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「夜は短し歩けよ乙女」 森見登美彦

『夜は短し歩けよ乙女』

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)  

 著者:森見登美彦
 出版社:角川書店 角川文庫





<簡単なあらすじ>
京都の大学に通う「先輩」は、クラブの後輩である「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せていた。第一章「夜は短し歩けよ乙女」では、彼女を追って夜の木屋町や先斗町界隈を歩く。その頃、彼女は李白という老人と飲み比べ。第二章「深海魚たち」では、ある情報筋から彼女が古本市に行くと聞き、彼女の姿を探しに苦手な古本市に出向きく。そこで彼女が欲しがっている絵本をめぐり火鍋で勝負する羽目に。第三章「ご都合主義者かく語りき」では、彼女が学園祭に来るというので足を運ぶ。そこでゲリラ演劇に遭遇。第四章「魔風邪恋風邪」では、風邪を引いてしまい彼女を追いかけることができず…。そんなこんなで彼女の姿を追い求める途中、さまざまな珍事件に遭遇する。第20回山本周五郎賞受賞、2007年本屋大賞第2位。

<感想>
少し前にアンソロジー『不思議の扉 : 午後の教室』を読み、そこに『夜は短し歩けよ乙女』のサイドストーリーが収録されていたので借りてきました。本作品が話題になっていた当時、気にはなってましが今の今まですっかり忘れてました^^;でもブームが去ったあとなので図書館で待ちなしで借りれたので良かったかも。。

「先輩」と「黒髪の乙女」の2人の視点から描かれてます。「先輩」は「黒髪の乙女」をひそかに想ってるけど面と向かって話しかけることができず、春夏秋冬いつも彼女があらわれる場所に出向き、偶然を装い出会う、なんとか彼女の眼中に入ろうとする涙ぐましい努力。名付けて"ナカメ作戦(なるべく彼女の目にとまる作戦)"。あまりにも追いかけすぎて彼女の後ろ姿に関する世界的権威にまでなってるしw

その彼女が現れる場所を提供してくれるのが「信頼すべき筋からの情報」。この情報元がアンソロジー『不思議の扉 : 午後の教室』でサイドストーリーとして描かれてました。

なによりまず文体が独特。昭和ちっくというか大正ちっくというか。といっても尾崎豊っぽい歌詞が出てきたり、熱冷まし用シートが出てきたり、熱出した時にメールを出したり(おそらく携帯メール)と、一応は現代の設定なんだろうなぁ。

ちっちゃくて可愛らしくて最近の大学生とは思えない、不思議ちゃん系の雰囲気を持つ「黒髪の乙女」ですが、"おともだちパンチ"を披露したり、ラムを愛しておりとにかくただならぬぐらい酒豪だったり。基本は丁寧な言葉遣いなのに、たまに昭和のギャグっぽい語句が混ざったり(←これが結構可愛かったりする)。なかなか興味深いお嬢さん。

全体を通して言葉のやりとりが面白いしテンポもいいです(羽貫さんだけは現代っぽい話し方だけど)。ところどころ樋口さんのファンタジーワールドがあり非現実っぽかったり、時々難しい単語がでてきたりしますが、可愛らしくてユーモアがあって独特のリズムがあって、なんというか、他の小説とはちょっと趣が違う不思議な感じ。森見登美彦さん著書は初めて読みましたが、他の作品もこのような文体なのかな?

ところで作中で登場する偽電気ブランって実在するのかな?あったら飲んでみたいなー。

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「極北ラプソディ」 海堂尊

『極北ラプソディ』  

極北ラプソディ

 著者:海堂尊
 出版社:朝日新聞出版





<簡単なあらすじ>
極北市が破綻し財政再建団体に指定された中、外科部長:今中が働く極北市民病院に世良が院長としてやってきて3つの方針を打ち出した。救急患者は受け入れず雪見市の極北救命救急センターに全面委託、入院病棟を閉鎖し常勤スタッフの削減(訪問介護は拡充)、薬剤費を徹底的に抑制するというものだった。同時に今中が大切にしていた病院の信頼と活気も奪い去ってしまった。そんな中、診察費を払わない患者を診察拒否し、その患者が死亡したことでマスコミから非難を浴びる。そんな状況の中で世良は雪見市にある極北救命救急センターに今中をレンタル派遣する。そこで速水のもとでドクターヘリでの救急医療現場を体験することに。そして今中が極北市民病院に戻ってしばらくし、極北救命救急センター長の桃倉の息子が出場したスキー大会で雪崩が発生。ドクターヘリ存続をも脅かす状況で速水はどう決断するのか。その後、ドクタージェット・トライアルのため世良と今中はオホーツク海に浮かぶ孤島、神威島へ行く。そこで世良は昔に世話になった人物に出会い、医師としての原点を見直す機会となる。

