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「殺しのパレード」 ローレンス・ブロック

『殺しのパレード』  HIT PARADE

殺しのパレード  (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

 著者:ローレンス・ブロック (Lawrence Block)
 訳者:田口俊樹
 出版社:二見書房 二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション




殺し屋ケラー・シリーズ第3作目で9作品からなる連作短編集。感想というより、どこへ行き、ターゲットは誰か、そして後にどんな内容だったか私が思い出せるようにストーリーの特徴だけを書いた覚書です。若干ネタバレあり


『ケラーの指名打者』
ターゲットはメジャーリーグの指名打者選手フロイド・ターンブル。通算400本塁打、3000本安打という大記録を目前に控えた選手。球場で隣合わせに座ったファンから有益な情報をもらい、なぜ雇われたかわかったケラー。チームと共に移動しているケラーはある不審な男に気付き、雇われたのは自分だけではないのではないかと思い始める。少し様子をみることにしたが、ひと月も家を開けたのにはある思惑があった。
作中に出てくるヤンキースの無愛想な日本人投手(名前はタグチ)のモデルは伊良部選手らしい。しかし3000本安打は凄い!野球が好きな人には面白く読めるかも。

『鼻差のケラー』
ベルモント競馬場、ターゲットはキシミーダッドリーという馬に勝った騎手。ダッドリーが勝てば待機料としてお金が入る。もし負ければケラーの出番となり待機料以上の報酬が入る。ケラーにはどうしても欲しい切手があり、出来ればダッドリーに負けて欲しいところ。しかしケラーはさほど結果は気にしてなかった。勝っても負けてもケラーには痛くも痒くもなかったから。八百長を扱った作品ですが、結果どうなったか真相はわからず。八百長の結果云々は関係なくケラーの切手愛がわかる作品。

『ケラーの適応能力』
9.11のあと、新たなセキュリティ対策が導入されてからケラーはまだ一度も飛行機に乗っていなかった。9.11の時ケラーはニューヨークの自宅におらず、マイアミでターゲット:オリバレスという男を始末する準備をしており、とある店内のテレビで知ったのだった。フェニックス、ターゲットはゲート付住宅コミュニティに住み毎日ゴルフをしているエグモント。始末する準備中に不動産仲介をしているミッツィと関係を持つ。ケラーと知り合う女性はどこか勘がいい。何気に言った言葉でも的をついている。一方、ドットから気味が悪い電話があったと告げられる。名前を聞くと「ただのアルだ」と言い、お金を先に送ってきて「依頼はいずれ話す。その時がきたら」と。このアルは『ケラーの遺産』と4作目でも登場。

『先を見越したケラー』
サンタバーバラで仕事を終え今度はデトロイトへ。迎えに来た車に乗り込むと、そこにはターゲットであるホーヴァートがいた。依頼人を消したので仕事はキャンセルと言われケラーはニューヨークに戻ることに。その帰りの機内で隣の席に座っていたニューヨーク在住のハレルスンが話しかけてきた。彼はビジネスパートナーのブライデンを殺したいと思っていた。自分たちの正体を知る人からの仕事は請け負わない、近場では仕事をしないように心掛けてきた2人だったが、ケラーは自分からハレルスンに仕事の話を持ち込んだ。ハレルスンは一度は承諾したものの、後になり手を引きたがった。問題大アリの依頼人に対し、ケラーはある行動に出る。『先を見越したケラー』だが、ケラー話を持ちかける相手を間違えた模様。もしケラーが自分で判断する前にドットに相談してたら、事はスムーズにいったという話。

『ケラー・ザ・ドッグ・キラー』
ニューヨーク、ターゲットは犬のフィラッフィ。依頼主は飼い犬をフィラッフィに殺された中流階級のイヴリンとマイラ。だが内密にマイラから別料金で夫の浮気相手イヴリンを殺して欲しいと依頼され、イヴリンからはマイラと浮気をしている夫を殺して欲しいと依頼される。ケラーが取った行動とは?そして犬好きのケラーはフィラッフィを引き取り、その後、自分しか出来ない行動に出る。一方、ドットがこの仕事を受けたことで最も心配していたのは、ニューヨーク一の殺し屋がはした金のために犬をも殺すという噂が立つこと。至って現実的なドット。

