TK.blog

好きな映画や小説etc

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「思いがけない話」 ちくま文学の森6

『思いがけない話』 ちくま文学の森6 

思いがけない話
 編者:安野光雅/森毅/井上ひさし/池内紀
 訳者:大津栄一郎/杉捷夫/堀口大学
    平井肇/米川正夫/瀧口直太郎
    小松清/中西秀男/西川正身
    山田稔/下位英一/種村季弘
 出版社:筑摩書房 <ちくま文学の森6>


『夜までは [詩] 』 室生犀星
『改心』 O・ヘンリー
『くびかざり』 モーパッサン
『嫉妬』 F・ブウテ
『外套』 ゴーゴリ
『煙草の害について』 チェーホフ
『バケツと綱』 T・F・ポイス
『エスコリエ夫人の異常な冒険』 P・ルイス
『蛇含草』 桂三木助演
『あけたままの窓』 サキ
『魔術』 芥川龍之介
『押絵と旅する男』 江戸川乱歩
『アムステルダムの水夫』 アポリネール
『人間と蛇』 ビアス
『親切な恋人』 A・アレー
『頭蓋骨に描かれた絵』 ボンテンペルリ
『仇討三態』 菊池寛
『湖畔』 久生十蘭
『砂男』 ホフマン
『雪たたき』 幸田露伴
『物語について』 森毅
この中からいくつか紹介。
『改心』
金庫破りの名手ジミーは小さな町で銀行家の娘アナベルに恋をし、その地にとどまり商売も成功し、アナベルと結婚の約束までしていた。まっとうな道を歩むため悪事から足を洗おう決心していた矢先、アナベルの父親の銀行にある新しい金庫室にアナベルの姉の子が閉じ込められてしまう。ジミーは子どもを助けるために皆の前で金庫を開けることにするが、その様子をジミーを追ってる刑事が見つめていた。
足を洗って幸せをつかもうとしていた矢先、子どもを助けるために昔の悪事を自ら披露してしまうことになるのですが、ラストはジミーも刑事もかっこいい!と同時にかんなりクサいけど^^; クサいけどこういう短編結構好き♪

『くびかざり』
官邸の舞踏会に行くことになったマチルドは、金持ちの友達からダイヤの首飾りを借りることにした。しかし帰宅してみるとその首飾りがなくなっていた。急いでよく似た首飾りを買って返したが、3万6千フランもしたため夫婦の生活は一転し10年間借金を払い続けることに。その後首飾りを貸してくれた友達に偶然出会い、実は借りた首飾りを失くし借金してまで代用品を購入したことを話すと、その友達が思いもしない言葉を発した。
やっぱり!というラストでしたが、陰に隠れて目立たない夫が一番気の毒なのは気のせい?ドレスは買わされ舞踏会では妻に恥だと思われ、挙句の果てに借金生活。もし友達に首飾りを借りなかったら?首飾りを失くしたと正直に言っていれば?人生は一瞬にして変わるんです。

『嫉妬』
ヂェヌヴィエエヴのところへ友人ディアアヌがやってきた。夫が女性にだらしなく、今現在は踊り子といい仲にありどうしたらいいかという相談だった。ディアアヌは家へ帰り、今度は夫に友人のヂェヌヴィエエヴは最低な男と結婚するらしいと言う。実は夫が友人と浮気してると思い込み、自白させたかったのだった。実際は浮気をしていなかった2人だったが、ディアアヌの戦略により彼女の話す内容に嫉妬を覚え、心の底で互いに惹かれあってたことに気付くのだった。
これこそ「思いがけない話」。ディアアヌが友人と夫それぞれに対し中傷を言わなければ、こんな結果にならなかったかもしれないのに。3人がそれぞれが持つ嫉妬、明暗がくっきりわかれることに。ん?よく考えたらこれって不倫なんじゃ・・・。

