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好きな映画や小説etc

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「ストーリー・セラー」 有川浩

『ストーリー・セラー』  

ストーリー・セラー

 著者:有川浩
 出版社:新潮社





※ネタばれあり※
<簡単なあらすじ>

side:A
「仕事を辞めるか、このまま死に至るか。二つに一つです。思考に脳を使えば使うほど、奥さんの脳は劣化します。つまり、奥さんは思考することと引き替えに寿命を失っていくのす」と医師から妻の病状を告げられた。妻の職業は売れっ子作家。そして作家になることを勧めたのは夫である自分だった。
side:B
次作の小説内容を悩んでいたら夫からある助言をもらい、妻は面白そうと思う。そんなことを考えていたらバチが当たった。幸せに暮らしていたある日、夫が交通事故に遭ったと連絡が入る。そこで妻は医者からあることを聞かされる。

<感想>
side:Aは"面白い物語を売る"というコンセプトで作られたアンソロジー『Story Seller ストーリー・セラー』に収録。で、アンソロジータイトルにインスパイアされて生まれたのが今作品で、単行本化にあたりside:Bが書き下ろされたそうです。

side:Aは3年前にアンソロジー収録を既に既読。私にはめずらしく内容を覚えてました!だってインパクトある内容だったんですもん。以下、アンソロジーの時の感想とちょっと重複します。2人の出会いのきっかけ、結婚にいたるまで、なぜ作家になることになったか、作家になったゆえの苦悩などが描かれています。自分が書いたものを最初のファンである夫に読んでもらう喜び。本来は幸せなはずだったのに書くことによって自らの寿命を縮めてしまうなんて!致死性脳劣化症候群、と彼の妻のためだけに名づけられた彼の妻のためだけに使われる病名。

小説が書けるのも激怒したおっさんの霊が降りてきて威勢よく正論をもって戦えるのも、すべて後ろに支えてくれる夫がいてくれるからだと彼女は言う。物語の結果は既に知っていたものの、彼女の手紙にはちょっとだけうるっときてしまった。

で、そのままside:Bへ。こちらは初めて読むので一体どんな内容だろうと思っていたら…冒頭から驚きの真実が!!やられたー。と思ったのもつかの間、バチが当たったという言葉で嫌な予感…。

side:Aもside:Bも夫はサラリーマンで妻が作家という設定。といってもside:Aは夫からの目線で病気の妻を看取るもの、side:Bは妻からの目線で夫を支えるというもの。信頼しあっていて支え合う夫婦間はいいですが、どうも全体的に「泣かせよう」という雰囲気が…。

しかも最後の担当者との会話の真意は?死を扱った物語で「もしかしたら真実かもですよ」と読者に「えっ、どこまでは本当なの?」と謎を残すのは個人的に正直引いてしまう。全部フィクションなら洒落にならないジョーク。(いくら旦那さんがOKを出したとしても)

有川さんのベタ甘シリーズはなんだかんだと好きですが、今作品に出てくる作家の妻2人にはあまり惹かれるものがなかったかも。逆に夫2人はなんて出来すぎなんだろうと(笑)。「君を甘やかすのが好き。君を甘やかすのが俺の人生の目標」と言われてみたい。もしかしたら作家の妻2人の妻に惹かれるものがなかったのは、2人とも優しすぎる夫を持ち甘やかされてるから?ただ単に私がそんな妻に嫉妬してるだけだったりして(笑)。作中の夫像はきっとノンフィクションなんだろうなー。作家である自分の一番の理解者で助言もしてくれるご主人だからこそ、今作品が書けたのではなかろーかと。