『ケラーのダブルドリブル』
インディアナ州、ターゲットは会計処理に関する不正行為について証言することになってるグロンダール。彼の留守中に家にこっそり忍ぶ込むと、そこに空港でケラーを迎えにきたジョン・ディアの帽子をかぶった男性ともう1人がやってくる。そこでケラーは彼らの計画を盗み聞き、直接ターゲットのグロンダールとコンタクトを取る行動に出る。その後、ドットは株で大儲け。ここからドットの株投資が始まる。
この章では迎え人ジョン・ディアの帽子をかぶった男性にもらったバスケットボールの試合を観に行き、ケラーは幼少時代のことを思い出す。バスケットボールに絡む母親とのエピソードあり。そのせいかどうもバスケットボールを好きになれないケラーであった。

『ケラーの平生の起き伏し』
サンフランシスコ、ターゲットは切手蒐集家のビンガム。依頼主はデトロイトのホーヴァート(『先を見越したケラー』でターゲットとして登場)。ケラーはもともとこの日にサンフランシスコにプライベートで行く予定にしていた。なぜなら切手展示会があるから。そこにビンガムも参加していたのだった。だが現場でケラーはあることでビンガムの目に止まってしまい、一緒に食事をする仲になってしまう。ケラーの心は揺れ動くが、命を狙われていると自覚しているビンガムを言葉巧みに利用することにした。

『ケラーの遺産』
ケラーはドットにある頼みをする。万が一、自分が殺されたら、あるいは連絡が取れなくなったら、彼のアパートに行き切手を持ち出して欲しい。自分が生きている可能性も考えて、切手はしばらくは手元に置き、その後はディーラーに電話をかけて欲しいと。どうやらビンガムが自分がいなくなった後、切手をある大学に寄贈するという話を聞いた影響。それを伝えた時にドットから仕事の依頼を聞かされる。『ケラーの適応能力』で前金を送ってきたアルからの依頼だった。バルバカーキ、ターゲットはヘグマン。

『ケラーとうさぎ』
仕事へ向かう途中、レンタカーのCDから「うさぎの冒険」の朗読が流れてきた。前に借りた人物が忘れていったものだった。このうさぎの話を聞いてると、ケラーは物語に引き込まれうさぎたちが心配になり無事を祈っていた。ターゲットの子持ちの女性を始末し車に戻ると中断しているところから始まった。いつの間にか女性のイメージは消え、またCDに引き込まれ可哀想なうさぎたちの心配をするのだった。ものすごい短編でありながら印象に残る物語。


ドットとの会話は相変わらず軽妙で良いですが、ドットがケラーの心の変化を代弁してくれたり、バックアップしてくれたりとなにかとケラーの支えになってます。

『先を見越したケラー』で、9.11きっかけにケラーに変化が。グラウンド・ゼロで救助活動している人たちに食事を配るボランティアをしたり、話を聞いてくれる相手が欲しくなったり、ぬいぐるみに話しかけたりと明らかに殺し屋らしくない行動。アメリカに住むケラーにとってもタワー崩壊は衝撃的な出来事。初めて殺しをした時にも触れられており、どうやって仕事に慣れていったかも描かれており思わず「もしやこれでケラーシリーズは終わり?」と思ったり。でも引退するにはお金が必要なのも事実。今章はケラーのメンタル面が出てる一編。※2009年に読んだアンソロジー『十の罪業 RED』(リンク)にも収録されており、そこで書いた感想と重複。

よっぽど引退資金が欲しいのか、本来は受けないニューヨークでの仕事が多かったり、『ケラー・ザ・ドッグ・キラー』ではド素人の依頼人女性に尾行されてても全く気付かなかったり。ケラーは精神面から引退を意識し始めている。あとがきにも『ケラーの適応能力』以降の作品から殺しの手筈が狂い、ケラーが自らの仕事を顧みる場面が増える。これまでの作品に比べるとケラーの心の揺れがはるかに大きくなっていると。あと訳者が著者にいくつか質問。ケラーは40代後半、もしかしたら次作でこのシリーズが終わるかもしれないとのこと。もし本当に次作で最後なら残念。

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「GOSICKsⅡ -夏から遠ざかる列車-」 桜庭一樹

『GOSICKsⅡ -夏から遠ざかる列車-』

GOSICKsII―ゴシックエス・夏から遠ざかる列車― (角川文庫)

