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「殺しのパレード」 ローレンス・ブロック

『殺しのパレード』  HIT PARADE

殺しのパレード  (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

 著者:ローレンス・ブロック (Lawrence Block)
 訳者:田口俊樹
 出版社:二見書房 二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション




殺し屋ケラー・シリーズ第3作目で9作品からなる連作短編集。感想というより、どこへ行き、ターゲットは誰か、そして後にどんな内容だったか私が思い出せるようにストーリーの特徴だけを書いた覚書です。若干ネタバレあり


『ケラーの指名打者』
ターゲットはメジャーリーグの指名打者選手フロイド・ターンブル。通算400本塁打、3000本安打という大記録を目前に控えた選手。球場で隣合わせに座ったファンから有益な情報をもらい、なぜ雇われたかわかったケラー。チームと共に移動しているケラーはある不審な男に気付き、雇われたのは自分だけではないのではないかと思い始める。少し様子をみることにしたが、ひと月も家を開けたのにはある思惑があった。
作中に出てくるヤンキースの無愛想な日本人投手(名前はタグチ)のモデルは伊良部選手らしい。しかし3000本安打は凄い!野球が好きな人には面白く読めるかも。

『鼻差のケラー』
ベルモント競馬場、ターゲットはキシミーダッドリーという馬に勝った騎手。ダッドリーが勝てば待機料としてお金が入る。もし負ければケラーの出番となり待機料以上の報酬が入る。ケラーにはどうしても欲しい切手があり、出来ればダッドリーに負けて欲しいところ。しかしケラーはさほど結果は気にしてなかった。勝っても負けてもケラーには痛くも痒くもなかったから。八百長を扱った作品ですが、結果どうなったか真相はわからず。八百長の結果云々は関係なくケラーの切手愛がわかる作品。

『ケラーの適応能力』
9.11のあと、新たなセキュリティ対策が導入されてからケラーはまだ一度も飛行機に乗っていなかった。9.11の時ケラーはニューヨークの自宅におらず、マイアミでターゲット:オリバレスという男を始末する準備をしており、とある店内のテレビで知ったのだった。フェニックス、ターゲットはゲート付住宅コミュニティに住み毎日ゴルフをしているエグモント。始末する準備中に不動産仲介をしているミッツィと関係を持つ。ケラーと知り合う女性はどこか勘がいい。何気に言った言葉でも的をついている。一方、ドットから気味が悪い電話があったと告げられる。名前を聞くと「ただのアルだ」と言い、お金を先に送ってきて「依頼はいずれ話す。その時がきたら」と。このアルは『ケラーの遺産』と4作目でも登場。

『先を見越したケラー』
サンタバーバラで仕事を終え今度はデトロイトへ。迎えに来た車に乗り込むと、そこにはターゲットであるホーヴァートがいた。依頼人を消したので仕事はキャンセルと言われケラーはニューヨークに戻ることに。その帰りの機内で隣の席に座っていたニューヨーク在住のハレルスンが話しかけてきた。彼はビジネスパートナーのブライデンを殺したいと思っていた。自分たちの正体を知る人からの仕事は請け負わない、近場では仕事をしないように心掛けてきた2人だったが、ケラーは自分からハレルスンに仕事の話を持ち込んだ。ハレルスンは一度は承諾したものの、後になり手を引きたがった。問題大アリの依頼人に対し、ケラーはある行動に出る。『先を見越したケラー』だが、ケラー話を持ちかける相手を間違えた模様。もしケラーが自分で判断する前にドットに相談してたら、事はスムーズにいったという話。

『ケラー・ザ・ドッグ・キラー』
ニューヨーク、ターゲットは犬のフィラッフィ。依頼主は飼い犬をフィラッフィに殺された中流階級のイヴリンとマイラ。だが内密にマイラから別料金で夫の浮気相手イヴリンを殺して欲しいと依頼され、イヴリンからはマイラと浮気をしている夫を殺して欲しいと依頼される。ケラーが取った行動とは?そして犬好きのケラーはフィラッフィを引き取り、その後、自分しか出来ない行動に出る。一方、ドットがこの仕事を受けたことで最も心配していたのは、ニューヨーク一の殺し屋がはした金のために犬をも殺すという噂が立つこと。至って現実的なドット。