私が独身ではなく夫がいたら、今作品の感想がまた違ったものになったかもです。

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「花の鎖」 湊かなえ

『花の鎖』

花の鎖

 著者:湊かなえ
 出版社:文藝春秋





<簡単なあらすじ>
【花】27歳の梨花は3年前に両親を事故で亡くし、梨花自身も講師として勤めていた英会話スクールが破綻。唯一の肉親である祖母は入院しており手術が必要で、さらに祖母は梨花にある頼みごとをする。お金の工面に困った梨花は両親が生きていた頃から毎年花を届け、両親が亡くなった時に援助を申し出てくれた謎の"K"に手紙を書くことにする。
【雪】美雪は建設会社の役員をしている伯父の紹介で6歳年上の和弥と結婚し幸せに暮らしいたが、子供が出来ず悩んでいた。伯父の息子:陽介と一緒に事務所を立ち上げ、美術館の設計コンペティションに参加することにした和弥だったが…。
【月】25歳の紗月(さっちゃん)は公民館主催の花の水彩画教室の講師をし、週4日はアカシア商店街にある和菓子屋『梅香堂』でアルバイトをしていた。ある日、学生時分の同級生だった希美子から手紙が届き5年ぶりに紗月に会いにくる。夫のことで助けてほしいと言うが、その夫は紗月の元恋人だった。

<感想>
梨花、美雪、紗月の3人の女性を軸に同時進行で話は進んでいくのですが、ネタバレなしに感想書くのかなり難しい~。『花の鎖』文藝春秋特設サイトの著者インタビューで、

パズル的なものだけを狙ったのではなく、人間について書きたいという思いが先にあったので、早い段階で「謎」に気づかれたとしても、それはそれで楽しんでもらえるようにしたつもりです。

とあるので、この「謎」はそれほど重大ではないのかも?でもなるべくネタバレせずに…。

友人同士というわけでもなく、この3人が一体どこでどのような形で繋がっていくのか?3人の物語に共通しているのはアカシア商店街の『梅香堂』と『山本生花店』。なので、最初は同じ地域に住んでいる人たちの物語なのかなと。そして結果的に3人に関わってくる"K"。一体何者なのか?なぜ梨花の母親に毎年豪華な花を贈ってくるのか?

この本を読む前に違う方の感想を拝見し、相関図を書きながら読んだ方がいいとあったので実践。いやー、相関図を書いてホントよかった!かなりぐちゃぐちゃになるくらい複雑!といっても相関図をキレイにまとめると、とっても簡単だったりするwよく考えたらシンプルな構図なんだけど、湊かなえさんは上手に複雑な構成にしてくれてる。花の使い方もいい感じ。

美雪だけ手記っぽくてなんか変?と途中まで思ったりもしましたが、結果を知ってから考えるとなるほどねーと。なんとなくそれぞれの女性の性格もわかるし、その時の特徴もわかる。関連が何となくわかってきてから「そういえばあそこに伏線が…」「ってことは○○は△△の?!」とドキドキしながら読んじゃいました。

途中から「これはもしかして…?!」と気付き、登場人物たちの関係が正確にわかった時は感動!と同時にここから人物整理に頭が混乱状態。。梨花が"K"に手紙を書こうとしたことをきっかけに、繋がりがわかるようになっていくのですが、こんな風に人と人との繋がりのドラマを描くなんてすごい。タイトルは『花の鎖』ですが、なんとも重い鎖。哀しいけれど強く逞しい鎖。

相関図を書きながら、あるいは登場人物を頭でよくじっくり整理しながら読んだ方がいいような気がします。サラっと流し読みするとあとで何度もページを戻らないといけないかも。

「月と蟹」 道尾秀介 

『月と蟹』

月と蟹

 著者:道尾秀介
 出版社:文藝春秋





<簡単なあらすじ>
小学5年生の慎一は父親が働く会社倒産をきっかけに、2年前に祖母の住んでいる鎌倉市に近い海辺の町に引っ越してきた。だが1年後に父親が亡くなり今は祖父と母親の3人で暮らしていた。その祖父は10年前に船の事故で左足下半分を失っており、取材のため同乗していた女性が亡くなるという過去を持っている。その女性の娘:鳴海が同じクラスにいることもあり、転校生の慎一は孤立してたが同じ引っ越し組で孤独の春也と一緒に行動するように。やがて2人は山の中で秘密の場所をみつけ、そこで海で獲れたヤドカリを持ち運ぶようになり願いをすると叶うという儀式を始める。そこに鳴海が加わり3人で行くようになるが、最初は他愛ない願いごとだったのが次第にエスカレートしていく。また、母親に男性の影があるのを気付いた慎一はある行動に出る。第144回直木賞受賞作品。

