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「変身ものがたり」 ちくま文学の森4

『変身ものがたり』 ちくま文学の森4     
   
変身ものがたり
 編者:安野光雅/森毅/井上ひさし/池内紀
 訳者:川口篤/中村真一郎/平井肇/石川淳/
     高橋健二/荒俣宏/田辺貞之助/清水徹
 出版社:筑摩書房 <ちくま文学の森4>



『死なない蛸』 萩原朔太郎
『風博士』 坂口安吾  
『オノレ・シュブラックの失踪』 アポリネール
『壁抜け男』 エーメ(エイメ)
『鼻』 ゴーゴリ
『のっぺらぼう』 子母沢寛
『夢応の鯉魚』 上田秋成
『魚服記』 太宰治
『こうのとりになったカリフ』 ハウフ
『妖精族のむすめ』 ダンセイニ
『山月記』 中島敦
『高野聖』 泉鏡花
『死霊の恋』 ゴーチエ
『マルセイユのまぼろし』 コクトー
『秘密』 谷崎潤一郎
『人間椅子』 江戸川乱歩
『化粧』 川端康成
『お化けの世界』 坪田譲治
『猫町』 萩原朔太郎
『夢十夜』 夏目漱石
『東京日記 抄』 内田百
この中からいくつか紹介。
『オノレ・シュブラックの失踪』
金持ちのオノレは年中ガウンのようなものを羽織ってるだけで、素足につっかけ靴を履いていた。なぜなら危険が迫っている時カメレオンのように周りのものに同化することができ、すぐ裸になれるからという理由。ある日オノレの身に危険が迫った時、いつものように壁に同化したが・・・。『壁抜け男』のようなインパクト性はないけれど、奇抜な話ではあるかな。

『壁抜け男』
壁を通り抜けることが出来るという不思議な能力を持っている男の話。普段はこの能力を使おうとはしなかったが、勤務先にやってきた新しい次長が嫌な奴だったため、壁抜けをして仕返しをする。調子に乗った男は窃盗をし、注目を浴びることに喜びを感じていた。さらにエスカレートしていくがいつものように壁抜けをしようとすると・・・。
かなり昔に読んだことがあったのですがやっぱ面白い。ユーモアもあるし♪軽妙奇抜という言葉がピッタリだわ。今でも壁の中にいるんじゃないかと思ってしまったり(笑)。モンマルトルには「壁抜け男」をモチーフにした彫刻(エーメが壁を抜けようとしている)があるそうな。

『鼻』
ある朝、理髪師がパンを食べようとすると中から鼻が出てきた。びっくりした理髪師は河へ鼻を捨ててしまう。一方その鼻の持ち主コワリョーフは、朝起きて鼻がなくなりその場所がのっぺらぼうになってるのに驚く。街中で偶然にも自分の鼻を見かけ、後をついていくが・・。
ありえん、朝起きたら自分の鼻が失踪してるなんて。奇想天外にもほどがある~(笑)。馬鹿馬鹿しすぎるけどユーモアがあるといっちゃある。ただ全体的に一体何がどうなったのかイマイチ把握できないけど(苦笑)。そう読者が思うのを見通して、ラストで作者が弁解(?)してるようにも思えたり。

『夢応の鯉魚』
延長の頃、三井寺に興義という僧がいた。絵が好きな興義は魚をよく描いており、夢に出た魚までもを描いていたがある日病に倒れ臨終を迎えた。その頃興義は夢を見ており、魚になって湖を泳いでいた。しかしあまりにもお腹が空いて漁師の釣り糸の餌に食いつくとつかまってしまい、料理される寸前に大声で助けを求めるが気付いてもらえない。と、ここで目が覚めた。
「雨月物語」の中の一編。このストーリーは臨死体験なのでしょうか。最後の興義の言葉がいいです。「人間の苦痛の叫びは他人の耳には入らない。それどころか住む世界が異なれば、酒の肴になる仕儀である」と。さらに興義は長生きした後、亡くなる前に鯉の絵を湖に散らすと、描かれていた鯉が紙から離れて泳ぎ始めるだなんて。なんてロマンチックなんでしょう。ちなみに興義は実在した僧なんだとか。(そうなの?)
『こうのとりになったカリフ』バグダッドの王カリフは、動物の姿になれる魔法の粉が入ってる小箱を手に入れた。宰相とこうのとりになったが、元の姿に戻る呪文を忘れてしまった。そんな時、ふくろうの姿にされてしまった王女と出会う。
なんだろう、外国のおとぎ話のような感じ。でも変身するという点ではまさしくその言葉通り(笑)!