 著者:桜庭一樹
 出版社:角川書店 角川文庫





<簡単なあらすじ>
夏休みに入った聖マルグリット学園。貴族の子弟たちはみな豪華な休日を過すため学園をあとにする。何も予定がない久城一弥だったが、アブリルから地中海に行こうと誘われ荷造りを始めようとしたところ、寮母さんが一弥宛ての手紙を持ってきた。それを持ってヴィクトリカの所に行く。ヴィクトリカが1人学園に残ることを知った一弥は、アブリルの誘いを断り学園に残ることにする。一弥とヴィクトリカ、2人の長い夏休みが始まろうとしていた。『GOSICK』の外伝短編集第2弾。

<感想>
地中海に行ったアブリルからの手紙に書かれている亡霊話「花降る亡霊」、ヴィクトリカが学園内で偶然見つけた手紙「夏から遠ざかる列車」、一弥の姉からの手紙に書かれていた不思議な事件「怪人の夏」、村で起こった絵画消失事件「絵から出てきた娘」、ソヴェールの警視総監婦人がブロワ警部に話すある出来事「初恋」。夏休みに起こった(もたらされた)これらの謎を、学園にいるヴィクトリカが謎を解くという1冊。
『GOSICKⅣ -愚者を代弁せよ-』のラストでは夏休みまであと2日、『GOSICKⅤ -ベルゼブブの頭蓋-』の第一章の冒頭では夏休み最後の日と書かれているため、本作はその間の出来事のようです。

アブリルの誘いに一度はOKした一弥。だがヴィクトリカが学園に1人寂しく残ると知り、一緒に残ることを決めた一弥。うー、アブリルが気の毒。ショックだろうにそれを表に出さず明るく振舞い、何事もなかったように旅先から手紙を書くアブリルは高感度UP!

本作では『GOSICKs -春来たる死神-』でヴィクトリカが一弥の兄に問題を出した<仔馬のパズル>の解答が発表!でも私には何がなんだか全く理解できず…^^;その兄からヴィクトリカの挑戦問題が。負けず嫌いですぐムキになり答えるヴィクトリカは相変わらず可愛い☆兄とヴィクトリカは意外と似てたりして?!

今回、夏休みということで一弥は制服を着ておらず、なななんと、藍色に染められた着物を着て、黒い帯を締め、下駄を履いてる!でも頭にはいつもの山高帽。服装がいかにもザ・日本人って感じで良いわ~。が!ヴィクトリカといる時は彼女が日に当たらないようひらひらフリルのピンクの日傘を片手に持っているという…。どこまで優しいねんっ(笑)。

個人的に好きな話はタイトルにもなってる「夏から遠ざかる列車」。学園に通うミス・ラフィットと、メイドのゾフィの話。最初は誰?って思いながら読んでいたのですが、うまいこと今に繋がってる!ミス・ラフィットは相変わらずで、彼女の陽気でお調子者なところは昔からだったのね。面白可笑しい友情物語で面白かったです^^

あと一弥の姉:瑠璃の話である「怪人の夏」。女学校に通う美少女瑠璃には取り巻きがいて、ヨーロッパに留学している一弥の事を皆で「一弥め」「一弥め」と言ってるのには笑った。遠い日本でこんなことになってるとは知る由もない一弥は、退屈しているヴィクトリカのために、事件やちょっとした奇妙な出来事を見つける毎日送ってるよ^^;今物語は久城家の人たちが登場するのも嬉しい。瑠璃自身や、彼女の周囲の人たちの今後の展開が気になる~。

「絵から出てきた娘」では、ブロワ警部の部下2人の名前が判明。さらにずっと手を繋いでいる理由も判明!なのにそれほど気にしてない2人はいいキャラだ。しかもとんでもない勘違いをしてるし(笑)。この2人の天然キャラは今後も期待!

「初恋」はブロワ警部と警視総監婦人:ジャクリーヌの話。ここでブロワ警部のドリル髪がどうして二股になったのか判明!ブロワ警部ってイメージがどんどんアップしていってるような気がする。でも天然なのかわざとなのかわからないけど、あれだけわかりやすく君のことなら何でも知ってるオーラを出しているのに、それを全く気付かないジャクリーヌは一体…。この小説には鈍感な人物が多すぎるような気がちらほらしてきた。あまりにも鈍感過ぎると、一弥もブロワ警部の二の舞になっちゃうかも?!いや、それはないか(多分)。

夏休みで他の生徒がいないということで、ヴィクトリカは図書館を出て屋外の東屋だったり、庭園だったり、寮母さんがいる男子寮の台所だったり、一弥がいる男子寮の廊下だったりと、学園内ではあるけれど様々な場所にいるのでなんだか新鮮^^解決するのはヴィクトリカだけど、今回は準主役級、あるいは脇役の人たちがメインになってることが多いので、それぞれのキャラがよりわかってよかった♪全体的にほのぼのしてます。手紙がこのシリーズの特徴なのかな?

