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「十の罪業 RED」

『十の罪業 RED』 TRANSGRESSIONS : 10 NEW MYSTERRY NOVELLAS

十の罪業 RED

 編者:エド・マクベイン (Ed McBain)
 訳者:木村次郎/田口俊樹/中川聖
 出版社:東京創元社 創元推理文庫




・『憎悪』 エド・マクベイン
・『金は金なり』 ドナルド・E・ウェストレイク
・『ランサムの女たち』 ジョン・ファリス
・『復活』 シャーリン・マクラム
・『ケラーの適応能力』 ローレンス・ブロック
以上5編からなる中編小説アンソロジー。
『十の罪業 BLACK』ではジェフリー・ディーヴァー、スティーヴン・キング、ジョイス・キャロル・オーツ、ウォルター・モズリイ、アン・ペリーの5編が収録。

<感想>
『憎悪』
イスラム系のタクシー運転手連続殺人事件が起こった。どのタクシーにもフロントガラスに青いダビデの星が描かれており犯人はユダヤ人かと思われていた。捜査するのは87分署のイタリア系キャレラとユダヤ系のマイヤー・マイヤー。被害者の家族、関係者に聞き込みをし犯人を追うが…。87分署シリーズ。

自由の国アメリカで人種が対立するような事件が起こるストーリー。そういや87分署の刑事たちもイタリア系 ユダヤ系、アフリカ系、日系等々、さまざまな人種がいたような?自由な国だけに言いたいことを口にしてしまう。よってそれを聞いた人が感情を害することもあるわけで。アメリカらしいことをすればそれが犯罪になるとは!宗教が対立すると報復のあとにまた報復と続き、最悪な状況へとエスカレートしかねない。なんだかマクベインらしいストーリーだわ。マクベインらしいといえば犯人側からの目線も描かれているのも87分署らしい。

巻末の著者紹介に"今作品はマクベインが発表した最後の87分署シリーズ"と書かれてますが、『最後の旋律 -87分署シリーズ -』のあとがきでは

自分の死後に出版する最後の作品として87分署シリーズ最終章『EXIT(退場)』を・・・と生前に構想してており、他の作家がこのシリーズの後を引き継げないような結末にしようと思ってた。しかし結局幻になった。

とあったんですがそれとは違うよね?だって今回は中編だし"退場"とは全然関係なさそうですもん。生前に構想してただけで実際はまだ執筆してなかったのかな。どうなんでしょ。

『金は金なり』
ドートマンダーとケルプのもとへ刑務所から出てきたクワークからある儲け話を持ちかけられる。男が働く印刷工場で本物の紙幣を印刷するというものだった。何か裏がありそうだがとりあえず2人はその話に乗ることに。クワークは他の人間が計画したヤマでは有能だが自分自身のヤマとなるとどうも信用できない。ドートマンダーとケルプは無事仕事を終え報酬を手にすることが出来るのか。

こちらはドートマンダーシリーズ。このシリーズが中編で読めるのは珍しいので嬉しい^^短編ならあるんだけどね。今回のドートマンダーとケルプはなんだか賢く見えるぞ?ユーモアちっくなところはいつも通り面白いんだけど、2人のおバカさんぶりがあまり出ておらずちょっと寂しい…。でもやっぱりこのシリーズは面白い。

『ランサムの女たち』
偉大な画家ランサムは人前に出ることはなく謎に満ちていた。そのランサムから展覧会の招待状が彼を尊敬してやまない美術の鑑定士エコーのもとへ届く。展覧会でランサムから絵のモデルになるため1年間孤島に来て欲しいと頼まれエコーは行くことにするが…。一方、エコーの婚約者で警官のピーターはかつてのランサムのモデル女性たちを調べ始める。その結果、驚くべき事実が判明し…。

このアンソロジーの中で一番ページ数が多い今作品、最後の最後までストーリー展開が気になってしょーがなかった。ジョン・ファリス作品を初めて読みましたがサスペンスホラーって雰囲気かな。
謎の<黒衣の女>、ランサムの過去のモデルたちの消息、孤島での生活などがクライマックスに向かって徐々に明らかになっていき、アクションもあり、危機もありと映画にできそう。というか映画の題材にもってこい!って感じか。最後まで読んでる側を引きこませる内容で一気に読んじゃいました。

『復活』
ある大学で伝説となっている用務員の老人グラディソンがいた。解剖室から出てきた青年から初めて死体に触れた時のことを聞かれ老人は過去を振り返る。奴隷として大学用務員として働くことになった若かりし頃のグラディソンは真面目に仕事をこなしていた。ある日、博士からある仕事を任されることとなり…。

これはよく出来てる!他の4編とは全く違う雰囲気を出しておりミステリーでもサスペンスでもない。このアンソロジーの条件の一つとなっている広義の犯罪の部類に入れるのが一番よさそう。当時の奴隷という背景と仕事内容を淡々と、でもリアルに描いており時代ものを読んでるような雰囲気。この著者は他にどんな物語を書いているんだろう。興味が出てきました。

『ケラーの適応能力』
二機の旅客機が世界貿易センターのツインタワーに突っ込んだ朝を境にすべて変わってしまった。その頃ケラーはマイアミで仕事の準備をしていたが、それから飛行機に乗るのに新たなセキュリティが導入されケラーは飛行機に乗らなくなった。911きっかけにケラーに変化が…。

こちらは殺し屋ケラーシリーズ。いつもの殺し屋ケラーとは違う…。グラウンド・ゼロで救助活動している人たちに食事を配るボランティアをしたり、話を聞いてくれる相手が欲しくなったり、ぬいぐるみに話しかけたりと明らかに殺し屋らしくない行動。ドットがケラーの心の変化を代弁してくれてますが、アメリカに住むケラーにとってもタワー崩壊は衝撃的な出来事。
初めて殺しをした時にも触れられており、どうやって仕事に慣れていったかも描かれており思わず「これでケラーシリーズは終わり?」なんて思っちゃった。ケラーのメンタル面が出てる一編でした。

私の好きなウェストレイク、マクベイン、ローレンス・ブロックが収録されているので早速図書館で予約した1冊。中編というのもなかなかいいもんです。シリーズものからそうでないものまで、ほどよくのめり込んで読めました。

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