<感想>
『極北クレイマー』の続編とのことですが、内容をまったく覚えてなく、以前に自分が書いた感想を読んでも姫宮が登場したことは何となく覚えているものの、今中先生のことは悲しくなるほど覚えてません(TT)。なのでWikipediaで『極北クレイマー』のあらすじを読み、その内容を頭に入れて読むことにしました。

赤字を立て直すために再建請負人として院長に就任した世良。無謀な方法で今中には納得がいかないものの、世良の合理的なやり方に反論するすべはなく支持せざるを得ない。世良は望まれた医療をするにはそれに対応できる地盤を作ってくれと。でも役人は予算がないのでできないと。世良は、なら仕方ない、どうしようもできないと。そこを何とかするのが医者じゃないかと役人。私もお金がなくても困った患者を助けるのが医者なのでは?と思っていましたが、作中での世良の反論は確かに正論。何が正しくて何が間違っているかは、破綻した極北市では常識で推し量ることが難しい。

その世良、本作品では50歳前あたりとのこと。『ブレイズメス1990』では外科医3年目だから確かにそのぐらいの歳?『ブレイズメス1990』の世良の印象が強かったため、なんか一気に歳を取ったなーという印象。敵が多く、いつ何時でも冷静に自己分析ができる精神力を持つ世良。こんなキャラだったかな?

最初の方で、天城先生のハーレーが!えっ?どういうこと?もう!1990年以降の天城先生(スリジエ含む)の行方といい、世良がどうしてこんな風になってしまったのかわから~ん。とにかくスリジエのことで世良が深い絶望を持っていることは確かで、自ら過酷な運命を強いている。でも神威島で昔の恩師と出会ったことで何かが吹っ切れた模様。どうやら本作で極北編はひとまず終了?

そして速水先生。相変わらずの言動ですが、同僚や部下に信頼されており、そして横には花房師長。ここで「将軍の日」を体験した今中、大変な救急という現場でも優秀なスタッフが効率よく動くことで稼動することに納得。そして言い分は全く違うものの、周囲の雑音を全く意に介さないという姿勢に世良と速水を照らし合わせる今中。そういや花房さんの最後の決断にはびっくりした!そうですか、そうだったんですか。女心はムズカシイ。。

『ナニワ・モンスター』で語られる事柄とリンクする場面も登場。彦根からのメールで"村雨知事の機上八策"と書かれてたのには笑った(笑)。大阪維新の会が"船中八策"と言った後に本作書かれたのかなぁ?なにはともあれ村雨知事はやっぱ橋下さんがモデルだ(^m^) しかしドクタージェット構想の目標がここに絡んでくるとは驚いた!

あとゲスト出演のような形で登場する西野さん(『モルフェウスの領域』と同時進行?)。『医学のたまご』に桃倉という人物が登場してましたが、これって桃倉センター長の息子さん?名前だけの登場だと南雲院長や清川准教授等々も。

海堂さんの本を読むたび、頭の中で登場人物を整理するのがどんどん難しくなってきました…。『極北ラプソディ』だけでなく、その他の著書の登場人物が結構登場するので(名前だけ登場の人も含む)時系列がごちゃこちゃになり、一体どこで何がどんな風に進行しているのかもう頭の中ぐちゃくちゃ。最終的には一体どう繋がっていくんだろう?『ナニワ・モンスター』の構想は医療にどうもたらすんだろう?まだまだ始まりなのかなぁ?ってか、海堂さんの医療への提言がある限り、着地点はなさそうな気がしてきた…。

「クジラの彼」 有川浩

『クジラの彼』  

クジラの彼 (角川文庫)

 著者:有川浩
 出版社:角川書店 角川グループパブリッシング






・『クジラの彼』
・『ロールアウト』
・『国防レンアイ』
・『有能な彼女』
・『脱柵エレジー』
・『ファイターパイロットの君』
以上6編からなる短編集で制服ラブコメシリーズ第1弾。

