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「廃墟に乞う」 佐々木譲

『廃墟に乞う』

廃墟に乞う

 著者:佐々木譲
 出版社:文藝春秋





<簡単なあらすじ>
・『オージー好みの村』
ニセコの貸し別荘で若い女性が殺されていた。遺体の第一発見者であるオーストラリア人住民が犯人として疑われ、彼の仕事仲間が仙道に助けを求める。ニセコのオーストラリア人たちは警察との間に摩擦があるだけでなく、地元の不動産関係者とも揉めていた。
・『廃墟に乞う』
13年前に起こった札幌での娼婦殺人事件と同じ手口の事件が起こった。十勝地方の山奥にいた仙道は札幌に戻る途中、当時の犯人の故郷―夕張市の西隣にある町へ向かった。すさんだ炭住街、ダム、発電所があり貧しい環境。犯人が育ってきた背景を目の当たりした仙道は…。
・『兄の想い』
オホーツク海に面した猟師町で、町一番の人望ある若者が町一番の有力な漁師を刺し殺すという事件が起こる。漁師たちの組合グループの構成が背景にあるかと思われたが…猟師町という独特の雰囲気の中で仙道には別の視点から気になることがあった。
・『消えた娘』
仙道の前に男が現れ「娘を捜して欲しい。殺されたかもしれない」と依頼を持ちかける。札幌で警察が連続暴行犯を取り逃がし犯人はトラックに轢かれ死亡したという事件があり、その犯人の家から娘のハンドバックが見つかったという。仙道は犯人の周辺を調べ始める。
・『博労沢の殺人』
日高地方中央部にある町で競走馬生産牧場のオーナーが殺された。この被害者は仙道が捜査に加わった17年前の殺人事件の参考人だった。仙道は現場に行きトラブルが耐えなかった被害者の身辺を調べ始める。
・『復帰する朝』
3年前、ある事件で有力な証言をしてくれた女性から妹が殺人容疑にかけられているので助けて欲しいと連絡が入る。早速現場である帯広に行き被害者と妹の周辺を調べ始める復帰間近の仙道だったが…

<感想>
第142回直木賞受賞作品。
北海道警察捜査一課捜査員・仙道孝司はある事件で心に傷を負い医者から療養が必要と言われ現在休職中の身。自由な身ということもあり仙道のもとへ次々と事件解決の依頼が持ち込まれる。そして広大な北海道のさまざまな町に出向き解決していく。北海道という土地柄、社会的問題絡みの事件6篇で構成されている連作短編集。

休職中という立場で捜査するというのは珍しいパターンかも。
なぜ休職中にしたかというと、北海道全域を舞台にするには現役バリバリでは管轄の問題もあり行動範囲が狭くなってしまう。そこで組織に縛られず広範囲動けるように休職中にしたそうな。ただ休職中ということで拳銃も警察手帳も持つことが許されず捜査権も逮捕権もない。あるのは人脈だけ。
この人脈と今までの経験を生かし彼なりに解決の方向へ導いていきます。基本、休職中なので足を突っ込むことは出来ず、担当の捜査官にそれとなく犯人逮捕に向けた新たな情報やヒントを伝え、その捜査官の手柄になるように促していくという自分の立場を理解した上での行動。

どちらかといえば目立たない地味な雰囲気の主人公、私立探偵のようなことをする訳ですが休職中といえども現役の道警刑事なので言動にかなり制約があるのですが、うまく解決へと導いていくわけで。

主人公の仙道孝司はある事件で心に痛手を負っているという設定ですが、読み始めは一体どんな事件が起こりその事件によって主人公がどんな痛手を負ったのか、かなり曖昧に描いているのですが話が進むにつれ徐々に詳細がわかるようになっています。ある事件のことも最後にはわかるように。

文も淡々とあっさりしており重い内容でも後に残るような感じではないかな。軽いハードボイルドが入っており個人的には好きな文体、内容でした。事件に関わった人たちの人間模様はなかなか読ませてくれます。拳銃も登場しなければ派手なシーンもなく、歩いて関係者に話を聞いて推理する私立探偵といったところでしょうか。

全体的に暗く決してハッピーエンドではなくどこかラストが悲しい。最後の『復帰する朝』だけはちと怖い…。事件の真相を追求することで知らなくてもいいことまで知ってしまい、それが果たして皆が望んでいる結果なのかどうか…。結局、主人公の年齢や家族など詳細は書かれてなかったのですが、一体いくつぐらいの設定なんだろう。。

他の方の感想を見てると同氏のほかの著書の方が人気が高いような感じを受けますが、初めて佐々木譲氏ものを読んだ私にはこの1冊が十分に面白く読めました。ってことは他の人気ある著書を読んだらもっと面白く思えるかもしれない。。是非読まなければ。

ちなみに佐々木譲氏は好きな私立探偵にマット・スカダーを挙げてます。私もこのリーズは好きなのよね~。なんか嬉しいなぁ^^「完全に事件を解決するわけではない。一歩引いたところで、どのような解決がなされるかを示唆したところで物語が終わる。」という意味では大きな影響を受けてるそうな。そういえば仙道もそうだ。

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