<感想>
『Story Seller ストーリー・セラー』や『蝦蟇倉市事件1』での道尾秀介さんが印象的で借りてきたのですが、同じような雰囲気なのかなと思っていたら全く違い、少し戸惑いながら読み始めました。

祖父の船の事故で同じクラスの母親が亡くなりクラスで孤立し、家では母親に男性の影を感じ不安を募らせる慎一、親に虐待されてるも慎一にはひた隠しする関西からの転校生である春也が次第に仲良くなり、いつしか「ヤドカミ様」に願いをすると叶うという儀式をし始めます。最初はお金が欲しいというありきたりな願いだっがのが、次第に現実的で切実な願いに変わっていくのですが、とにかくこのヤドカリに対する儀式の内容を読むのが苦痛で苦痛で…。最初からヤドカリに対する行動がいやというほど描かれており、少年2人も何の抵抗もなくそれを簡単に行なう。小学生の男の子ってこういう遊びをするもんなんだろうか。まして女の子の鳴海も一緒になってしてるし…。

思春期だけということだけでなく、大人の行動によって行き場ない思い複雑な事情を抱えた少年少女の苦しみ、憎しみ、嫉妬、不信感、そして歪んだ友情と愛情を描いてるようです。この3人には微妙な距離感があったりもします。途中まではそんな感じで大きな展開はなく進んでいくのですが、最後の「ヤドカミ様」への願い辺り一気にクライマックスへ。ここからは一気に読んでしまいました。

終盤で慎一が春也を誘って秘密の場所に行った時の2人の会話、特に春也の放った言葉は印象的。そこで「ヤドカミ様」にお願いする姿から胸騒ぎが…。もしかしたら最悪な結果になるんじゃないかと読むのが怖くなってきたほど。慎一の抑えきれない感情がむき出しになった時、子どもという言い難い雰囲気が漂ってます…。

なんて言ったらいいんだろう、大人も弱いけど気持ちの加減をまだコントロールできない少年の悲痛な気持ち、自分の苦痛を和らげるために他人のに苦痛を与えて楽になりたいと。正直、慎一の言動に「そこまでする?」という思いで理解出来ない部分もあるのですが、ここまで追い込まれるにはそう思わざるを得ない環境も影響してるんだろうな。もう一つ、母親に対する想いからの慎一の行動は男の子だから?

彼らに明るい未来は待っているんだろうか?少なくとも鳴海には明るい未来の兆しがあるように思えます。個人的には慎一よりも春也の気持ちの方が悲しくなっちゃいます。祖父の昭三は母親よりも慎一のことを理解しており、もっともっと慎一に助言をして欲しかった。
今ではなく、中高生であった10代の頃に読んだらもっとわかるものがあったかも。

「シューマンの指」 奥泉光

『シューマンの指』   

シューマンの指 (100周年書き下ろし)

 著者:奥泉光
 出版社:講談社





<簡単なあらすじ>
語り手である"私"は、数十年前の高校時代の友人で海外留学中の鹿内堅一郎から手紙をもらった。そこには同じ高校に通っていた指を切断したはずの天才ピアニスト:永嶺修人がピアノを弾いており、本人いわく「ちょっとした方法で(指を)再生させた」と言ったことが書かれてあった。さらに"私"は音大時代の同級生からも同じような噂を聞かされる。そして現在、"私"は手記を書くために修人、堅一郎と過ごした高校時代を回想し始める。

<感想>
2011年の『このミステリーがすごい!』で5位だったので借りてきました。冒頭での友人からの手紙の内容により、指を切断したはずの修人がどうしてピアノを弾くことができるのか?さらに義指ではなく再生治療したという。一体どんな方法で?というのがミステリとしての謎で、これをベースに話が進んでいくのかと思いきや、最初からシューマン論炸裂。その間に物語となるストーリーがちょこちょこ挿入されているというのが私の印象。ですが中盤あたりで女子校生が殺され、ここで前半の雰囲気が変わり少し読みやすくなってきました。

