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「機械のある世界」 ちくま文学の森11

『機械のある世界』 ちくま文学の森11     
   
機械のある世界 (ちくま文学の森)
 編者:安野光雅/森毅/井上ひさし/池内紀
 訳者:岩崎純孝/江口清/西脇順三郎/米川正夫/
     吉村正一郎/池内紀/徳永康元/瀧口直太郎
     阿部知二/五十嵐仁
 出版社:筑摩書房 <ちくま文学の森11>



『引力の事』 福沢諭吉
『私の懐中時計』 マーク・トウェイン
『時計のネジ』 椎名麟三
『メカに弱い男』 サーバー
『自転車日記』 夏目漱石
『瞑想の機械』 ボンテンペルリ
『怪夢 抄』 夢野久作
『シグナルとシグナレス』 宮沢賢治
『ナイチンゲール』 アンデルセン
『両棲動力』 A・アレー
『栄光製造機(政府ノ保証無シ)』 ヴィリエ・ド・リラダン
『流刑地にて』 カフカ
『To the unhappy few』 渡辺一夫
『メルツェルの将棋差し』 ポー
『金剛石のレンズ』 F・オブライエン
『フェッセンデンの宇宙』 E・ハミルトン
『実験室』 中谷宇吉郎
『操縦士と自然の力』 サン=テグジュペリ
『軽気球』 ラーゲルレーヴ
『蓄音機』 寺田寅彦
『天体嗜好症』 稲垣足穂
『夢みる少年の昼と夜』 福永武彦
この中からいくつか紹介。
『私の懐中時計』
全く狂いがなかった懐中時計がある日止まってしまった。宝石時計店や時計専門店、時計屋に持ち込むが結局元には戻らなかった。別の時計屋へ持ち込むが・・・。買った時の値段よりはるかに修理代にお金がかかってしまい、最終的に持ち主の堪忍袋が切れてしまうという話。マーク・トウェインの短篇は初めて読んだのですが、こんなオチを持ってくる作家だったとは知らなかった。私の中のマーク・トウェインのイメージが変わったかも。

『自転車日記』
ロンドン留学時に、自転車の稽古に励む体験記。
「ヒゲを蓄えた男が女の自転車で稽古をするとは情けない」とあるからこれは自伝なのかな?東洋の成人男性が悪戦苦闘してる姿は現地の人にはさぞかし珍しい光景だったんでしょうね~。坂の上から転がり出す場面やある令嬢からサイクリングに誘われる場面はユーモアに書かれてて面白い♪自転車に乗る稽古という何気ないことを面白可笑しく書く夏目漱石はやっぱりすごい。

『瞑想の機械』
バルセロナでエレベーターの行動をに変える男がいた。エレベーター係のその男は独特の理論を持っており、ある乗客に自分の考えを披露するが・・・。
エレベーターでここまで瞑想するとはただただびっくり。ダンテの階段を引き合いに出したり、エレベーターが動く方向が決まっており天に向かって無限に進むという・・。真から瞑想にふけるエレベーター係のその後が気になる。エレベーターと共に天への旅行をはじめたんだろうか・・・瞑想はまだまだ続きそう^^;

『怪夢 抄』
「工場」「空中」「街路」の3篇からなる怪奇的な話。
「工場」はまさしく悪夢でホラー的な感じで重い。「空中」は怪奇現状っぽいけどインパクトあり。「街路」はなんだか都市伝説のよう。違うタイプの3つのストーリーですが、どれも結構好きかも。

『シグナルとシグナレス』
鉄道本線の信号機シグナルと軽便鉄道のシグナレスは互いに恋をしていた。それに対し本線シグナル附の電信柱は身分違いの恋に対し怒り心頭。倉庫の屋根はシグナルとシグナレスを一緒にさせてやろうとするが・・。
シグナルは意外に積極的にシグナレスにアピールし、シグナレスも同じ気持ちで結婚の約束をするのですが、歯が浮くようなセリフが何とも・・・^^;信号機を擬人化しての切ない恋物語でした。

『流刑地にて』
学術調査の旅行家が、流刑地である機械を使った死刑に立ち会うことになった。前司令官が発明したこの機械に誇りを持っている将校は長々と説明をするが、現司令官はこの機械に疑問を持っており、将校は旅行家に現司令官にはこの死刑方法について意見を言ってくれるなと頼む。しかしこの方法に不満がある旅行家は断る。その言葉を聞いた将校がとった行動は・・・。
流刑地の裁判官という立場、これこそが正義だという軍隊的な秩序に誇りを持っており、新しい時代の流れに背を向けてる将校。信念を貫く姿勢は、生きてる時代・国が違えばヒーローになりえたかもしれない。内容的に重いですが印象に残る作品でした。

