても意識的にそうしてるのではなく、もともとおばちゃまが持ってる素質が今回のスパイという任務に偶然うまいことハマった?!
スパイとしての訓練や駆け引きといったものは全くなく、自分を失わず独自の工夫や想像を披露してくれてるおばちゃまは最高!たまたま一緒に捕虜になった情報員ファレルとの掛け合いはだんだんと情で結ばれる様子もいいのですが、スパイということに関しては本格的ではなくちょっと生ぬるい感じ?それでも最後までスリル満点でラストまでおばちゃまのキャラ炸裂です。
しかしおばちゃまと呼ばれるミセス・ポリファックス、一体何歳なんだろう?孫もいる髪の毛がほとんど白髪、『63歳で仕事をみつけた私』という記事を真剣に見入るとこからおそらく60代?

ユーモア溢れる痛快爽快スパイでストーリー展開も読んでる側を飽きさせないこの「おばちゃまは飛び入りスパイ」。世界を駆け巡るシリーズとなってるようなので(この本は1作目)、いろんな国にいくおばちゃまは必見かも。

21:17 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(0)

2006.07.18 Tue

『死者と踊るリプリー』 RIPLEY UNDER WATER

死者と踊るリプリー
 著者:パトリシア・ハイスミス (Patricia Highsmith)
 訳者:佐宗鈴夫
 出版社:河出書房新書 河出文庫   




<感想>
リプリー・シリーズの5作目で完結編。3作目「贋作」の続編となっており、ダーワット事件をベースにその5年後を描いている作品。
妻エロイーズと平穏に過ごしているトム・リプリー。そんな中、近所に越してきたアメリカ人のプリッチャード夫妻がトム夫妻の生活を脅かす存在に。今まで後ろめたいことをしてきたトムは、誰かが雇った探偵やCAIが過去に犯した殺人事件を調べてるのかと勘ぐるのですが、やましい過去が多すぎると身に覚えが多すぎて大変です・・・。
トムが殺したはずのディッキーを名乗る人物からの不審な電話もかかってくるようになるのですが、トムに対してたちの悪い嫌がらせをするとはかなりのチャレンジャー。
プリッチャードがトムの過去をほじくり返し、どこまでも付きまとうという行動は一種のゲーム。しかも今まで面識もない相手を傷つけるという尋常なゲーム。今までトムに関わった人達の中で一番変わり者というか常識を逸した夫婦の登場で、トムはそんな相手にどう対処するか。

「贋作」で名前だけが頻繁に登場するシンシアが今回登場し、マーチソン事件に関わった人物も多数登場しており「贋作」を読んでないとわからない内容となってます。ちなみに3作目「アメリカの友人」、4作目「リプリーをまねた少年」は読んでなくても大丈夫。
両親が溺死、ディッキーも水の中に沈め、最後の最後まで水が関わってくるこの完結編。神は一体どこまでリプリーの味方をするんだろう。ハイスミスはこれが最後と意識してこのような結末にしたのか、それとも続編を考えた上なのかはわかりませんが、正直これで完結なのは少し残念。アメリカ人夫妻によって忌々しい過去をトムに思い出させるということは、いくら現在平穏な生活をしてても結局過去は消せず、過去とともに生きていかなければならないというメッセージなのか?

作中にトムが読むのをとても楽しみにしてる本が出てくるのですが、それはオスカー・ワイルドの伝記。トムは他人の生き方にまったく興味がないのかと思ってた私には少し意外な感じ。しかもなぜオスカー・ワイルド?耽美主義、破壊的人生に共感?文中にもトムのオスカー・ワイルドに対する想いが書かれてるのですが、わかるようなわからないような・・・。
しかしこのシリーズ、1作目から5作目までに36年かかってるのが凄い!今となってはすぐ次の作品を読めますが、当時リアルタイムで読んでた読者には完結まで超長かっただろうな〜(笑)。
晩年のリプリーがすごく気になるのですが、私の想像ではトムはきっとこの調子で人生を終えそうな気がします。

19:37 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(4)

