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「異形の白昼 : 現代恐怖小説集」

『異形の白昼 : 現代恐怖小説集』 

異形の白昼 (集英社文庫)

 編者:筒井康隆






・『さまよう犬』 星新一
・『蜘蛛』 遠藤周作
・『くだんのはは』 小松左京
・『甘美な牢獄』 宇能鴻一郎
・『孤独なカラス』 結城昌治
・『仕事ください』 眉村卓
・『母子像』 筒井康隆
・『頭の中の昏い唄』 生島治郎
・『長い暗い冬』 曾野綾子
・『老人の予言』 笹沢左保
・『闇の儀式』 都筑道夫 
・『追跡者』 吉行淳之介
・『緋の堕胎』 戸川昌子
以上13編からなるアンソロジー。

『さまよう犬』 星新一
若い女は犬の夢を見る。たびたび同じ夢を見るのだが現れる犬は毎回同じだった。だがいつの間にか…。

たった2ページのショートショート。恐怖小説ではなく星新一らしい不思議な話という感じ。解説によると、カラー・イラストを作家に見せ、その絵にあったショートショートを書かせるといった某週刊誌の企画で書かれた作品だそうな。恐怖小説集のトップにこの作品をもってくるところがニクイ!

『蜘蛛』 遠藤周作
叔父が世話役をやっている会合に誘われた。そこで前年に体験した恐怖体験の話して欲しいというのだった。その帰りの道中…

解説を読むと、著者は恐怖譚の名手であるとともに、恐怖譚の蒐集家でもあり恐怖の体験者でもあると書かれてました。へー、初めて知りました。蜘蛛の説明というか描写がとても気味が悪いです(><)。この蜘蛛は実在するのでしょうか?

『くだんのはは』 小松左京
戦時中、空襲で芦屋の家を失った中学3年の青年は、母や幼い兄弟が疎開するまで家政婦としてきてくれてたお咲さんの好意で、ある家にお世話になることになった。だがその家にはある秘密があった。

私がこのアンソロジーを借りようと思ったのは、名作だ!と言われてる今作品が読みたかったからです。読み終えてホント名作でした。戦時中の青年の心情や、戦時中でありながら大邸宅の静寂さが伝わってきます。私は"くだん"の意味を知らなかったのですが、調べてみると都市伝説の一つだとか。そして最後のオチ!素晴らしい。

『甘美な牢獄』 宇能鴻一郎
私が台湾の寺院に行った時、奇妙な男性を目にした。半年後、その男性から手紙が届く。

手紙の内容は、ある男性の告白のような内容になっているのですが、正直、理解できませんでした。歪んだ性に対する欲望?子ども時分にいろいろと想像したりするもんですが、この想像(夢想?妄想?)は一体…。観側の治療の意味合いも謎。私には難しすぎる分野でした。

『孤独なカラス』 結城昌治
カラスの鳴声が上手だった少年は、他の子供たちから"カラス"と呼ばれていた。ある日、公園で4歳の少女が失踪した。

解説によると"精神分裂病"という世にも恐ろしい話らしいです。なるほど。確かに不気味な少年ではあるけど、こちらも私には少し難しすぎました。

『仕事ください』 眉村卓
泥酔したサラリーマンが、必死の場合、本気で念じれば人間は何でも出来ると思い、自分の言うことを何でも聞いてくれる奴隷が出てくるよう叫んだ。するとそれが現実になり…。

仕事や生活に疲れ果てたサラリーマンが酔っ払って叫ぶというありがちなシチュエーション。で、本当に奴隷を生み出しちゃったという。必要以上にまとわりつく奴隷が不気味でしたが、ラストのオチがよいです。なんか悲しくて寂しい結末です。

『母子像』 筒井康隆
私は生後7ヵ月の我が子へサルの玩具を買って帰った。赤ん坊はその玩具を気に入り、肌身離さず持っていた。ある日、妻と赤ん坊の姿が見えなくなった。