『山月記』
隴西の李徴は、将来は詩家として名を残そうと思っていた。しかしなかなかうまくいかず、生活は苦しくなる一方だった。その後公用で旅に出た時に発狂し行方不明となる。翌年、友人の袁傪が河南省へ行った時に一匹の虎と遭遇するが、その虎は李徴だった。
普段は虎の本能を持っている李徴だが、一日のうち数時間は人間の心に戻るため、自分がどうしてこんな運命になったのか。いずれは人間の心を忘れてしまい、獣となってしまうことを恐れている李徴は虎になって今までの自分の愚かさに気付くのですが、それでも家族のことより先に自分の詩を伝録して欲しいと袁傪に頼んでしまうのです。そんな自分のことをよくわかっている李徴。うーん、読み終わった後、何とも言えない余韻が・・。この『変身ものがたり』で一番印象に残った作品だったかも。『文字禍』も読んでみたいな~。

『人間椅子』
有名作家の佳子のもとに封書がきた。原稿が送られてきたのかと思われたが、そこにはある男性が綴った罪悪の告白だった。醜い容貌である自分は家具職人で、大きな肘掛椅子を製作した際、椅子の形に合わせて自らが入れるスペースを作ったこと。その椅子にさまざまな人が座ったこと。ある役人に購入され夫人が使用しようしてたこと。そしてその夫人を愛してしまったこと。読み終えた時、女中から一通の封書を渡された。そこには・・・。
読み終えたあと、なんだそうだったのか~なんて思ってましたが、椅子がある店から役人に渡ったこと、書斎に置かれたことなど詳しく知ってる模様。これは内容に真実味をもたせるために下調べしたってこと?あるいはストーカー?結果的には佳子を騙せた(?)わけだから、封書を送った主からしたら大成功ってことなんだろうな。しかしタチが悪い^^;

『お化けの世界』
善太と三平という小学生の兄弟は、どちらの動物が強いか真似をしてよく遊んでいた。だがある日、父親が会社を辞めることになり自宅が差押さえに。かつて父親の兄が自殺したことがあり、三平は子供ながらに不安になっていた。兄弟と父親がじゃれてる時に、鼻をつままれてもお腹の帯をきつく引っ張られても首を絞められても「いい気持ちだな、眠るように気持ちがいいよ。死んだっていいさ」と父親が言ったことに三平は死ということを考えるようになる。
お兄ちゃんの善太は死を理解してるようなのですが、弟の三平は死というものをまだまだ理解しておらず、父親の言葉を信じてます。なので犬に対し残虐な行為をしようとしたり、橋の上から川へ飛び込もうとしたり。何にでも疑問に思う幼い少年をリアルに描いているような気がします。

『夢十夜』
感想はこちら

夏目漱石の『夢十夜』が読みたくて借りてきた一冊(といっても『夢十夜』はもう一冊借りてきました^^;)。このシリーズって結構有名どころを収録してたんですね~。今回『山月記』を知ることが出来て良かった♪またこのシリーズを借りてこよっと。

-4 Comments

kazuou says..."ちくま文学の森"
このシリーズは、それまでほとんどなかった「テーマ別」編集、ということで、ユニークな全集でしたね。
「歴史的価値」が先行しがちな文学全集にあって、このシリーズほど「面白さ」を重視した全集はそれまでなかったんじゃないかな、と思います。だってふつうの文学全集にエイメとかダンセイニなんて入らないですもんね。
『変身ものがたり』はなかでも面白い巻でした。『オノレ・シュブラックの失踪』と『壁抜け男』を同時収録、というのも狙っているなあ、という感じがします。

このシリーズだと、ほかにも『機械のある世界』『おかしい話』『思いがけない話』『恐ろしい話』『奇想天外』なんかが面白いですよ。『機械のある世界』に至っては、ハミルトン「フェッセンデンの宇宙」なんて、SFまで入っているのがすごいです。
あと『おかしい話』『奇想天外』は、ナンセンスなユーモア作品が集められているので、ユーモア小説好きのTKATさんにはお勧めです。
2008.01.27 08:29 | URL | #- [edit]
TKAT says...""
おはようございます、kazuouさん。

夏目漱石の『夢十夜』を探さなければ、おそらくこのシリーズを知ることはなかったでしょう(笑)。世の中にはこんな面白い全集があったんだと感激しちゃいました^^
この巻は「変身」がテーマになってますが、ユーモアあるものから哀愁あるものまで幅広くよく集めたなと~。
『オノレ・シュブラックの失踪』と『壁抜け男』を続けてもってきたのはやっぱり狙ってますよね^^

このシリーズの他の巻を調べてみたのですが、どれもこれも面白そう。今回興味を持った中島敦さんが入っている『ことばの探偵』『とっておきの話』も気になりますが、まずはユーモア作品が収録されてる『おかしい話』『奇想天外』が先かな。
今年の目標はこのシリーズ半分制覇にしよう!←全部じゃないのが現実的でいいでしょ(笑)?
2008.01.27 10:37 | URL | #- [edit]
hiyo says...""
こんにちは!
この全集、私も図書館でみかけました。
借りなかった理由はズバリ!日本人の作家の作品が多かったからです・・・最低な読者ですな、私って。

さてさて、気が付けば(笑)、私TKATさんのblogをリンクしていませんでした!
これは大変!と思って、早速リンクさせていただきました。
今後とも宜しくお願いします♪
2008.02.02 12:25 | URL | #B9A5zm5U [edit]
TKAT says...""
こんにちは、hiyoさん♪

こちらの全集は結構面白かったですよ~。といってもまだ1巻しか読んでないけど^^;

さて、リンクありがとうございます♪やっとhiyoさんに認めてもらえた!と感激しております(笑)。もちろん私もリンクさせていただきましたよ~。今後ともよろしくです♪

さてさて、今日コメントをくださってよかった!なぜなら今日、台北に行くから♪♪明日以降だったらコメント放置状態でした^^;6日間だけの滞在ですが、楽しんできまーす。また詳細は別途報告♪
2008.02.02 13:30 | URL | #- [edit]

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