『金剛石のレンズ』
物心ついた頃から顕微鏡に魅せられた主人公、金剛石のレンズを手に入れるため殺人まで犯してしまう。そして完璧なレンズが完成するが、そのレンズを通して完全無欠の女性"擬女"を発見した。顕微鏡から目を離すとただの水滴。その中にいる"擬女"にすっかりハマった主人公だったが、ある日"擬女"に異変が起こった。
自分でも妄想だとわかっており、現実の女性に目を向けるが"擬女"を知ってしまった今では手遅れ。結局は狂人と呼ばれるのですが、何かにハマりその中で自分の世界を作り出してしまうのはわかるようなわからないような・・・。

『フェッセンデンの宇宙』
天文学者のフェッセンデンを訪れたブラッドレイは恐るべきものを見せられる。なんとフェッセンデンが実験室に1つの宇宙を創造していた。しかも縮小された宇宙といっても現実とまったく同じ生物がいる本物の宇宙。フェッセンデンはこの小宇宙に対し様々実験をし、ここに住む人々にどのような変化を
もたらすかブラッドレイに見せるが・・・
ブラッドレイはこの様子を超倍率顕微鏡で見るのですが、現実と同じ自然法則で形成されてる小宇宙。科学的な詳細はよくわからなくても、フェッセンデンの手に握られた小宇宙はすごい!しかもこの小宇宙の時間はものすごい速度で進めることが出来る。地形の変化、そしていろんな生物が進化し惑星は発展していく。
この作品は有名らしいのですが、全く知らなかった私にはとても新鮮に感じられました。実は自分の運命や災害は誰かが操作してる・・・こう考えるとよく似た感じの内容をどこかで読んだ(観た?)気が・・・。

『軽気球』
「軽気球にのって六週間」という小説をとても気に入って読んでる発明や探検旅行を夢見てる仲の良い兄弟がいた。兄は13歳で弟は1つ下。両親は別れることになり2人は父親と一緒に住むことになったが、いつしか希望も持てない状態に。ある日スケートをしに出掛けた2人は大きな軽気球が飛んでるのを見つけた。あまりの嬉しさに追いかけるのだったが・・・。
どうしよもない父親と暮らすことになってもいつか自分たちを愛してくれるだろうと少しの期待も持ってたのに、いつしか子どもたちは深い絶望に。そんな中、大きな軽気球が飛んでるのを生まれて初めて見た2人の喜びようを考えるとラストは切なすぎる(悲)。夢に向かって前に進もうとする2人に待ち受けていたものは・・思い出しただけでも目頭が(泣)。

『機械のある世界』というタイトルから、もっとコテコテの機械ばかりが登場するのかと思いきやそうじゃなかった^^;
個人的に印象に残っているのは特に『自転車日記』『流刑地にて』『フェッセンデンの宇宙』『軽気球』かなぁ。全体的に面白く読めました♪

-2 Comments

kazuou says...""
これも、シリーズ中で出色の巻ですね。
面白さ重視とはいえ、文学全集に『フェッセンデンの宇宙』を入れたのは、編者の英断だと思います。
一時期、ハミルトンの短編集が絶版になっていたころ、『フェッセンデンの宇宙』が読めたのは、唯一この巻だけでした。僕のこの作品の初読もたぶんこれですね。

あと『軽気球』もけっこう味のある話ですね。
2008.03.14 20:33 | URL | #- [edit]
TKAT says...""
こんばんは、kazuouさん。

ハミルトンが絶版の時期ってあったんですね。『フェッセンデンの宇宙』が読めたのはこの巻だけだったとは!なんとな~くウッドハウスを思い出します。今みたいにシリーズが出るまでは、図書館で戦前の翻訳本を借りて読んでましたもん^^;

全集は編者によってかなり内容が変わってきますよね。このシリーズはアンデルセンからSF作家、さらには日本だけでなく世界各国の作家を集めてるので読み応え十分にあります。
電車通勤時にこのシリーズを読むのが日課になってしまいました^^
2008.03.14 23:33 | URL | #- [edit]

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