「メモリーズ」 幾米
『メモリーズ』 照相本子 MEMORIES OF YOU
作・絵:ジミー(幾米)
出版社:小学館
<感想>
あとがきによるとこの本は、「写真を撮る前後の面白さを捉えようとしたもので、全てが自由奔放な想像ではあるが、その中には、生活に対する不安な気持ちと子供の頃のかすかな記憶も少しは混じっている。そして楽しさの中には多少の滑稽さ、悲しみの中には多少のユーモアがある。ただただ無邪気な優しさもあり、悲しみと喜びの交錯した面白さがある」なんだそう。そうなんだ、著者本人のかすかな記憶も交じっているんだ~。どれだろ?
写真を撮る時ってほとんど場合身構えるもの。なので心の中では違うことを思っていてもカメラを前にすると笑顔の自分を作ってしまうこともあるはず。
後々その写真を振り返った時、他人から見れば楽しそうに見えたりしちゃうもんです。子供の頃の写真は泣いてる姿もあればふくれっ面のもあったり、その時の感情がそのまま写真になってる(笑)。子供の頃の写真を見るのは楽しいね~♪
この本は子供の頃から大人にいたるまでの写真(実際は絵だけど)で成り立っており、その時の状況説明や気持ちなどが書かれています。
著者は絵が可愛いだけなく、名言を考えるのもうまい!
例えば子供の頃、大人になったら恐竜より大きくなるんだという少年のことを、「あのころの僕をうそつきと呼ばないで おとなになる前に許されるつかの間の無邪気」と。
または「こどもの頃のあこがれは 夢の中でかなうもの」。うんうん、子供ならではって感じです。
「子供の頃の写真を見て、楽しかった出来事は思い出すけど一緒に写ってる友達の名前は思い出せない」というのは納得。誰かの誕生日会の写真を見ても、隣に座ってるクラスメイトの名前が思い出せないってことあるある。
ユーモアだって忘れちゃいない。世界帽子デザインコンテストの記念撮影、カメラマンのやきもちは面白い♪
いつも遅れてくる電車を待つ時間に正確な男性の話もユーモアあって面白い。と思っていたらその写真に対し「同じように刻まれる毎日 待つだけでは幸せはこない」って…。私のこと(笑)?胸にグサってきたよ^^; 「水着姿を見られるのが恥ずかしくてバスタオルをはおってた少女時代、時は流れ見せたいと思うころには輝きはひっそりと消えていく…。」私の場合、見せたいという思った時からさらに時は流れ、水着って何?着る物だっけ?って次元まできてます(笑)。
楽しい思い出や苦い思い出、様々な思いが込められた写真には著者の思いも込められてるんですよね。この本を読んで昔撮った写真に対する思いがよみがえってきちゃった。
『君のいる場所』に関連したような写真もあったり、楽しくそして懐かしく読める1冊でした。過去を思い出すヒントとなる写真ってやっぱりいいね♪