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「月と蟹」 道尾秀介 

『月と蟹』

月と蟹

 著者:道尾秀介
 出版社:文藝春秋





<簡単なあらすじ>
小学5年生の慎一は父親が働く会社倒産をきっかけに、2年前に祖母の住んでいる鎌倉市に近い海辺の町に引っ越してきた。だが1年後に父親が亡くなり今は祖父と母親の3人で暮らしていた。その祖父は10年前に船の事故で左足下半分を失っており、取材のため同乗していた女性が亡くなるという過去を持っている。その女性の娘:鳴海が同じクラスにいることもあり、転校生の慎一は孤立してたが同じ引っ越し組で孤独の春也と一緒に行動するように。やがて2人は山の中で秘密の場所をみつけ、そこで海で獲れたヤドカリを持ち運ぶようになり願いをすると叶うという儀式を始める。そこに鳴海が加わり3人で行くようになるが、最初は他愛ない願いごとだったのが次第にエスカレートしていく。また、母親に男性の影があるのを気付いた慎一はある行動に出る。第144回直木賞受賞作品。

<感想>
『Story Seller ストーリー・セラー』や『蝦蟇倉市事件1』での道尾秀介さんが印象的で借りてきたのですが、同じような雰囲気なのかなと思っていたら全く違い、少し戸惑いながら読み始めました。

祖父の船の事故で同じクラスの母親が亡くなりクラスで孤立し、家では母親に男性の影を感じ不安を募らせる慎一、親に虐待されてるも慎一にはひた隠しする関西からの転校生である春也が次第に仲良くなり、いつしか「ヤドカミ様」に願いをすると叶うという儀式をし始めます。最初はお金が欲しいというありきたりな願いだっがのが、次第に現実的で切実な願いに変わっていくのですが、とにかくこのヤドカリに対する儀式の内容を読むのが苦痛で苦痛で…。最初からヤドカリに対する行動がいやというほど描かれており、少年2人も何の抵抗もなくそれを簡単に行なう。小学生の男の子ってこういう遊びをするもんなんだろうか。まして女の子の鳴海も一緒になってしてるし…。

思春期だけということだけでなく、大人の行動によって行き場ない思い複雑な事情を抱えた少年少女の苦しみ、憎しみ、嫉妬、不信感、そして歪んだ友情と愛情を描いてるようです。この3人には微妙な距離感があったりもします。途中まではそんな感じで大きな展開はなく進んでいくのですが、最後の「ヤドカミ様」への願い辺り一気にクライマックスへ。ここからは一気に読んでしまいました。

終盤で慎一が春也を誘って秘密の場所に行った時の2人の会話、特に春也の放った言葉は印象的。そこで「ヤドカミ様」にお願いする姿から胸騒ぎが…。もしかしたら最悪な結果になるんじゃないかと読むのが怖くなってきたほど。慎一の抑えきれない感情がむき出しになった時、子どもという言い難い雰囲気が漂ってます…。

なんて言ったらいいんだろう、大人も弱いけど気持ちの加減をまだコントロールできない少年の悲痛な気持ち、自分の苦痛を和らげるために他人のに苦痛を与えて楽になりたいと。正直、慎一の言動に「そこまでする?」という思いで理解出来ない部分もあるのですが、ここまで追い込まれるにはそう思わざるを得ない環境も影響してるんだろうな。もう一つ、母親に対する想いからの慎一の行動は男の子だから?

彼らに明るい未来は待っているんだろうか?少なくとも鳴海には明るい未来の兆しがあるように思えます。個人的には慎一よりも春也の気持ちの方が悲しくなっちゃいます。祖父の昭三は母親よりも慎一のことを理解しており、もっともっと慎一に助言をして欲しかった。
今ではなく、中高生であった10代の頃に読んだらもっとわかるものがあったかも。

-2 Comments

孔雀の森 says...""
こちらにもこんにちは~

この作者の作品は初めてです。
ヤドカリの描写は細かくて、見るに耐えぬ、という
感じでしたね。
このリアル感は確かに嫌ですが、評価の対象になっているのかも。
こういう小学生たちの姿を、実際の小学生はどう感じるだろう、
と思いました。

>彼らに明るい未来は待っているんだろうか?
祖父は、孫だけでなくほかの二人にも温かな眼差しを
おくっていましたね。
だからこの中の誰かが不幸になったら、悲しむのではないでしょうか。
私はとんでもない最後が待っているような気がしていたので、
ちょっとほっとしています。


2011.10.02 14:02 | URL | #W/rA3xXw [edit]
TKAT says...""
こちらでもこんばんは☆
道尾さんの短編は好きなのですが
(特にアンソロジーの『Story Seller ストーリー・セラー』)
長編はかなりイメージが違い読み始めてあれれ?と思いました。

ヤドカリの描写は淡々と描かれてるのが
余計にそのシーンを想像してしまい、読むのが苦痛でした(><)

>私はとんでもない最後が待っているような気がしていたので、ちょっとほっとしています。

同じくです!私も最悪な結果が待っているよな気がして
なんとも言えない気持ちで読み続けた記憶があります。

実際の小学生や中学生がこの本を読んでどういう感想を持つのか気になりますね。
といいつつ全体的の雰囲気から小学生にはあまり読んでほしくないかも^^;
といいつつ実際読んで「ま、こういうのもアリなんじゃない?」
「慎一ってナイーヴだよね」と冷静でドライな意見だったりして(笑)
2011.10.02 18:56 | URL | #- [edit]

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