本編で謎だったことも、この短編集でわかることもあるのでなんだか得した気分☆個人的な感想だけど、私のように記憶力の悪い人は、『GOSICK』を全部読んでから外伝短編集『GOSICKs』を読むより、発行順で読んだ方がいいかも?
本編のように大きな事件ではなく、身近な人たちの周囲で起こった事件や出来事を、楽しく、また恋愛ちっくに描かれているので読んでいて楽しい一冊でした!

「医療防衛 -なぜ日本医師会は闘うのか-」 海堂尊

『医療防衛 -なぜ日本医師会は闘うのか-』

医療防衛 なぜ日本医師会は闘うのか (角川oneテーマ)

 著者:海堂尊
 出版社:角川書店 角川oneテーマ





<簡単なあらすじ>
日本医師会の常任理事の今村聡氏が、「医療とお金の基礎知識」「行政と報道に虐げられる医療」「日本医師会というそしき」「日本医師会の未来展望」について説明。読者の理解を容易にするため、聞き手として『螺鈿迷宮』の医学生:天馬大吉と新聞社勤務の別宮葉子が登場し、今村氏にあれこれ質問するといった流れになっています。

<感想>
巻頭の海堂氏によるはじめにを読むと、この本を読んで「日本医師会は、開業医の利益団体」ではないということを理解してほしいとのこと。だとすれば一体何の団体?どんなことをしているの?その答えが本書に書いてあるそうです。日本医師会は「医師の代表機関」。医師を代表するわけだから医療を守るための民間団体でもある。医療を守る=市民社会を守る。このことを一人でも市民に理解してもらいたいとのこと。

聞き手を小説の登場人物にしたことで、専門家から見ればかなり噛み砕いたわかりやすい説明になってるんでしょうが、全くの素人の私にはまだまだ難しく、読んで理解できていない箇所が多々…。

医療費三分の計、中医協もわかったようなわからなかったような…。
中には診察料や薬代に記載されてる点数とか、興味があったり詳しく知りたい!と思う記述もあるんですが、私には説明が難しくてイマイチよくわかりませんでした(><)。でも医療分業で、薬剤師が専門職種として技術料を取る、医療機関は処方箋を発行する技術料を医療費からもらう、処方箋をもらう薬剤師は処方箋に応じ薬剤師としての責務で調剤し、患者さんに説明をして技術料をもらう。要は、診察と薬を分けることは本来の薬の単価意外に二重の技術料が発生。薬の説明を詳しく受けれるというメリットもあるが、慢性疾患の方は何度も同じ説明はいらない。確かに!また、医療分業によって病院の収入は激減したとか。医療側の事情なんて、こんな風に説明してくれなかったら多分永遠に謎のまんまなんだろうな。

アメリカの国益と財務省の省益が一致する日本の医療市場化。この話が進まないのは日本医師会が反対しているから。なぜなら患者の負担が増えるから。税金で面倒を見ているので国民が直接支払う医療費は無料のイギリス、市場化されたアメリカ、この2ヵ国は全く違いますがどちらも高度化した医療に対応していないそうな。そうなんだ。医療費がタダなんていいなーなんて単純に思ってしまいますが、その国にはその国の諸事情があるもので、なかなか完璧とはいかない模様。医療制度のモデルになるような国を挙げるには難しく、実は日本が他国に先行。構造問題で一番影響が出ているので外国モデルはないんだそう。

東日本大震災で日本医師会は一億8500万あった災害積立金を都道府県医師会に拠出したとか、開業医は必ずしも金持ちではなく(もちろん収入が多い人もいる)比較する相手が悪い。医療は大変なのに、羽振りがいい所にだけスポットライトがあたり、正当性がある内容でも患者が傷ついたり亡くなったり、また悪いことをする先生がいるとそこにもスポットライトがあたる。メディアが悪いんだ!と主張。

また、財務官僚にとって日本医師会はイヤな存在だとか。政治力に力をもってる団体ってかなり裏がありそうな存在に見えますが、本作では財務省に意見を言える、財務省独裁を防ぐのは我々だけだ!という。