2006.07.16 Sun

『リプリーをまねた少年』 THE BOY WHO FOLLOWED RIPLEY

リプリーをまねた少年
 著者:パトリシア・ハイスミス (Patricia Highsmith)
 訳者:柿沼瑛子
 出版社:河出書房新書 河出文庫   




<感想>
リプリー・シリーズの4作目。ダーワット事件(3作目「贋作」)の後の設定で、作中でも「贋作」での絵について何度か話題になってます。
父親を殺してしまい、家出をしてきたアメリカ少年フランクがトム・リプリーを頼ってくるというストーリーで、リプリーをまねた少年というよりは、リプリーを慕ってる少年と言った方が合ってるかも。
まだ16歳の青年で、お金持ちの子供らしく教養があり素直でスレてないところがないフランク。彼の書いた事件の真相を書いた原稿に、トム・リプリーになぜ会いにきたのか、なぜトム・リプリーただ1人にだけに事の顛末を知って欲しいのか、トム・リプリーこそが真の自由な魂を持ちそれに値する生き方をしている・・・とトムに対する想いが書かれてます。そんなフランクに対しトムは心を打たれ何かと親身になって手助けをし、良心の呵責に耐え切れなくなった少年を守っていこうとする姿はまるで少年の父親のよう(殺人を犯してしまった罪悪感を取り除こうとするのはまさにトムにはうってつけの役目?)。
2人の接点は理由は全然違うにしろ、殺人を犯したことがあるということだけ。こんなことで少年の将来が崩壊するのは見たくないということなんだろうけど、肝心なのはフランクの心には彼女に失恋したという思いが大部分を占めており、さすがにこればかりはトムにもどうしようもない。というか、今までの人生で女性に対し真剣に愛し悩んだことがトムにあったのかが疑問・・・。

フランクのために一緒にアメリカに行ったトム。ディッキー事件以来はじめての帰国かと思うのですが、母国に対しての愛着が殆ど見られず、今の生活を大事に生きてるんだと改めて認識。親身になって人の世話をするも、自分が飽きたり決着が付くと自分の生活に戻る切り替えがとても早く、それでいて周りの人間には礼儀正しく振舞う姿はやはりトムだな〜と。

今まで非道で残酷な面々を出してきたトム・リプリーですが、この4作目ではそれほど悪い奴には見えない・・・と思わせつつやはり内面は一貫しており、ハイスミスが描くトム・リプリーに破滅はあるのかシリーズ最終巻が気になるところ。

11:08 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(0)

2006.07.07 Fri

『アメリカの友人』 RIPLEY'S GAME

 著者:パトリシア・ハイスミス (Patricia Highsmith)
 訳者:佐宗鈴夫
 出版社:河出書房新書 河出文庫   

<感想>
リプリー・シリーズの3作目。前作「贋作」の翌年の設定となっており生活基盤はそのまま、さらに再登場のリーブズ(「贋作」でトムは彼の仕事を時々手伝ってた)が今回、トム・リプリーのもとに殺人が出来る前科のない人物の紹介依頼にやってくることに。トムは白血病の額縁商トレヴァニーに残りの人生は僅かと思い込ませ、この仕事を引き受けさせるようあの手この手で裏から策略することに。しかも初対面でトレヴァニーに何気に言われた言葉を根に持ってたトム、トレヴァニーが不安におちいらせたいというゲーム感覚でしかないのはますます悪者ぶりが増してる・・・。
ディッキー事件から約7年経ってても(文中によると贋作ではディッキー事件から6年経ってる設定だったので、今回はディッキー事件からおそらく7年後のはず)未だにディッキー事件に対する周りの反応が気になるトム、それと同時に自分の評判もよくわかってるようです。

この物語の主人公は一瞬トレヴァニーだろうか?と思ってしまいがちですが、全ての発端はトム・リプリー。自分からトレヴァニーを巻き込んだにも関わらずトレヴァニーが追い込まれると助けてしまうのは、ただ単にマフィアの大物を消すことに手を貸すという自己満足で高潔の行いに酔ってるせいなのか?
よく恋愛に例えて、恋をしてる自分に恋してるっていうのと同様、悪者を消す正義の味方という自分に恋してるって感じ??←ちょっと違うか。
そんなトムに対し、トレヴァニーは自分の家庭まで振り回され思案深くなっていくのですが、どうみてもトムが関わらなければそれなりに幸せに暮らせたはず。