『クジラの彼』
数合わせのために合コンに参加した聡子は、そこで潜水艦乗りの冬原と出会う。意気投合した2人はそのまま付き合うことになった。呼び方が"冬原くん"から"ハル"に変わった頃、順調にいっていた交際に変化が訪れる。冬原が出航日も期間も寄港予定も部外秘の長い航海に入り、いつ連絡がくるかわからない遠距離恋愛に。不安な日々を送る聡子は、職場で社長のボンクラ息子に気に入られ残業や夕食にしつこく付き合わされていた。自衛隊三部作の一つ『海の底』に登場した冬原の番外編。

冬原と聡子が付き合っている途中で、横須賀でのパニック的大事件が起こっているため『海の底』の事件時とほぼ同時進行の番外編。潜水艦をクジラに例え、「沈む」ではなく「潜る」と言った聡子のセンスが冬原にはかなりの殺し文句だった模様。が、めったに会えずメールですら2ヶ月ぶりな上そっけないない内容。こりゃ辛い。久しぶりに会うと思わず言ってはいけない(でも好きだから言ってしまう)言葉を発して後悔する聡子。待ってもらう立場の冬原は聡子のためにと思って発する言葉が聡子には痛い。でも冬原は聡子のことをよくわかっており信頼してるからこそ、彼女の前だけ弱い部分を見せるわけで。待ったり待たせたりする中で信じ続けるのはお互い信頼してないと難しい。聡子が一般の女性ということで、今作品の中で一番理解しやすく言動も普通で、お互いの絆が深まり良かったねーと素直に思えた内容でした。

『ロールアウト』
航空設計士の宮田絵里は、航空自衛隊から受注を受けた次世代輸送機について、要望をヒアリングしに小牧基地を訪れた。そこで案内役の高科三尉から男子トイレ内が通路と言われ、仕方なしに通る絵里。だがトイレにまつわる戦いはまだ序曲だった。高科三尉から「トイレをコンパートメント式にしてほしい」という要望を受けるが、各部との兼ね合いで難しかった。だが高科三尉から現実を見せられた絵里は、個室トイレの要望が通るように頑張るが、社内の風当たりが強くなっていくばかりでなく、高科三尉との仲を誤解され厳しい立場に。数日後、高科三尉はある行動に出る。

遠回りであってもちゃんとした通路があるのに、外部の女性に説明もなく男子トイレ内を通らすの?近道ならせめて最初に一言、説明をしてから通すのでは?とか、言いたいことはわかるけど高科のメーカー側の絵里への横柄な口の利き方はどうなの?(絵里の顧客に対する態度もしかり)とか、絵里の方も男子トイレを通るのも仕事と割り切りるとか、どうしても嫌だだったら1人でも遠回りの通路を使うって言えばいいのに、とか、いろいろ疑問に思うこともありましたが、実際に使う自衛隊員にとっていかにトイレが重要なのはわかりました。でもよ、でもよ?この展開で恋愛に発展するのは多少無理があるような…。最後のやり取りはクサすぎて苦笑しちゃった。

『国防レンアイ』
陸上自衛官の伸下は、同僚女性で腐れ縁の三池が失恋するたび一方的に呼び出され、毎回毎回飲みにつき合わされ愚痴を聞いていた。"ある事"が起こってから伸下は車で行き、お酒を一滴も飲まず足代わりにもなっていた。そういう関係だが、実は8年間、伸下は三池のことを想い続けていたのだった。ある日、2人で行ったレストランに三池の元彼と偶然鉢合わせ…

冒頭の1.5ページに書かれている女性陸上自衛官に対する伸下の考え、女性の私でも納得!そんな中、職場恋愛をし痛い目にあった三池は、新隊員女子にその教訓を兼ねて檄を飛ばしてる。しっかし8年間も隊内恋愛はしない!と頑なに言い切っている1人の女性を想い続けるって凄いなぁ。しかも今までの恋愛遍歴を事細かく知ってる相手を。恋多き三池だけどそれなりに悩みはあるみたいですが…。伸下のレストランでの男を感じさせる対応には私も惚れ惚れ。結果、行き着くまでの経過がどうであれ、恋愛下手と思われる2人の恋の結末は、やはり信頼感が大きくものを言うのかしらん。というよりこんな三池を受け入れる男性は伸下しかいない?!