このようにいろいろと努力しているのに、メディアによって「日本医師会は、開業医の利益団体」と市民に植え付けられているので誤解を解きたい!と主張?自分たち日本医師会がいかに世の中に貢献しているか知って欲しい!日本国民のことを第一に考えてるんだ!と。

とにかく日本医師会は私たちの生活を守ってくれてるというのが言いたいみたい。確かにそうなんだろうけど、私たちにとってマイナスの部分や、日本医医師会にとって不利なことは書かれてない。なのでこれを全部信じていいのかどうか…。本当の医療を知るにはこの本だけでは難しいのかも。←偉そうなことを言いましたが素人には何を信じていいのかわからんのです…。

医師会がいかに国民のことを考えてるか、また医師会の現状を国民に知ってもらうための1冊だったかなと思いました。全体的に私にはまだまだ難しい内容だったので、もう少し噛み砕いた内容だったら嬉しかったかな~。

2012年(の何月?)、『螺鈿迷宮』の続編である『輝天炎上』が角川書店から出るとのこと。これは嬉しい!でも『螺鈿迷宮』を覚えてないんだな^^;でも今から楽しみ♪

「玉村警部補の災難」 海堂尊

『玉村警部補の災難』

玉村警部補の災難 (『このミス』大賞シリーズ)

 著者:海堂尊
 出版社:宝島社





・『不定愁訴外来の来訪者』
・『東京都二十三区内外殺人事件』
・『青空迷宮』
・『四兆七千億分の一の憂鬱』
・『エナメルの証言』

以上、田口&白鳥シリーズに登場する切れ者の加納警視正と、彼に振り回されてる部下の玉村警部補が扱った事件を集めた短編集。

『不定愁訴外来の来訪者』
不定愁訴外来で、藤原看護師が淹れてくれたコーヒーの香りを楽しみながら穏やかに過ごしていた田口公平。そこに桜宮市警の玉村警部補が、加納警視正からのお使いを持ってやってきた。警視庁から、加納警視正の出向先での活躍をレポートにまとめるようにと言われたそうで、事件の中に田口先生が関係しているのもあるため、内容を確認するためにやってきたのだった。

玉ちゃんが持ってきたここ数年で桜宮署管轄で起こった4つの事件の書類を、不定愁訴外来で振り返るという形になってます。いつもは患者が座る椅子におずおずと座る玉ちゃん。いざ座るともう何年も前からここの患者であったかのように、その場の空気や雰囲気にぴったり合ってしまうのは、玉ちゃん&田口先生、共に加納警視正&白鳥に振り回される立場で通じるものがあるみたいデス。

『東京都二十三区内外殺人事件』
2007年12月、厚生労働省の白鳥からの要請で、医療事故死調査委員会設置準備委員会で講演をすることになった田口先生は東京に出張することになった。その夜、セント・マリアクリニック産婦人科病院近くにある店で食事をした田口先生と白鳥だったが、その帰り公園のベンチで死体を発見する。白鳥の指示で死体は監察医務院に運ばれた。翌日、昨夜の店が気に入った田口先生は1人で出向いたところ、その帰りまたしても同じ場所で死体を発見する。だが搬送先が昨日と違うことに不審を抱く。署まで同行するよう言われた田口先生は加納警視正に連絡を取る。

地域によって死体の扱いが全く違うということがよくわかりました。法律上は全く問題ないにせよ、驚くばかり。ここで活躍するのがAi。厚生労働省の古い体質への言及もちゃっかり盛り込まれてます。しかし加納警視正の運転、職権乱用じゃないの~w白鳥によると、氷姫はこの時期、北の方のさる病院に潜入調査中らしい。うん、なんか北の方で病院で潜入調査している内容の本があったような気がする。なんだっけ?『極北クレイマー』だっけな。名前だけ登場するセント・マリアクリニックは『ジーン・ワルツ』の舞台となった産婦人科?この短編集は、いわゆる"桜宮サーガ"の一つってことなのかな。

『青空迷宮』
2007年11月、サクラテレビが落ちぶれ芸人を集め正月用特番を撮ってる最中、でんでん虫と呼ばれた碧翠院桜宮病院跡地に作られた迷路の中で、出演者の1人である利根川の右眼にボウガンの矢が刺さり死ぬという事件が発生。カメラが回っていたが、そこには犯人らしき人物は映ってなかった。たまたま現場近くに居合わせた加納警視正(と玉ちゃん)は容疑者を3人に絞り、翌日には犯人を特定する証拠を用意する。犯人は自分の行動を思い出す。穴はないはずだったのに…。密室といってもいい空間で起こった事件。犯人は一体どのようにして利根川を殺したのか?