物語の半分以上はあるんじゃないかというぐらいのシューマンの各曲の解説、どこまでが定説でどこからが作家の想像なのかよくわかりませんが、クラシック、特にシューマンが好きな人にはたまらない内容なのかな?音楽に疎い私にはよくわからず…。最初は謎解きにこのシューマン論が必要なんだと思いながら一句見逃さず読んでいたのですが、途中からこれらのシューマン論って謎解きに必要なの?と疑問に。作者が言いたかったシューマン論を永嶺修人を通して言い、それだけじゃ退屈なのでちょっとミステリ仕立てにしてみましたみたいに思えてしまったのは私に音楽心がないせい??詳しい解説や描写が描かれていても、知らない曲ばかりなので頭に描くことができないからしょーがない。。

さらにびっくりしたのがオチ。このまさかのオチを全く予想していなかったのでオドロキ!読み終えてみたらまぁ納得、というか成立するオチはかなり限られてるからしょうがないといっちゃしょうがないか…。映画にありそうな感じ。オチがわかった上でもう一度読み直したらきっと伏線らしきものとかあったんだろうな~。といってももう一度読む気力はないですが^^;

音楽幻想小説という感じで、クラシック好き、とくにシューマンが好きな人以外は長々とある解説を読み続けるのはちょっと疲れるかも。なんてここまで好き放題書いてしまいましたが、実はシューマンのことは名前以外は殆ど知らず、むか~し音楽の時間に一回ぐらいは聞いたことがあるかなー?というお粗末なもの。なのでシューマン自身と「ダヴィッド同盟」について軽く調べてみると…、なるほど!本作品のストーリーにシューマンの人生が巧みに取り入れられてたのね!そっか~、そういう意味ではよく練られた小説なのかも。私がシューマンについて詳しかったら、また違った感想になったかもです。なにはともあれ、作者のシューマン愛だけはよーくわかった1冊でした。

「えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳 般若心経」 笑い飯 哲夫

『えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳 般若心経』   

えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳 般若心経 (ヨシモトブックス)

 著者:笑い飯 哲夫
 発行:ヨシモトブックス
 発売:ワニブックス




<簡単なあらすじ>
笑い飯・哲夫が子供時分、先祖の命日にお坊さんが家に来てお経をあげているのを見て「それどういうことやねん、先祖に何を言うとうんねん、死んだ人らに向かってどういう意味のことを言うとうねん」とずっと思っており、また西遊記の三蔵法師が書いたと知り「なんぼほどロマンチックやねん」と思ったことから般若心経の内容を研究しようと思ったそうです。そして自ら意味を調べ独学で勉強をした結果、子供の頃からの疑問が解決し今では写経するのが好きという哲夫。そんな彼が262文字の般若心経を独特の視点から、哲夫ならではの例えを交えながらわかりやすく説明した一冊。

<感想>
数ヵ月前に芸能ニュースで笑い飯・哲夫が東大で仏教講座をしたというのを知り、そこでこちらの本が紹介されていたので借りてきました。
私もずっと般若心経ってどういう内容なんだろうとずっと疑問に思ってはいたものの、意味もわからず唱えてました^^;なので専門的な解説より、哲夫の少しおちゃらけながらも基本中の基本の解説はめちゃわかりやすい!般若心経をよくここまでお下品ネタと絡めながらまとめたなと感心。この例えがあるから逆にわかりやすく理解できたりするw

生半端な知識ではここまで自由に書けないと思うので、相当好きで勉強してきたんだろうな。頭もいいんだろうなと。あの哲夫のキャラだから許せちゃう部分もあったり。なんと言っても大好きな般若心経をみんなに知ってもらおうとえてこでもわかるぐらいやさしく説明してくれるこんな解説本、そうそうないよ?!哲夫の独自の捉え方もあるかもしれないですが、般若心経を愛する姿勢が見えてかなり好感度アップしました。(もともと笑い飯の漫才は好きですが、これからちょっと尊敬の目で見てしまいそう~。哲夫の頭の上に知性の輪が見えそう~)

般若心経の中で個人的に好きな音声というか発音の「ぎゃーてい ぎゃーてい はーらーぎゃーてい」という部分の哲夫の説明がとってもいい!ますますこの部分が好きになりました!

