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「玉村警部補の災難」 海堂尊

『玉村警部補の災難』

玉村警部補の災難 (『このミス』大賞シリーズ)

 著者:海堂尊
 出版社:宝島社





・『不定愁訴外来の来訪者』
・『東京都二十三区内外殺人事件』
・『青空迷宮』
・『四兆七千億分の一の憂鬱』
・『エナメルの証言』

以上、田口&白鳥シリーズに登場する切れ者の加納警視正と、彼に振り回されてる部下の玉村警部補が扱った事件を集めた短編集。

『不定愁訴外来の来訪者』
不定愁訴外来で、藤原看護師が淹れてくれたコーヒーの香りを楽しみながら穏やかに過ごしていた田口公平。そこに桜宮市警の玉村警部補が、加納警視正からのお使いを持ってやってきた。警視庁から、加納警視正の出向先での活躍をレポートにまとめるようにと言われたそうで、事件の中に田口先生が関係しているのもあるため、内容を確認するためにやってきたのだった。

玉ちゃんが持ってきたここ数年で桜宮署管轄で起こった4つの事件の書類を、不定愁訴外来で振り返るという形になってます。いつもは患者が座る椅子におずおずと座る玉ちゃん。いざ座るともう何年も前からここの患者であったかのように、その場の空気や雰囲気にぴったり合ってしまうのは、玉ちゃん&田口先生、共に加納警視正&白鳥に振り回される立場で通じるものがあるみたいデス。

『東京都二十三区内外殺人事件』
2007年12月、厚生労働省の白鳥からの要請で、医療事故死調査委員会設置準備委員会で講演をすることになった田口先生は東京に出張することになった。その夜、セント・マリアクリニック産婦人科病院近くにある店で食事をした田口先生と白鳥だったが、その帰り公園のベンチで死体を発見する。白鳥の指示で死体は監察医務院に運ばれた。翌日、昨夜の店が気に入った田口先生は1人で出向いたところ、その帰りまたしても同じ場所で死体を発見する。だが搬送先が昨日と違うことに不審を抱く。署まで同行するよう言われた田口先生は加納警視正に連絡を取る。

地域によって死体の扱いが全く違うということがよくわかりました。法律上は全く問題ないにせよ、驚くばかり。ここで活躍するのがAi。厚生労働省の古い体質への言及もちゃっかり盛り込まれてます。しかし加納警視正の運転、職権乱用じゃないの~w白鳥によると、氷姫はこの時期、北の方のさる病院に潜入調査中らしい。うん、なんか北の方で病院で潜入調査している内容の本があったような気がする。なんだっけ?『極北クレイマー』だっけな。名前だけ登場するセント・マリアクリニックは『ジーン・ワルツ』の舞台となった産婦人科?この短編集は、いわゆる"桜宮サーガ"の一つってことなのかな。

『青空迷宮』
2007年11月、サクラテレビが落ちぶれ芸人を集め正月用特番を撮ってる最中、でんでん虫と呼ばれた碧翠院桜宮病院跡地に作られた迷路の中で、出演者の1人である利根川の右眼にボウガンの矢が刺さり死ぬという事件が発生。カメラが回っていたが、そこには犯人らしき人物は映ってなかった。たまたま現場近くに居合わせた加納警視正(と玉ちゃん)は容疑者を3人に絞り、翌日には犯人を特定する証拠を用意する。犯人は自分の行動を思い出す。穴はないはずだったのに…。密室といってもいい空間で起こった事件。犯人は一体どのようにして利根川を殺したのか?

殺されたのはハイパーマン・バッカスの物真似で一世を風靡したお笑い3人組"パッカーマン・バックス"の1人で、今でもピンで活躍していた。容疑者は女性ディレクター、ADで元"パッカーマン・バックス"の1人、落ちぶれ芸人となった残る"パッカーマン・バックス"の1人。設置されたカメラにも、腹部につけていたカメラにも被害者しか映ってなく、天井がない迷路の中での殺人事件のため、犯人は軍事衛星から狙撃したと言い放つ加納警視正。彼の高い捜査能力は、柔軟な発想力があるからなんだろうな~。犯人は誰だ?!とミステリらしい内容ですが、こんなにうまくいくかなぁ?加納警視正と桜宮市警の玉ちゃんの事件簿だから、"桜宮サーガ"でお馴染みの場所がよく出てくる^^ハイパーマン・バッカスも確かどこかで出てきたような気がする。小児科にいた子供(誰だっけ?)が大好きだったような…。