殺されたのはハイパーマン・バッカスの物真似で一世を風靡したお笑い3人組"パッカーマン・バックス"の1人で、今でもピンで活躍していた。容疑者は女性ディレクター、ADで元"パッカーマン・バックス"の1人、落ちぶれ芸人となった残る"パッカーマン・バックス"の1人。設置されたカメラにも、腹部につけていたカメラにも被害者しか映ってなく、天井がない迷路の中での殺人事件のため、犯人は軍事衛星から狙撃したと言い放つ加納警視正。彼の高い捜査能力は、柔軟な発想力があるからなんだろうな~。犯人は誰だ?!とミステリらしい内容ですが、こんなにうまくいくかなぁ?加納警視正と桜宮市警の玉ちゃんの事件簿だから、"桜宮サーガ"でお馴染みの場所がよく出てくる^^ハイパーマン・バッカスも確かどこかで出てきたような気がする。小児科にいた子供(誰だっけ?)が大好きだったような…。

『四兆七千億分の一の憂鬱』
2009年4月、桜宮スキー場の山頂積雪監視小屋前で女性の刺殺死体が発見された。昨年12月頃に殺されたと思われるが、身元はすぐ割れ、桜宮科学捜査研究所DNA鑑定データベース・プロジェクト、通称DDP(※)の適用第一号の案件となったため犯人も同定。しかし容疑者と被害者の接点は全くなく、容疑者も身に覚えがないという。その容疑者の腕にはバイトでつけたという刃物の傷跡2本。当日のアリバイがなく四兆七千億分に一人の確率で完全にDNAが一致している容疑者。どこか腑に落ちない加納警視正はバイトの路線から捜査し、関係者から聞き込みを始める。
※容疑者を捜査で割り出しDNA鑑定するのではなく、現場の遺留物のDNA鑑定結果をデータベースにかけ犯人を割り出す方法

斑鳩広報官が大々的に創設をアピールしたというDDP、最新科学で容疑者が特定。四兆七千億分に一人の一致率でDNAが一致したのだから、あとはアリバイ崩しと自供だけ…と思われたが、加納警視正には何か引っかかるものが。容疑者となったのはフリーターの男性。ネトゲの世界では"バンバン"という名で有名なんだとか。玉ちゃんも絡めたこのネトゲの世界のエピソードには笑ったw玉ちゃん、一体いつしてるの?その玉ちゃんが医学について参考にしてるのが『トリセツ・カラダ』!ご自身の著書をこんなところで絡ませるとはアッパレ!

話変わり、『アリアドネの弾丸』で田口先生が関わったとされてる雪下美人殺人事件という名が出てきてたのですが、私、感想でこの事件を読んだ記憶がないって書いてます。実はこの事件、『四兆七千億分の一の憂鬱』のことらしい。そうだったのか!『アリアドネの弾丸』と『四兆七千億分の一の憂鬱』は同じ時期の話だったんですねー。

『エナメルの証言』
2009年3月、暴力団の組員の焼身自殺が立て続けに起こった。本人が書いたと思われる遺書もあり、歯の治療痕も一致しており不審な点は何もなかったが、加納警視正は納得がいかず、検案に立ち会った歯科医から話を聞くことに。すると本人かどうか確認するデンタルチャートは歯形の絵にメモを書いているだけのものだった。しかし歯科医はこれで四十二億に一人の割合で人定できるという。それでも納得いかない加納警視正は貸しがある田口先生に連絡を取り、焼け焦げ死体をAiすることになった。すると意外なことがわかった。

デンタルチャートが四十二億に一人の割合で人定できるとは驚いた!死体に対して歯の治療をするのも驚き。人定でデンタルチャートをチェックする時は必ずレントゲンも!そんな基本が守られていないのが地方における死因究明制度の実際らしい。この話に登場する栗田クンはきっとどこかでまた登場しそうな雰囲気。欲がなく争い事が嫌い、そして何といっても高度な技術を持っているので、今後の活躍(活躍というのもなんかヘンだけど)に期待!最後の章は、次回以降に含みを持たせながら、死因究明制度にモノ申すといった内容でした。

4章の前にある田口先生と玉ちゃんの会話で、「あの時までは、まさかこんなことになるなんて」「残されたものが頑張らなくては」とあるんですが、あんなこととは一体どのことだろう?今までの著書にある内容?それとも次作?