前作の登場で興味を持った妻のエロイーズの出番が少なくちょっと残念。でも家政婦のマダム・アネットがとても機転が利きトムから絶大な信頼を得ているのがよくわかります。少しだけディッキー殺害についてトムの気持ちが描かれてるシーンがあるのですが、それを若気の至りととらえ、それからのトムが手をかけた殺人は自分自身あるいはほかの人間を守るためだけに行ったと思ってるのは心底からなのか、それともそう自分に言い聞かせているのか・・・。
まだまだトム・リプリーから目が離せません。

22:05 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(0)

2006.07.02 Sun

『贋作』 RIPLEY UNDER GROUND

 著者:パトリシア・ハイスミス (Patricia Highsmith)
 訳者:上田公子
 出版社:河出書房新書 河出文庫   

<感想>
リプリー・シリーズの2作目で、「太陽がいっぱい」(後に「リプリー」に改題)の続編。
前作でディッキーを殺してから6年が経っており、トム・リプリーはフランスの大富豪の娘エロイーズと結婚してパリ郊外で何不自由なく生活。しかしここでトム・リプリーのアイディアが発端で、既に亡くなってる画家の贋作を画廊仲間と一緒に売る商売を続けていたが、ある蒐集家が贋作だと気付き騒ぎ立てたことで事態は急変。
前作でも人真似や声真似に長けていたトム・リプリーは他人になりすまし続けたのと同様、今回も亡くなったはずの画家に変装し、記者会見にまで登場。(※この画家は自殺したとされてたが死体は見付かっておらず、贋作を出し続けるために実はメキシコで画家は生きていたとメディアに発表している。それと同時に画家本人の口から贋作ではないと言うことも出来る)

そしてまた殺人も犯すトム・リプリーなのですが、自分のためでなく今回は友人思いの一面も垣間見れるシーンも。ただやっぱり結局は自分の今ある生活を大事にするトム・リプリー。相変わらず計画性のない犯行ではあるけれど、なぜもこんなに彼の思い通りになり、つじつまも合うんだろう・・・。恐るべし幸運の持ち主。またおどおどした雰囲気も全くなくなり、リーダー格とまで思わせる態度が際立ってきたような。そして残虐さも増してる!
これはやはりディッキー殺しでその後の自分に自信がついたということなのか?

前作の続編といっても正確にはその後のトム・リプリーという感じでしょうか。しかし6年経ってもまだディッキーの指輪をはめていたり、ディッキーのいとこが訪ねてきたりとまだまだトム・リプリーの生活にはディッキーの名残があります。このいとこ、何かやらかしてくれるんじゃないかと期待して読んでいく人はきっと多いはず・・・?!好奇心旺盛な青年ですが、果たしてどんな役割があるのか、はたまた何もないのか・・・。
注目したいのは妻のエロイーズ。こんなトム・リプリーと共に生活している大富豪の娘とは一体どんな人物なのか、かなり興味を惹きます。ただ全体的には前作より淡々としてる感じがし、ラストも「これで終わり?」となんだかしっくりこないような・・。トム・リプリーの人生の中の一つの出来事として考えるとまだシリーズ2作目だし、まだまだ序盤ってことなのか〜?

シリーズ3作目「アメリカの友人」を読み始めているのですが、「贋作」に引き続きリーヴズ、エロイーズや家政婦のマダム・アネットが再び登場する模様。ちなみに「贋作」の続編となるのが完結編の「死者と踊るリプリー」なのだそう。

00:02 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(2)

