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「悪いやつの物語」 ちくま文学の森8

『悪いやつの物語』 ちくま文学の森8     
   
 編者:安野光雅/森毅/井上ひさし/池内紀
 訳者:栗栖継/瀧口直太郎/山田稔
    米川正夫/中西秀男/宇野利泰
    杉捷夫/鮎川信夫/守屋陽一
    田中西二郎/平井呈一
 出版社:筑摩書房 <ちくま文学の森8>


『囈語』 山村暮鳥
『昼日中/労賊譚』 森銑三
『鼠小僧次郎吉』 芥川龍之介 
『女賊お君』 長谷川伸
『金庫破りと放火犯の話』 チャペック
『盗まれた白象』 マーク・トウェイン
『夏の愉しみ』 A・アレー
『コーラス・ガール』 チェーホフ
『異本「アメリカの悲劇」』 J・コリア
『二壜のソース』 ダンセイニ
『酒樽』 モーパッサン
『殺し屋』 ヘミングウェイ
『中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃』 三島由紀夫 
『光る道』 壇一雄
『桜の森の満開の下』 坂口安吾
『女強盗』 菊池寛
『ナイチンゲールとばら』 オスカー・ワイルド
『カチカチ山』 太宰治
『手紙』 モーム
『或る調書の一節』 谷崎潤一郎
『停車場で』 小泉八雲
この中からいくつか紹介。
『昼日中/労賊譚』
「昼日中」:休茶屋の亭主に1人の男が多めの釣りを渡してこう言った。「向かいの店の紋を盗むから、知らぬ顔をしててほしい」と。それを聞いた亭主は自分の店のことより男がいつ盗みをするのか向かいの店が気になってしょうがなかった。結局何事も起こらず、店を閉めて奥に入った亭主に待ち受けていたのものは・・・。
「労賊譚」:大ベテランの大泥棒である七兵衛のところへまだまだひよっこの富蔵が泥棒の話を持ちかけてきた。富蔵が何か企んでいるのを七兵衛は察し、事前にある対策を考えていた。そんなことを知る由もない富蔵は七兵衛をハメようとするが・・・。
「昼日中」は店の亭主に泥棒予告をし、亭主がそのことに気をとられることを想定してる手口は単純そうに見えて、実は人間心理をちゃんと考えた上での犯行。「労賊譚」は悪事を働くのもやはり経験と相手が何を考えているのか見抜く洞察力が大事。両方とも軽妙で面白い♪やはり悪人になるには2つの話のように一枚上手じゃないとね。

『夏の愉しみ』
語り手"私"の隣に意地悪女が住んでいた。まったくイヤな奴だったので私は意地悪女に対し数々の悪戯をしかけた。ある日、意地悪女が飼ってる猫に蛍光塗料を塗り、夜にその猫を見た意地悪女はあまりにも驚いて倒れてしまった。
隣人がイヤな奴といっても、実際何かされたとかではなく、ただ単に隣人に対し嫌がらせをして喜んでる"私"。ここまで凝ったことをするなんて嫌がらせが生きがいのような"私"。隣人がイヤな奴じゃなくても結果は同じことのような・・・。

『コーラス・ガール』
コーラス・ガールとある男性が一緒にいると、男性の妻が訪ねてきた。そして「主人はここにいるんじゃないか、会社のお金を使い込んでとんでもない立場にいる主人、そのお金であなたに貢いだものを返してくれ。じゃないと自分たち家族は破滅してしまう」と訴える。男からのプレゼント以外の物も渡してしまったコーラス・ガール。違う部屋に隠れて一部始終を聞いていた男性が放った言葉は・・・。
コーラス・ガールが見事騙されてしまうという話。浮気をする夫とその場に乗り込む妻、この夫婦(もしかしてただの詐欺コンビ?)は不倫をしてるというコーラス・ガールの立場、心理をよく把握してます。コーラス・ガールにとっては踏んだり蹴ったりの結末。

『異本「アメリカの悲劇」』
ある青年が、金持ちだけどケチな老いぼれ伯父を殺し、伯父のフリをして自分に遺産がはいるよう遺言書を書きかえようと計画を立てる。しかし遺産を狙ってる男が他にまだいた。
青年が老人になりすますにはかなり無理がありそうですが、全くバレないのが不思議というか不自然。歯を全部抜いたり努力はしたものの、結果がこれじゃ元も子もない^^;遺産が絡んだ陰謀を企てるには、念入りに慎重にしないといけないという教訓?

『二壜のソース』
菜食主義者スティーガアは貸別荘で少女と同棲をしていたが、ある日少女が行方不明となる。スティーガアはその日から庭のらかまつの木を1本1本切り倒すという奇妙な行動に出た。肉切り包丁やヤスリを購入するなど疑わしい行動はあるものの、少女の死体らしきものは全く見つからなかった。ソースを卸す仕事をしているスミザーズは、スティーガアがソースを肉料理専用ソースを二壜購入したという記事を読んでこの事件に興味を持ち、同居人のリンリイに解決を求める。
読み始めてから、これは犯人がどのようにして死体を始末したかという謎解きミステリーかなと思ってたのですが、ちょっと違いました。結局最後まで明確に死体の行方については書かれておらず、文章中のヒントとラストの言葉から読み手に想像を任せるといった感じでしょうか。なので死体の行方を想像した私は・・・気分が悪くなってきた・・・

『ナイチンゲールとばら』
男子学生は、恋焦がれてる女性に赤いバラを贈りたがっていた。恋に悩んでいる学生を見てナイチンゲールは、彼のために自分の命と引きかえに赤いバラ一輪を用意した。
バラをもらった女性は全く悪気はないものの非常に現実的で、男子学生とナイチンゲールのロマンチストな想いは音を立てて崩れてしまうという・・・。恋は生命より勝るという純真なナイチンゲールの健気な行動が不憫すぎてならない(泣)。

『カチカチ山』
ウサギがタヌキを成敗する有名な「カチカチ山」を太宰治風にした話。ウサギを16歳の美女ウサギ、タヌキをお調子者の37歳の男性タヌキとし、ウサギに惚れてるタヌキはひどい仕打ちをされようが惚れた弱みに付け込まれてしまう。ウサギはタヌキを心底嫌っており、残酷な仕打ちを繰り返すというもの。
「カチカチ山」ってこんな話だっけ?と思いながらも上手にアレンジしてると感心。40歳前の男性が欲を出して若い美女にちょっかい出すと痛い目にあうという教訓のようになってる。ほかの昔話も太宰治風で読んでみたいな~。

『停車場で』
窃盗を犯し巡査を刺した殺人犯が警部に連れられてある停車場へ着いた。警部が多くの見物人の中にいた殺された巡査の妻と幼い子を殺人犯の前へ呼び、幼い子に対し「目の前の男が父親を殺した犯人だからよく見ておきなさい」と言う。幼い子に泣きながら睨まれた犯人は許しを請う。
自分の犯した罪によって父親の顔を知らない子どもを見た途端、自分の罪を深く反省するのですが、これは子どもに対する潜在的な愛情が罪人の改悛を促していると作者は書いてます。確かに。強盗犯人に対し田舎から母親を呼んで説得してもらうというパターンも改悛を促すという点では同じなんだろうな。

「悪いやつ」がテーマになってますが、さほど悪くないやつもいたりして多様な内容になってました。特に印象に残ったのは『昼日中/労賊譚』、『二壜のソース』、『カチカチ山』、『停車場で』かな。

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