いつもどおり、医療を取り巻く体制を批判しつつも今回はそれを全面的に押し出してなく、軽いタッチのミステリで重苦しい雰囲気がなくて全体的に楽しく読めました。巻末に"桜宮市年表"がついてるのが嬉しい♪1991~2010年までの大まかな出来事、それらが書かれた作品が年表になっているのでわかりやすいです^^でも桜宮市の年表なので、それ以外のことが書かれた著書は載ってません。海堂さんの著書すべての年表あったらいいのにな。次は田口&白鳥シリーズ最終巻『ケルベロスの肖像』。既に図書館で予約済みですが、すっごい待ち人数なので年内に読めたらいいかな~。

「PK」 伊坂幸太郎

『PK』

PK

 著者:伊坂幸太郎
 出版社:講談社





・「PK」
・「超人」
・「密使」

以上、3作からなる中編集。伊坂さんによるあとがきによると、「PK」と「超人」は2010年の夏には完成しており、「群像」にて2011年に掲載。「密使」は2011年2月には完成しており、「NOVA」にて掲載。この単行本をまとめるにあたり、2編いずれも少し手を加え、繋がりが楽しめる形になっているそです。

「PK」
●サッカーのワールドカップ予選、小津はPKを蹴ることになった。だが数ヵ月前、ある男からPKのチャンスが訪れたら外せと指示されていた。PKを蹴る直前、小津は仲間の宇野と一緒に17年前に偶然見た勇気が湧く出来事を思い出す。
●57歳の大臣は、幹事長から偽証を強要されていた。同時に大臣は、10年前のワールドカップ予選で不調だった小津がPKを決めたことに疑問を持っていた。PKの直前に宇野が小津に話し掛け、その直後、明らかに小津の様子が変わったからだ。その調査を秘書官に調べさせていた。また、作家だった父親から聞いた話として、浮気相手から自宅に電話がかかってきたが、その時たまたまGが出たことで母親が2階に逃げており、その電話を父親がとったことで事なきを得たらしい。また、27年前に大臣は子供を救ったことがあり、勇気の量を試されたと語る。
●ある作家は、幼稚園児の息子2人(うち1人はのちに大臣)の躾にいつも次郎君の話を聞かせていた。ある日、担当者が連れてきた謎の男に小説を書きなおすよう指示される。さもないと大変なことになると…。
●ある居酒屋で。半年前のワールドカップ予選でなぜ小津がPKを決めることが出来たのかの謎、噂の超能力者の話(殺人が起きる前にその殺人犯を殺す者)を話す男女がいた。

時系がバラバラのこれらの話が交互に出てくるため、最初はかなり戸惑りました。大臣を中心に考えると、ワールドカップ予選の話は10年前、作家の話は約50年ほど前、居酒屋の話は9.5年前。小津たちは、子供の頃に議員になったばかりの大臣の勇気ある行動を見て勇気をもらい、大臣は57歳になって小津たちのゴール前の会話が気になり、大臣が幼稚園児頃には作家の父親が浮気してた。そしてとある居酒屋ではワールドカップ予選のPKの謎話や、次の『超人』にまつわる噂話をしてる。あ~この時点で頭の中が渦巻いてる~@@小津と作家の前に現れる謎の男は一緒なんだろうか?

本書を読む前に『仙台ぐらし』を読んだせいか、「PK」に登場する作家さんは伊坂さんご自身に違いない!あの心配性、奥様のキャラからしてきっとそーだ(^m^)こういうところは読んでいて楽しい♪そして作家さんが子供たちに話す次郎君話、まさかオチがそうくるとは!といいつつ私は真相をわかってなかったり^^;不思議系話?それとも秘書官は実はシャレのわかるノリのいい兄ちゃんだったとか?もしかしてこの変わりようも運命が少しずつ変わっていってる証拠?!

気になるのは小津たちが子供の頃に見た生気がないゾンビのような老若男女の集団。大臣も同じような集団とすれ違ってる。これは「臆病は伝染する」の象徴という解釈でいいんだろうか?


