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「音もなく少女は」  ボストン・テラン

『音もなく少女は』  WOMAN   

音もなく少女は (文春文庫)

 著者:ボストン・テラン (Boston Teran)
 訳者:田口俊樹
 出版社:文藝春秋 文春文庫




<簡単なあらすじ>
1950年代ニューヨークのブロンクス。耳が聞こえないイヴは、信仰深く娘の耳が聞こえないのは自分の責任と感じている母クラリッサ、暴君でクスリの売人をしている父ロメインのイタリア系両親と貧困生活を送っていた。ある日、イヴとクラリッサは教会でフランと出会う。フランはナチの迫害からアメリカに逃げてき現在はキャンディストアのオーナーで、健常者だが手話で話せる女性だった。その後、フランはクラリッサとイヴの良き相談相手だけでなく、2人に勇気と強さを与える存在となっていく。心身ともに深い傷を負っているフランも2人と出会ったこと変わろうとしていた。そしてイヴは自分と同じような父親を持ち、耳が聞こえなくなろうとしている少女ミミと出会い、自身がクラリッサとフランから受けた愛情を同じようにミミに注ごうとしていた。冷酷でクスリに溺れたロメイン、そして刑務所から出たばかりの少女ミミの父ロペスから女性たちは逃れ救われる日がくるのか…。

<感想>
イヴが生まれてから大人になるまでの成長と様々な困難を描いた物語ですが、そこにはイヴの成長だけでなく、女、姉妹、友達、母親という絆、また親子、友人、兄弟の血を超えた愛情、そして激しいまでの憎しみをブロンクスを舞台にプロローグ、第一部、第二部、第三部で構成されています。

信仰深く夫からの暴力に耐えつつ、耳が聞こえない我が子イヴに愛情を注ぐクラリッサは、フランと出会ったことで娘イヴに手話を覚えさせたり学校に通わせて世界にもっと触れて欲しいと思うように。だがそれをおもしろく思ってないのが妻を容赦なく虐待したり我が子をクスリの受け渡しに利用したり非道極まりない父ロメイン。

クラリッサも最初は夫の暴力にただただ耐えて耐えて耐え続けていたのですが、フランと出会いイヴのために立ち向かおうと決心。だってクラリッサが崇拝している神、そして警察や法律ですらも彼女たちを見放しているんですもん…。イヴとフランも耐えるところまで耐え、それでも…という場で苦難から逃げることはせず激しく立ち向かっていきます。ダメでも諦めずにまた這い上がってくる強さと勇気はどこからくるんだろう。悲惨さ、喪失感は並大抵のものじゃない。過酷すぎる運命。

そして今作品では男性の善悪をはっきりと明確にわけて人物が描かれてます。特に悪。良心のかけらもなく女性や移民を見下し暴力で押さえつけようとする。卑劣な行動すぎて読んでられない(といいつつ最後までガッツリ一気読み…)。

なぜここまでイヴの周囲で災難が起こるのかと。なにもかもが激しい。嫌な事が続きすぎてこちらまで悲しくなってきてしまう。少女から大人の女性になる間に目まぐるしいほどの苦難を経験したイヴ。それに耐え抜き決して屈することなく立ち向かうことをクラリッサとフランからから学びます。この2人がイヴに与えた愛情、それを受けたイヴはミミに対し愛情を。ただ一般的な愛情ではなく、この物語内は激しすぎるほどの…。自分の命と引き替えレベルに達してます。これもみな生きていくため、将来のため、愛のため。何気に父親からもらったカメラがきっかけで世の中を撮り始めたイヴ。そのカメラによって真実を…。

原題は『WOMAN』ですが、まさしくタイトルどおり。胸がしめつけられそうになりながらも力強い女性たちの意志が受け継がれていくので読んでられたという感じ。2011年の『このミステリーがすごい!』で2位になったので借りてきたのですが、1位の『愛おしい骨』の後に読んだせいか、こちらは文章や読みやすく最初からすんなり物語に入っていけました。田口俊樹さんは読み慣れてるからかな?

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