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「わたしを離さないで」 カズオ・イシグロ

『わたしを離さないで』   NEVER LET ME GO

わたしを離さないで

 著者:カズオ・イシグロ (Kazuo Ishiguro)
 訳者:土屋政雄
 出版社:早川書房 ハヤカワepi文庫 




<簡単なあらすじ>
優秀な"介護人"キャシー・Hは、11年以上"提供者"の世話をしている。ここ数年は"提供者"を選べるようになり、キャシー自身が育ったヘールシャムの人間を意識して世話するようになっていた。ヘールシャム――そこは他の出身である"提供者"から羨ましがられる施設で、閉鎖的ではあったが子供たちは大事に扱われ最高の教育を受けさせてもらえる場所。キャシーがそこで過ごした幼少時代を回想していく。友情・愛情・疑問・不安などを持ちながら成長していく過程、そして次第に施設の真実が明らかになっていく。

<感想>
第23回東京国際映画祭で上映された作品の原作。この映画でのネタバレしていない簡単なあらすじに目を通しただけなので、ストーリーの核心となる部分を知らず読みました。
"介護人"や"提供者"、"保護官"施設などという言葉で全寮制のような感じで読んでいたのですが、どうやら特別な生徒で普通の子供たちではない様子。普通の学校と何ら変わりないように見えて明らかに違和感が…。一体何の為の施設なのか、子供たちはどうしてここに?先生(保護官)たちは何を隠してる?と疑問に思いながら読み進んでいくと(といっても"提供者"という言葉で大体の予測はつきますが…)、ポツリポツリと何について書かれているのかがわかる言葉が出てくるように。でも確信はまだなく読み続けるとじわわと感じるようになり、途中で「やっぱり…」と納得。

これってネタバレせずにあらすじや感想を書くのが難しい…。著者自身は「最初から言ってもたいしてかわらない。そんなこと(ネタばらし)は本書の小さな一部にすぎない。なんなら本の帯に"これは○○についての物語である"と書いてくれてもかまわない」と言ってるらしのですが、それでもねぇ…やっぱりねぇ。

こういう運命だというのは宿命であり揺るぎない事実で、そのこと自体の問題性とか論理的なものは全く描かれてなく、ただただその運命を待ち受けている子たちの話。
このような話はSFとかであるけど、どちらかと言えば脱出するとか不満を持った話の方が多いような気がする。本書では、この結果が運命だと思っているのか、はたまた生まれた時から洗脳されてるせいなのか、自分の行く末をちゃんと受け入れている。これほどまでに(ルースにいたっては人並み以上?)喜怒哀楽の感情を持ち合わせているのに、全く抵抗もなにもないのがちょっと不思議だったりする。

自分たちの未来を薄々気付いていながらも、はっきりとしたことはわからない子供時代。なので保護官が話す事や噂話、いろんな出来事が重要なことに見えたり聞こえたりし、彼らはそれについていろいろ論議したりする。本当は彼らにとって意味がないことだとしても。
自分の未来をはっきり知らず、うやむやな情報や知識しか持っていないから日常に起こる出来事一つ一つにいろんな疑問を持ったり感情を持ったり。好奇心いっぱいだけど、それ以上踏み込んではいけないという自分たちでバリアのようなものを張っていたり。

小学生ぐらいの年齢から物語がはじまるので生まれた頃のこととかはわからず、将来の役目はわかっても具体的な使命はわかりません。役割自体の問題定義ではなく、彼らにまつわるエピソード的内容が大事だってことかな?使命を果たすまで、仲間たちと共に成長していく中でのさまざまな感情を描いているような感じでしょうか。

非現実的な話ではあるけれど、友情間の感情は生々しく普通の女の子となんら変わりない。だけど自分たちが辿る運命についてはもはや使命として決定づけられているせいか、さほど悲観的に思っていない。自分の決まった運命に対し「どうして自分が?」とか「受入られない」といった疑問はないんだろうか?自分たちの運命をあそこまで順応に受け入れているのはどういう経緯があったからなんだろう。

同じような内容でも、もっとSFらしい違う角度からの内容なら面白く読めたかもしれませんが、個人的に一人称で語られるキャシーの語りからはそれほど心打たれるものは得られず…。使命を果たすまでどのような感情な持ち、どのような恋をし、どのように成長していったか。映像だと原作本より多少はのめり込めるかも…。忘れた頃に映画の方を見ると、また違った感想を持つかもです。

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