この本は、般若心経って大まかにこういうことが書かれているんだということを知るには最適だと思います。堅苦しくなく面白く読めるのもいい。
お下品ネタが嫌いな人や(もちろん真面目に解説してる箇所もあるよ)、もっと本格的にしっかりと正確に勉強したい人には不向きかも…。哲夫のキャラを知らないとさらに読みづらいかも…。この本でまずは大ざっぱだけど基本を知った上で、ちゃんとした(?)般若心経の解説書を読むとわかりやすいような気がします。

「ゴーゴーAi」 海堂尊

『ゴーゴーAi : アカデミズム闘争4000日』

ゴーゴーAi アカデミズム闘争4000日

 著者:海堂尊
 出版社:講談社





<簡単なあらすじ>
海堂さんがまだ作家として世に出ていない1999年、この年にAi(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の概念が生まれ、そこから現在までのAiの推進運動や、厚生省官僚や各学会とのやり取りの記録をまとめたもの。"Aiは不完全な検査なのでAiをしても必ず解剖をしなくてはならぬ"という「解剖至上主義」と、"Aiで死因がわかったらそこで終了し、わからなかったり納得できない場合は解剖を勧める"という「Ai優先主義」の闘争史でもあり、これからの社会に必須で先進的なAiの進展史でもあるようです。

第1部 海堂以前 
●土壌 1961年~1999年 
●播種 1999年~2001年 
●発芽 2002年~2003年 
●双葉 2004年~2005年
第2部 海堂以後 
●繁茂 2006年~2007年 
●青嵐 2008年~2009年 
●開花 2010年~2044年

●飛翔

<感想>
無名の頃からAi普及に尽力を尽くしている海堂さん、私、今まで海堂さんの著書を読んできて最近では物語を官僚批判する場と化してることに「ん?」と思っていたのですが、この本を読んで理由がわかったような気がします。Aiを広めようとすればするほど立ちはだかる圧力や妨害に屈しない態度はスゴい!海堂さんの一方的な主張ですが、本書を読むかぎりではもっともな主張で国民にとっても最良の方法。とても簡単なことなのにすんなりいかないのが難しい。海堂さんの言いたい放題のように見えますが、ここまでするにはかなりの信念と覚悟がないととうてい無理なこと。

Aiに少しでも関わった人や組織は、良し悪し関係なくバンバン実名を出し吠えまくってます(たまにイニシャルの人もあり)。Ai関連が記載されてる紙面、ネット、さらにいろんな人とのメールのやり取りも出しており、間違った内容や的外れだとバッサバッサ斬っていく。作中で実名を挙げて批判された人はたまったもんじゃないだろうな…。Ai推進に対しここまで反対している人を容赦なく批判し続けて、今までよく潰されなかったなと。

作家として成功し知名度抜群の海堂さんだからこそ、テレビに出たり雑誌のインタビューに答えたりと一般の人にAiを知ってもらうための発信源がある。だけど海堂さんに批判された人や組織には反論の場がない。たとえその道で権威を持っており知名度があり、専門書で反論したところで国民にはちょっと伝わりにくい。

批判された人も同じ土俵で反論したらいいのでは?と思ったりするのですが海堂さんほどの知名度、執筆攻撃力がなく、世間に伝わりにくいだろうから、いっそのこと2人が1冊の本を共著して『Ai優先主義 vs 解剖至上主義』というタイトルで半分ずつ書いてくれたら読者は一度に両方の意見を知ることができ、何が国民にとって有意義なのかわかりやすくなるのになーなんて。

p436~437にある「2005年時点でAiを施行していた主な医療機関」と「2010年時点でAiを施行している主な医療機関ならびに団体」の地図を比較すると、現実にどれだけAiが現場で必要とされているか一目瞭然。自分が住んでいる県はどこがAi施行しているのかチェックしました!
これだけの行動力と知名度がある海堂さんだからこそ、一般的にAiが知られるようになったわけですが、海堂さんがいなかったら今頃Aiの存在はここまで国民に浸透してなかったかも。