『有能な彼女』
自衛隊三部作の一つ『海の底』に登場した夏木の番外編。『海の底』で最後に再会して以来、海上自衛隊の夏木は防衛省の技官となった望と付き合っており、上陸の際にはウィークリーマンションを借りて一緒に過すようになっていた。"30過ぎたらプロポーズするの気後れするよ"と10年来の付き合いがある冬原に言われており、まさしくその渦中にいた。結婚を考えてないわけではないが、彼女は若くて美人なだけでなく、技官としても優秀で夢も希望もある主流派として前途洋々。対し自分は隊内で問題児な上、潜水艦乗りで連絡が取れない事が多く、さらにいつも言葉で望を傷つけてばかりという引け目があった。

『海の底』で夏木は恋愛に不器用だはわかってましたが、こんなに自分に自信が持てない男性だっけ?航海に出る度に望みは自分を待っていてくれているかと不安になったり、自分と結婚するのは望みにとって重荷ではないのか、そもそも望は自分と結婚する意志があるのかと。それよりびっくりしたのが望の変貌ぶり!夏木としか本気で喧嘩できないとか、いくら泣かれるより怒ってた方がマシって言われたからって、同性の私から見てもかなりメンドクさい女性になってる…。夏木さん、いくら引け目があるからといっても少し甘やかしすぎなんじゃ^^;ってかこんな自分と付き合い続いているのはすべて望のお陰と夏木自身が思ってるんだからどうしようもない。恋愛が2人を変えたのか、もともとの性格が明るみに出ただけなのか?どっちにしろ、勝手にやってちょーだいって感じでした(笑)そういや本作の中で夏木と聡子が既に結婚しており、既に子供が2人もいる!夏木&望よりも、夏木&聡子の方が興味津々。

『脱柵エレジー』
自衛隊駐屯地や基地から隊員が脱走することを隊内用語で"脱柵"と呼ぶ。脱柵の理由として人間関係が巧くいかない、訓練についていけない、規則だらけの集団生活が嫌になった等々。そして多くはないが昔から色恋沙汰があった。ある日、彼女に会いに脱柵しようとしていた若い隊員がいたが、上司の発見により未遂に終わった。そんな若い隊員たちに清田二曹は自分の経験談を繰り返し話していた。

彼女に会いたいと言われ、見つかれば重大な処分が待っているのに脱柵する若い隊員たち。だが彼女はまだ若く自分の言った言葉に責任がない。で、結局は辛い結果が待っているという。そんな話かと思っていたら、最後にそこ?!しかもなんだろうこのキレイなまとめ方は…。男性30歳、女性25歳なのになんか落ち着いた恋だなぁ。同じような年頃の『有能な彼女』と比べて雲泥の差。といいつつ、この2人も1年後には『有能な彼女』と同じようになってたりして。

『ファイターパイロットの君』
「パパとママが初めてチューしたところはどこ?」と5歳の誕生日を迎える娘から聞かれた春名高巳は、妻でありファイターパイロットの光稀と初めてデートをした時のことを思い出す。自衛隊三部作の一つ『空の中』に登場した高巳と光稀の番外編。

家庭に入らずパイロットの仕事を続け、娘が生まれて半年で訓練に復帰したことが高巳の両親は納得いかない。そのことが光稀の耳に入らないようするが、やはり少なからず入ってしまう。そんな時、高巳は自分が至らないからだと悔しがる。妻の仕事を十分理解し、娘には母親がどんなに素晴らしい仕事をしているかちゃんと聞かせる高巳。なんて良い夫であり良い父親なんだろう。光稀の初デートもありえないほどのウブさで可愛いし、仕事も一生懸命で家族も大事にしてる。光稀の職業は特殊ですが、家庭を持ちながら働く女性の大変さや、義理の両親からのプレッシャーという面では一番現実に近い話かも。愛情が溢れていてこの短編集の中で一番好きな話でした。ドッグタグのくだりには笑ったw光稀さん可愛いすぎ。


カップルのうち片方だけが自衛隊だったり、両方ともが自衛隊だったりの6編。今回もラブ路線まっしぐらの作品でしたが、中にはこんな彼女イヤかも…と思ってしまった作品もちらほら。でも『有能な彼女』と『ファイターパイロットの君』は、未確認生物や巨大巨大エビが大量発生というトンデモない状況で知り合ったカップル。これを乗り切ったんだからある意味最強カップルなのかも^^裏表紙に「制服ラブコメシリーズ第1弾!」とあり、第2弾は『ラブコメ今昔』とあったので読まなきゃ!と思ったら3年前に既読でした^^;第3弾はあるのかなぁ?

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