「超人」
●田中が作家の三島の家に訪れていた時、警備システムの営業マンである本田がやってきた。三島が作家と知り、ある作品を読んで勇
気づけられたという本田は2人に相談事を話し始める。自分は”特殊な力を持っている”と。送られてくるサッカーの試合結果メールに未来に起こる事件の加害者情報が記載されており、事件が起こる前にその加害者となるべき人間を殺しているという。ただこの情報は本田のみしか見れない。そんな時、ある人物によって10年後に莫大な被害で出るというメールがくる。
●立場が危うい大臣は、秘書官に27年前に命を救った子供を捜してほしいと頼む。そして再会。
●サッカーのワールドカップ予選、PKのシーン。

ここでも子供を救ったと思われる話があり。年数からすると、ここでの大臣は「PK」と同時期?その前に「超人」に登場する大臣と秘書官は「PK」と同一人物?にしてはかなりキャラが変わったような気が…。「PK」の作家の話で、浮気相手から電話がかかってきたがGのおかげで事なきを得たはずだったが、「超人」では母親にバレて大騒ぎになってる!どういうことだ?!


「密使」
●「僕」は、握手をするとその人のその日の6秒間をもらうことができる。ある日、"時間スリ"という能力を持った僕に「あなたの力が必要なんです」と謎の人物から言われる。僕がそれを引き受けたら、子供、老人、さらには世界中を救うことになるらしい。
●「私」は、青木豊計測技師長から、タイムパラドックス・パラレルワールドの説明を受ける。近い将来、耐性菌が蔓延するのを防ぐため過去に密使を送り、時間の流れを変化させ、その後の年月を分岐させることなく耐性菌が蔓延しない未来に徐々に変えていくというらしい。

この話を読んでなんとなくほんのちょっと本書全体の流れがわかったような気がする(気だけ)。密使の登場で、最初の2編につながるだと理解できました。

過去のほんの些細な出来事や人間の行動を変えることで、徐々に時間の流れが変わっていき、耐性菌蔓延を防止することができる。ほんの少しの変化が次に起こる出来事を緩やかに動かし、それがさらに変化を及ぼし、その連鎖によって未来が変わっていく。最も適切な最初の出来事、いわゆるドミノを倒すために密使を送る。

だがそれぞれの人たちに何らかの変化を与えてしまう。それが「PK」と「超人」の話ということでいいんだろうか。「PK」では密使が成功してるけど、「超人」では失敗してる。そのことで「PK」と「超人」の未来が少しずつ違ってきてるということ?だから大臣と秘書官の性格が微妙に変化した?でも大臣が幼児を救うことは変わらない。ってことは……ん?やっぱり理解出来てないかも~^^;一方、飛脚と宅配便の例えはわかりやすい。これって「僕」側と「私」側の例えってことだよね?これは合ってるような気がする(気だけ)。


本書を読んだ時、時系列や全体の流れがイマイチ理解できずもう一回読み直しまた。本書は一回読んだだけでは私には難しすぎです~(><。)でも再読すると一回目よりは理解できました!といってもまだまだ理解出来てない部分は多く、さらに理解出来たと思っててても間違って解釈してる部分も多そう^^;3編とも繋がっているんだろうけど、微妙に違うような気もして頭の中が?マーク状態。『密使』での「僕」の仕事が成功した世界が『超人』で、「私」の仕事が成功した世界が『PK』ってこと?

小津や作家の前に現れた謎の男性からの命令、本田に送られてくるメールは未来を変えるための変化の中の一つということ?でも結局断らたり拒否するバージョンもあるわけで。その断られたバージョンも仮定して、さらなる変化も用意されてるということだろうか。さらに「私」はもしかして大臣に助けられた子供?

時系列の表と、この人物はこの人物とイコールですという説明が欲しいところ。んでそれを見ながら再々読したら、さらに理解が出来そうな予感がする。←いや、それはどうかな。。でも全体的の雰囲気は嫌いではないです。ただ自分が理解できてないのが歯痒いだけ…。

幼児がベランダから落ちる時に風邪が囁いた言葉、青い生地の服を着たマントの男等々もよくわかりません。名前は違うけど、もしかしたら同一人物なんじゃ?と思える人もいるんですが確証は全くなし。映画版の『フィッシュストーリー』のラストで、時系列がちゃんと並べて流れた時のような「あ~、そういうことね!」という確認が欲しいっす。

自分の読解力のなさに改めてがっくし~。深く考えれば考えるほどわけわかめ状態~。あと何回再読したら理解できるんだろう。でも明日図書館に返さなきゃいけない。もう一回予約しようかしらん。

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