『煙草の害について』
妻からの勧めで「煙草の害について」という講演をすることになったニューヒン。妻が来てないこともあってか、話は本題から脱線しいつの間にか妻の愚痴に。最後の締めくくりは・・・。
こりゃ面白い。このシリーズで読んだ『結婚申込み』『コーラス・ガール』といい、ユーモアあって単純で読みやすい。機会があったらチェーホフの短編集を読んでみよう♪

『あけたままの窓』
フラムトンはある土地で姉が紹介してくれたミセス・サプルトンを訪ねた。その女性の姪と名乗る15歳の女性が話し相手をすることに。姪は開けっ放しにしている窓のまつわるミセス・サプルトンの悲しい話をし出す。その話を真に受けたフラムトンは・・・。
姪の話を裏付けるような展開、フラムトンの精神状態からストーリーは姪の思うがままという感じ。即席でここまで話がうまく進んだら姪もさぞかし満足したことでしょう。

『魔術』
主人公は魔術の大家であるミスラ君の魔術を見て、自分も使えるように教えてもらうことに。ただ魔術を使うには欲を捨てなければならなかった。1ヵ月後、友人たちの前で教えてもらった魔術を披露するが、欲を出してしまった。その時ミスラ君の声が聞こえ・・・。
欲を出してはいけないと思っていても、土壇場で欲を出してしまう。そんな気持ちの脆さを描いているのでしょうか。『あけたままの窓』の次に収録されており、ユーモア的感覚から一気に現実に戻されてしまいました・・・。

『親切な恋人』
男の部屋に彼女がやってきた。部屋へ入った途端、寒い!足が氷みたい!と言うが部屋には暖まるものが何もなった。そこで男は自分のお腹を切り、そこに彼女の足を入れさせた。翌朝、彼女は彼のために傷口を丁寧に縫ってあげることに。2人にとってこの一夜は最高の思い出となった。
な、なんちゅー話^^;自分のはらわたの中に彼女の足を入れて暖めるなんて!でもですね、表現がいいんです。「湯気の立つ虹色のはらわた」なんて、実に暖かそうだし7色だよ?!しかも暖めてくれた彼に対し、ちゃんと傷口を縫ってあげてる。かなり奇妙でブラックだけど、どこか憎めないステキな恋人たちの話に思えてしまうのはなぜ・・・。

『仇討三態』
1:父親の敵討ちをするために故郷を出て16年、母親の死に目にも会えず結局僧になってしまった。そんな中、かつて探し求めてた仇敵を見つけた。仏道の道に進んでしまった男はどのような行動を取るのか。
2:親の敵討ちの旅に出た鈴木兄弟は8年経って敵を見つけた。だが見つけたのは弟で、敵討ちをするなら兄弟2人でと思っていたため兄が帰宿するのを待っていたが、その間に敵は病死してしまった。一方、同藩の久米兄弟は30年かけて親の敵討ちをした。
親の仇討ちをしそこなった兄弟と見事仇討ちをした兄弟、なにかと比べられる兄弟ですが、8年と30年、周囲からなにを言われようがそれぞれしかわからない苦労があります。見事敵討ちに成功すると賞賛される時代であったても、敵討ちにだけに費やした人生、これが幸せかと言えばそうではない。これが敵討ちをする人間の本音なのかも・・・。
3:正月に奉公人たちだけの祝酒で酒が入ったこともあり、料理番の嘉平次はかつての旧主のフリをし、朋輩の男である幸田を切り殺した話をする。
その話を偶然聞いてた幸田の娘に嘉平次は仇討ちにあうという話。見栄を張り、あたかも自分が切り殺したと嘘をついたために仇討ちにあってしまうというなんとも皮肉な・・。いくら楽しい酒の上の話でも、話を大きくしちゃいけません。

あとこんな愛ってあるの?という『湖畔』や怪奇的な『砂男』も印象的でした。

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://tkat.blog55.fc2.com/tb.php/302-ca8e2d25
該当の記事は見つかりませんでした。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。