『ケラーのダブルドリブル』
インディアナ州、ターゲットは会計処理に関する不正行為について証言することになってるグロンダール。彼の留守中に家にこっそり忍ぶ込むと、そこに空港でケラーを迎えにきたジョン・ディアの帽子をかぶった男性ともう1人がやってくる。そこでケラーは彼らの計画を盗み聞き、直接ターゲットのグロンダールとコンタクトを取る行動に出る。その後、ドットは株で大儲け。ここからドットの株投資が始まる。
この章では迎え人ジョン・ディアの帽子をかぶった男性にもらったバスケットボールの試合を観に行き、ケラーは幼少時代のことを思い出す。バスケットボールに絡む母親とのエピソードあり。そのせいかどうもバスケットボールを好きになれないケラーであった。

『ケラーの平生の起き伏し』
サンフランシスコ、ターゲットは切手蒐集家のビンガム。依頼主はデトロイトのホーヴァート(『先を見越したケラー』でターゲットとして登場)。ケラーはもともとこの日にサンフランシスコにプライベートで行く予定にしていた。なぜなら切手展示会があるから。そこにビンガムも参加していたのだった。だが現場でケラーはあることでビンガムの目に止まってしまい、一緒に食事をする仲になってしまう。ケラーの心は揺れ動くが、命を狙われていると自覚しているビンガムを言葉巧みに利用することにした。

『ケラーの遺産』
ケラーはドットにある頼みをする。万が一、自分が殺されたら、あるいは連絡が取れなくなったら、彼のアパートに行き切手を持ち出して欲しい。自分が生きている可能性も考えて、切手はしばらくは手元に置き、その後はディーラーに電話をかけて欲しいと。どうやらビンガムが自分がいなくなった後、切手をある大学に寄贈するという話を聞いた影響。それを伝えた時にドットから仕事の依頼を聞かされる。『ケラーの適応能力』で前金を送ってきたアルからの依頼だった。バルバカーキ、ターゲットはヘグマン。

『ケラーとうさぎ』
仕事へ向かう途中、レンタカーのCDから「うさぎの冒険」の朗読が流れてきた。前に借りた人物が忘れていったものだった。このうさぎの話を聞いてると、ケラーは物語に引き込まれうさぎたちが心配になり無事を祈っていた。ターゲットの子持ちの女性を始末し車に戻ると中断しているところから始まった。いつの間にか女性のイメージは消え、またCDに引き込まれ可哀想なうさぎたちの心配をするのだった。ものすごい短編でありながら印象に残る物語。


ドットとの会話は相変わらず軽妙で良いですが、ドットがケラーの心の変化を代弁してくれたり、バックアップしてくれたりとなにかとケラーの支えになってます。

『先を見越したケラー』で、9.11きっかけにケラーに変化が。グラウンド・ゼロで救助活動している人たちに食事を配るボランティアをしたり、話を聞いてくれる相手が欲しくなったり、ぬいぐるみに話しかけたりと明らかに殺し屋らしくない行動。アメリカに住むケラーにとってもタワー崩壊は衝撃的な出来事。初めて殺しをした時にも触れられており、どうやって仕事に慣れていったかも描かれており思わず「もしやこれでケラーシリーズは終わり?」と思ったり。でも引退するにはお金が必要なのも事実。今章はケラーのメンタル面が出てる一編。※2009年に読んだアンソロジー『十の罪業 RED』(リンク)にも収録されており、そこで書いた感想と重複。

よっぽど引退資金が欲しいのか、本来は受けないニューヨークでの仕事が多かったり、『ケラー・ザ・ドッグ・キラー』ではド素人の依頼人女性に尾行されてても全く気付かなかったり。ケラーは精神面から引退を意識し始めている。あとがきにも『ケラーの適応能力』以降の作品から殺しの手筈が狂い、ケラーが自らの仕事を顧みる場面が増える。これまでの作品に比べるとケラーの心の揺れがはるかに大きくなっていると。あと訳者が著者にいくつか質問。ケラーは40代後半、もしかしたら次作でこのシリーズが終わるかもしれないとのこと。もし本当に次作で最後なら残念。

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