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「素数たちの孤独」 パオロ・ジョルダーノ

『素数たちの孤独』   LA SOLITUDINE DEI NUMERI PRIMI

素数たちの孤独(ハヤカワepiブック・プラネット)

 著者:パオロ・ジョルダーノ (Paolo Giordano)
 訳者:飯田亮介
 出版社:早川書房 ハヤカワepiブック・プラネット 




<簡単なあらすじ>
双子の妹を公園に置き去りにしてから自責の念にかられ心に深い傷を負ったまま、まるで世界を拒否してるかのようで自傷癖があるマッティア。スキーで片足が不自由になったのは無理矢理スキーをさせた父親のせいだと憎み、心身ともに傷つき、世界に拒否されたかのように感じている拒食症のアリーチェ。孤独の殻に閉じこもった2人は高校で出会い、やがて恋とも友情ともつかぬ関係を育んでいく。大人になりそれぞれの道を歩む2人だったが、アリーチェがあるものを見たことをきっかけに再び出会う。久しぶりに会った2人は…

<感想>
イタリアで2008年、ストレーカ賞を受賞した作品(といっても私は初めて耳にする賞だけど^^;)。なんでも著者パオロ・ジョルダーノは史上最少の26歳、しかも処女作、さらに本職は物理学者ということで相当話題になったそうな。

この作品の映画化が第23回東京映画祭で上映されてるみたいで、少し前に某サイトで"原作はかなりいいらしい"と噂になっていたので借りてきました。映画の方は全くノーチェックだったので、詳細内容も著者についても予備知識なく読んだので"恥ずかしがり屋の2人の恋物語"ぐらいの軽い感じの本かと思いきや…

互いに心身傷を負い惹かれ合う2人。だけど心の奥深くにある孤独を完全にぶつけるはできずにいる。そんな2人の成長を交互にそれぞれの立場から描いた物語。暗い雰囲気になりがちな内容なんですが、どんよりしておらず意外と淡々としてる?2人が今のようになった原因、経過、それによって変わった生活、親・周囲のとの関係なども順序追って丁寧に説明してくれているので感情の変化がわかりやすく読みやすいかなーと^^

傷つけることも傷つけられることもなく、1人ですることができ、どれも同じ口調の教科書は選ぶ余裕を与えてくれるから勉強(特に数学)が好きになったマッティア。孤独→勉強好きになるとはこれはこれで将来が明るいなとちょっと的外れなことを思ってしまった(笑)。

そんな数学好きのマッティアは2人の関係をこう表現。以下引用

「素数は1とそれ自身でしか割り切ることができない。自然数の無限の連なりのなかの自分の位置で素数はじっと動かず、他の数と同じくふたつの数の間でおしつぶされててこそいるが、その実、みんなよりも一歩前にいる。彼らは疑い深い孤独な数たちなのだ。素数が普通の数の間に紛れているのはひょっとすると何かの間違いに過ぎず、ネックレスの真珠のようにそこにはまり込んで動けなくなってしまっただけでないか。あるいは素数だってみんなと同じ、ごく普通の数でいたかったのかもしれない。ただ、何かの理由でそうすることができなかったのではないか。
"双子素数"――隣りあったふたつの素数をいう(より正確に言えばほとんど隣りあった素数のペア)。ここで”ほとんど”と言うのは、このふたつの素数の間には必ずひとつの偶数があり、両者が本当に触れあうことを妨げているからだ。例えば11と13、17と19といった素数がそうだ。辛抱強くさらに数えていくと、先に進めば進むほどこうしたペアが滅多に現れなくなることが分かる。ひとつの素数から次の素数までの距離はますます遠ざかるが、数えるのを止めようと思ったまさにその時、そこでしっかりと抱きあっている新たな双子に出くわすのだ。」


なるほど、この関係の説明はわかりやすい。全ては自分自身で割り切る、自分の人生は自分で変えるもの、すなわち自分自身だけが解決への道を知っている。ということでしょうーか。そして2人は近くにいるが間に何かしらのものがあるためそれ以上ひっつくことはない。少し遠ざかっても、また存在が近くにやってくる。だが本当に触れ合うことは決してない。うーん、はがゆい。

1枚の手紙から数学に対し天才的な頭脳を持つマッティアは外国へ、一方アリーチェはカメラマン(見習い?)となり別々の人生を歩み始めるが、1枚の手紙でまた再び出会う。選択のきっかけはあるものの2人ともが今より一歩前へ出ることはない。心の中では進みたいと思っていても。こうしておけばよかった、会っている時に次はこうしようと思いはするものの実際行動を起こしたりはしない。次に何をすべきかわかっているんだけどね~。
とこのように時折、2人には決断を迫られる箇所があり、それぞれが決断した結果をみても素数な関係。だけどそれについてうじうじ思い悩むことはしない。そしていつもの生活に戻り…。こういうところがマッティアの言う素数のような関係なんだろうなー。逆のこの関係だからいいのかもしれない。そんな互いの存在が、結局のところ自分の殻を破るきっかけとなったりもするわけで。といっても2人の生活に今後、大きな変化はなさげかも…

2人とも両親との距離が随分あったのですが、年を重ね少しでも距離が縮んだ(縮もうとしている)のが救い。特にマッティア。アリーチェの方は自分のことでいっぱいいっぱいで、どちらかと言えば父親に対し恨み言を思う余裕がなくなったという感じ^^;
読み終えてこの作品は映画化にふさわしい作品だと確かに思いました。作中に舞台となる町の名は出てこないけどイタリア人が見ればわかるらしいトリノの町並みも堪能できそうだし、2人の成長過程を映像で観てみたいと思わせてくれる。映画祭での評判はどうなのかな?一般公開されるのかしら?

最後に:3で割れるかどうかを知るには各桁の数を足し合わせて3の倍数かどうか調べればいいらしい。これは勉強になった☆(一般的に知られてそうな法則なので今頃になって初めて知ったのがちと恥ずかしい…)

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