2006.06.14 Wed

『ひよこはなぜ道を渡る』 YOUR NECK IN A NOOSE

ひよこはなぜ道を渡る
 著者:エリザベス・フェラーズ (Elizabeth Ferrars)
 訳者:中村有希
 出版社:東京創元社 創元推理文庫  





<感想>
トビー&ジョージシリーズ最後の事件となる作品。
「その死者の名は」「細工は流々」「自殺の殺人」「猿来たりなば」に続く5作目で、どうしてこれで最後なんだろうと少し残念。
かなりの長編作品があるのに翻訳されてるのはほんの一握り。あとはアンソロジー収録やミステリマガジンで読めるぐらいなのかな?
ほんの数年前からエリザベス・フェラーズを読むようになったのですが、私が持ってる著書の中では「私が見たと蠅は言う」(これだけは改訳文庫化の記載あり)以外はてっきり最近の作品なのかと思いきや、実は50年以上も前に書かれた初期作品ばかり。
読んでてさほど古さを感じず(もしかして時代を感じさせるシーンがあったのかも知れませんが、私が忘れているだけです
トビー&ジョージの凸凹コンビは意外に面白いかも?なんて思ってました。
いろいろと犯人探しの仮定を立ててはなぜか自信に溢れてるトビー、そしてジョージはのんびりしてはいるけど肝心なとこは押さえてるというこの2人。
ホームズとワトスンによく例えられますが、解説にもあるように、ワトスン役のジョージが実は名探偵でトビーは迷探偵。
この迷探偵、ほんとトビーにぴったりの言葉で笑ってしまった!うまいこと言うな〜と感心。
ジョージがいてこそのトビーで、2人の会話も結構面白いです。トビーもなんだかんだ言いながらも結局ジョージを信頼し感謝してるところがよろしい(笑。

今作品ではジョージはなかなか登場せず、やっと!と思いきや犯罪ときっぱり縁を切り、トビーの口車には乗らないって決めたらしい・・・。
それでもやっぱり期待は裏切らないジョージかも?!
今までは2人の会話にユーモア的なイメージがあったのですが、今作品ではそれが少なく人間模様や心理に重点を置いてるような感じがします。
でもやっぱりこれでトビー&ジョージが終わったのは寂しい・・・。
これからも他の未訳ものが翻訳されることに期待!

22:02 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(2)

2006.06.03 Sat

『リプリー』 THE TALENTED MR.RIPLEY

リプリー
 著者:パトリシア・ハイスミス (Patricia Highsmith)
 訳者:佐宗鈴夫
 出版社:河出書房新書 河出文庫   




<感想>
私がパトリシア・ハイスミスの長編を読んだのはこれが初めて。今まで短編はアンソロジーで読んだことはあったのですが、長編はいつか読もうと思いつつ今日まできてしまいました。
そこで最初に選んだのは、数年前見た映画「リプリー」の原作であるこの「リプリー」(「太陽がいっぱい」から改題)。

ヨーロッパにいる息子ディッキーに会って、呼び戻して欲しいという富豪の父親であるグリーンリーフからいきなり話を持ちかけられたトム・リプリー。警察にいつ捕まってもおかしくない自堕落的な生活をしていた彼は、過去を清算して新たな未来を夢見てディッキーがいるイタリアへ。しかし友人であるディッキーを殺して、彼に成りすまし生活するトム。
ディッキーの親や恋人や友人、そして警察の目をくぐり抜け完全犯罪が成り立つのか?!

計画性はまるでないのに、何度も訪れるピンチを切り抜けるラッキーボーイ。
いくら顔容姿が似てるからといっても他人に成りすまし生活するなんて無謀としか言いようがない!しかも声真似まで。
もちろん場所を転々とし、怪しまれないようディッキーとして、そしてトム・リプリーとしていろいろ策は練ってるのですが、その場しのぎの行動はどうみても幸運に助けられたとしか思えない・・・。
訳者によるとこの幸運は、秩序を重んじる社会はあちこちと抜け穴だらけという皮肉がこめられてるそうな。
なるほど・・、そういう意味合いがあったんだ。
しかしそれだけじゃなく、やはりパトリシア・ハイスミスの手法によってこの物語の面白さは引き立ってるのは言うまでもないこと。
トムの人格を巧みに描いており、いつの間にかトムの気持ちになって読んでる自分が・・・。
もうだめだ、私(=トム)はもう終わりだ〜!と読んで何度思ったことか

物事はかならずなんとかなるものだという人生観をもってるトム。果たして彼のなんとかなるもんだがその通りになったのか?!
映画「リプリー」では結末に意味を持たせてますが、原作では結末がわかるようになってます。

※リプリーシリーズとして、「贋作」「アメリカの友人」「リプリーをまねた少年」「死者と踊るリプリー」と続く。といってもまだ読んでなく、今私の読みたい本リスト上位にランクイン。
絶対読みます、読んで見せます!読んで見せましょう!!