『四兆七千億分の一の憂鬱』
2009年4月、桜宮スキー場の山頂積雪監視小屋前で女性の刺殺死体が発見された。昨年12月頃に殺されたと思われるが、身元はすぐ割れ、桜宮科学捜査研究所DNA鑑定データベース・プロジェクト、通称DDP(※)の適用第一号の案件となったため犯人も同定。しかし容疑者と被害者の接点は全くなく、容疑者も身に覚えがないという。その容疑者の腕にはバイトでつけたという刃物の傷跡2本。当日のアリバイがなく四兆七千億分に一人の確率で完全にDNAが一致している容疑者。どこか腑に落ちない加納警視正はバイトの路線から捜査し、関係者から聞き込みを始める。
※容疑者を捜査で割り出しDNA鑑定するのではなく、現場の遺留物のDNA鑑定結果をデータベースにかけ犯人を割り出す方法

斑鳩広報官が大々的に創設をアピールしたというDDP、最新科学で容疑者が特定。四兆七千億分に一人の一致率でDNAが一致したのだから、あとはアリバイ崩しと自供だけ…と思われたが、加納警視正には何か引っかかるものが。容疑者となったのはフリーターの男性。ネトゲの世界では"バンバン"という名で有名なんだとか。玉ちゃんも絡めたこのネトゲの世界のエピソードには笑ったw玉ちゃん、一体いつしてるの?その玉ちゃんが医学について参考にしてるのが『トリセツ・カラダ』!ご自身の著書をこんなところで絡ませるとはアッパレ!

話変わり、『アリアドネの弾丸』で田口先生が関わったとされてる雪下美人殺人事件という名が出てきてたのですが、私、感想でこの事件を読んだ記憶がないって書いてます。実はこの事件、『四兆七千億分の一の憂鬱』のことらしい。そうだったのか!『アリアドネの弾丸』と『四兆七千億分の一の憂鬱』は同じ時期の話だったんですねー。

『エナメルの証言』
2009年3月、暴力団の組員の焼身自殺が立て続けに起こった。本人が書いたと思われる遺書もあり、歯の治療痕も一致しており不審な点は何もなかったが、加納警視正は納得がいかず、検案に立ち会った歯科医から話を聞くことに。すると本人かどうか確認するデンタルチャートは歯形の絵にメモを書いているだけのものだった。しかし歯科医はこれで四十二億に一人の割合で人定できるという。それでも納得いかない加納警視正は貸しがある田口先生に連絡を取り、焼け焦げ死体をAiすることになった。すると意外なことがわかった。

デンタルチャートが四十二億に一人の割合で人定できるとは驚いた!死体に対して歯の治療をするのも驚き。人定でデンタルチャートをチェックする時は必ずレントゲンも!そんな基本が守られていないのが地方における死因究明制度の実際らしい。この話に登場する栗田クンはきっとどこかでまた登場しそうな雰囲気。欲がなく争い事が嫌い、そして何といっても高度な技術を持っているので、今後の活躍(活躍というのもなんかヘンだけど)に期待!最後の章は、次回以降に含みを持たせながら、死因究明制度にモノ申すといった内容でした。

4章の前にある田口先生と玉ちゃんの会話で、「あの時までは、まさかこんなことになるなんて」「残されたものが頑張らなくては」とあるんですが、あんなこととは一体どのことだろう?今までの著書にある内容?それとも次作?

いつもどおり、医療を取り巻く体制を批判しつつも今回はそれを全面的に押し出してなく、軽いタッチのミステリで重苦しい雰囲気がなくて全体的に楽しく読めました。巻末に"桜宮市年表"がついてるのが嬉しい♪1991~2010年までの大まかな出来事、それらが書かれた作品が年表になっているのでわかりやすいです^^でも桜宮市の年表なので、それ以外のことが書かれた著書は載ってません。海堂さんの著書すべての年表あったらいいのにな。次は田口&白鳥シリーズ最終巻『ケルベロスの肖像』。既に図書館で予約済みですが、すっごい待ち人数なので年内に読めたらいいかな~。

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