珍しい色で作られたサルの玩具を、赤ん坊に買い与えてから起こった非現実的現象です。怪奇現象といってもいいかも。読み終えて、怖さと悲しみが残る作品でした。

『頭の中の昏い唄』 生島治郎
単調な校正の仕事をしている吉村は、先輩の川井が奇妙な節まわしで読み上げるのに対し気が狂いそうだった。自宅に戻った後、今度は屋上から子供の歌声が聞こえてき、吉村は我慢ならず屋上に向かう。そして彼は…

解説に「単調さの恐怖を聴覚に結び付けてるユニークな恐怖小説。」とのこと。なるほど、校正という単調な仕事、毎度毎度繰り返される川井の単調なメロディで正気が失われていき、あんな幻想(現実?妄想?)になったんだ。対象物は違えど同じような状況の人がいそうなリアル感があり、そういう意味では脆い雰囲気がありました。

『長い暗い冬』 曾野綾子
石山は幼い息子と海外で暮らしていた。学会で来ていた精神科医である友人に、石山は夜眠れず最近はアル中の傾向があると相談する。その夜、友人が石山の家に泊まることになった。

私はこの話に登場する民話をあまり覚えておらず、もっと内容の詳細を知っていたらぞくぞくってしたかもしんない…。いや、そういう問題じゃないかも^^;無口な子供というのはやはり材料としては最強。さらにもうどうしていいかわからないラストの一言。これもリアル感ありました。解説で、編者の筒井さんは不朽の名作とおっしゃってました。

『老人の予言』 笹沢左保
長野県の温泉に1ヵ月の滞在予定で行った。そこで小説を書く仕事をするつもりだったが、定宿の若主人から相部屋をお願いされ承諾する。部屋に入ってきたのは律儀な老人だった。

読み終えて「ん?で?」という感じで意味はわかりませんでした。が、解説を読むと…そういうことなの?!と知り、真実というかオチを知った上でも2度読み直しました。うゎ、これは1回読んだだけでは難しい!でもオチを知った上で読むと奥深い!伏線は夢と老人の言葉でしょうか。わかり辛い内容でしたが、個人的には好きな部類でした。

『闇の儀式』 都筑道夫
男女5人で、そのうちの1人、坂宮の伯父がかつて住んでいた別荘へ行った。地下室で見つけたお酒を飲みながら、部屋に飾ってあった絵について坂宮が語り始める。

読み始めてアメリカのホラー映画にありそうなシチュエーションかなと。家の秘密がわかってからドキドキして読み進めたのですが、オチはそれですか。ですよね、この成り行きだったらこのオチが一番おさまりいいですよね。個人的にはもっと違う展開が読みたかったかな。

『追跡者』 吉行淳之介
終電車の中で女と眼が合い、気が付くと女と同じ駅を降りあとをつけていた。

本アンソロジーで一番短い話。一度読んで意味がわからず、解説を読んだ上でもう一度読んでみましたが…やはりよくわからず。解説にどのくだりがミソだと書いてくれてるのに私にはちんぷんかんぷんでした…。

『緋の堕胎』 戸川昌子
井田産婦人科医院は非合法な方法で診察していた。書生の青年、別居中の妻、愛人、妊婦を渦巻く内容とは…。

すごい愛憎劇です。非合法というかえげつない方法で処理をする医者に気分が悪くなってきました。倫理なんてあったもんじゃない。さらに問題はそこではないところがこの短編の凄いところ。最後にこの話を持ってきたことで恐怖小説集だったなと思い出させてくれました。


現代恐怖小説集といっても、古典的なもの、精神的にくるもの、気持ち悪いもの、不思議な感覚のもの等々、私には難しすぎる話もありましたが全体的に楽しめました。個人的に好きなのは『くだんのはは』、『仕事ください』、『母子像』、『老人の予言』、『緋の堕胎』。普段読まない作家さんが読めたのも良かったです。

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