20:02 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(2)

2006.05.26 Fri

『第三の男』 THE THIRD MAN

第三の男
 著者:グレアム・グリーン (Graham Greene)
 訳者:小津次郎
 出版社:早川書房 ハヤカワepi文庫   




<感想>
名作中の名作である同名映画「第三の男」の小説版。
といっても原作が先で映画化されたのではなく、あらかじめ映画化を前提に書かれたもの。

第二次世界大戦後、友人のハリーの招待を受けてウィーンやってきた作家のロロ。
だのにロロが到着したその日はなんとハリーの葬儀の日。交通事故で死亡したというのだが、警察からハリーは闇商人だったと聞き、納得のいかないロロはハリーの女や事故現場に居合わせた友人たちに話を聞くことに。
事故現場に居たのは運転手以外に2人だったという友人に対し、事故を目撃していた人物は3人だった発言。第3の男とは一体・・・。

物語はロンドン警視庁の警察官のキャロウェイ大佐の一人称で進められていくのですが、彼の説明とともに、ストーリー展開の中には当時のウィーンの街の様子がこと細かく描かれています。
敗戦後、米英露仏4ヵ国の占領下に置かれてる状況や闇ペニシリン、そして難民問題は複雑で、政治情勢の暗い中で物語りは進められていくのですが、それを背景にしたミステリといったところ。というかこのような背景だから描けるミステリ(というかミステリで枠決め出来ない作品です)。

まず思ったのは、この作品は是非映像で見てみたい!ということ。
ウィーンの街並みもそうだし、地下道でのやりとりやラストシーンもそう。
本の解説にも書かれてますが、映画化を前提に書かれたとはいっても多少は変更がある模様。これも踏まえて是非映画も・・・。
実は今手元にはこの作品のDVDが!!
ということで次は映画版の感想を。

23:46 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(0)

2006.04.02 Sun

『わたしを見かけませんでしたか?』 HAS ANYBODY SEEN ME LATELY?

わたしを見かけませんでしたか?  ハヤカワepi文庫
 著者:コーリイ・フォード(Corey Ford)
 訳者:浅倉久志
 出版社:角川書房 ハヤカワepi文庫   




<感想>
私がはじめてコーリイ・フォードを知ったのは「冷えたギムレットのように −美酒ミステリ傑作集−」のアンソロジーに入っている「おごりの一杯」。
たった4pというショートですが、そんな短さでもオチまでしっかりしており、是非この著者の作品を読んでみたい!という気に・・・。
コーリイ・フォードは多くの著書や短篇を残していますが、私の知ってる限りでは多くはアンソロジーや昔のミステリマガジンでしか読むことが出来ず、彼の作品を多く読むのは難しいかも。

今作品は19篇からなるエッセイ集で、大部分はミステリマガジン誌やユーモア・スケッチのアンソロジーに収録されている作品。
この中で注目してほしいのが「あなたの年齢当てます」。中年男性必見!!
著者自身が感じたことをエッセイにしたのもで、中年男性の普段の日常生活に起こりうる内容をユーモアに描いています。
全ての出来事をポジティブにというか解釈の仕方が面白く、暗い悲観的内容になっていないのが何とも言えない!
中年男性だけでなく中年女性にも十分当てはまり、私にも身に覚えがある内容が少しばかり・・・(悲。
著者の定義によると、中年とは概略21歳〜100歳までの時期をいうらしい。成人になったら即中年ってことか?!

「ヒモをためてますか?」は、いつか使うかもしれない、何かに役立つかもしれないと思いどうでもいいものをしまいこむ女性には必見!!かなり共感出来るかも。

「愛人マニュアル」では犬の立場から見た人間の飼い方を綴っており、これが意外に飼い主にとって勉強になる内容。
犬を飼ってる人だけでなく、飼ってない人にも十分楽しめます。

全体的に著者の日常を綴っており、お国柄か日本人にはあまり馴染みがない部分も多少ありますが、それでも読んでて「あるある」「わかるわかる」と共感出来る部分が多く、面白く楽しく読めるエッセイ集です。

15:51 | [小説]F-J | edit | trackback(0) | comment(2)

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