440pちょっとあり、途中、難しい専門的な言葉や文章、事例もありましたが最後までダレることなく読めたのはたまに挿入されているヨシタケシンスケさんの挿絵(一言会話がまたよい!)で、ほんのりと一息入れることが出来たから。そして何より海堂さんの熱意が大きくAiに対する必要性が理解できたから(←といってもまだ完全に理解してませんけど^^;)。雑誌に記載された短文が転載されており(368p)、「Ai入門」にもなっている内容でAiのことをわかりやすい言葉で簡潔に書いてくれているのでこれはとても分かりやすいです。

本来の仕事をしながらAi推進のための業務をこなし、小説を書いてさまざまインタビューを受ける海堂さん。お忙しい身だと思いますがさらなる飛躍を期待しております!

「叫びと祈り」 梓崎優

『叫びと祈り』  

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)

 著者:梓崎優
 出版社:東京創元社 ミステリ・フロンティア  






「砂漠を走る船の道」
・「白い巨人(ギガンテ・ブランコ)」
・「凍れるルーシー」
・「叫び」
・「祈り」
海外の動向を分析する雑誌の発行をしている会社で働いている、7ヵ国が操れる語学堪能の斉木が主人公。サハラ砂漠・中部スペイン・南ロシア・南米アマゾンなどの各地で遭遇したり巻き込まれた様々な事件を描いている短編5作からなる連作ミステリー。

「砂漠を走る船の道」
塩の道を取材しにサハラ砂漠にやってきた斉木はあるキャラバンに同行させてもらうことになった。砂漠で脅威と言われている砂嵐シムーンに巻き込まれ、砂漠の道筋を知っている唯一の人物であるキャラバンの長が亡くなってしまう。そこから1人、また1人と殺人事件が連続して起こる。砂漠のど真ん中で失われた信頼。一体誰がなんのために?

砂漠のど真ん中ということで仲間うちに犯人がいることが前提なんですが、誰が犯人かということよりもなぜ砂漠のど真ん中で殺人を犯さなければならなかったのか。伏線があるので砂漠ならではの動機部分は納得。最後はちょっとうまくいきすぎ感があるような気がしますが意外な事実が判明し驚いた!これにはやられたー!

「白い巨人(ギガンテ・ブランコ)」
斉木は大学時代のサークル仲間であるヨースケとサクラの3人で真夏の中部スペインにある風車にやってきた。土産屋の店主から風車小屋から兵士がいなくなるという不思議な話を聞いた3人はその話の謎解きを始める。訪れた風車小屋が彼女を最後に見た場所で同じように姿を消したことから、サクラは謎解きと同時に彼女のことも思い出す。

2人のサークル仲間が下の名前だったりカタカナなのはそういうことなのね、とあとになって気付きました。ってかこんなオチあり?まぁ他の作品が重めなので一作品ぐらいこんなオチでもいいかも。

「凍れるルーシー」
斉木は50年ほど前に修道院で暮らしていた女性リザヴェータの聖人認定の調査取材のため、ロシア正教会の司祭に同行し南ロシアにある女性だけの小さな修道院にやってきた。生前と全く変わらない姿のリザヴェータの前で3日間祈りを捧げる司祭、その裏で斉木はあることに気がつく。

深い信仰心に縁がないせいか事件に関しての動機がよく理解できませんでした。冒頭の話は一体どこに繋がっていたんだろう?それすらもよくわからないときてる。ついでにラストも…。でもこれを映像にしたら恐そう。映像だと冒頭とラストの意味が理解できるかなー。どうだろ。

「叫び」
世界中の民族特集のためアマゾンに取材しにきた斉木は、ここで医療活動に従事する英国人医師アシュリーに同行することになった。デニムというわずか50名弱の部族が住む場所に辿り着いた途端にアシュリーはある異変に気付く。

今回の事件は少数民族独特で彼らにしかわからない動機。その動機を知った斉木とアシュリーですが、互いの価値観の違いから理解し合うことは決してない。もちろん私にも理解出来ないです。やるせなさが色濃く残る作品でした。

「祈り」
"僕"の前に森野と名乗る男性が現れる。森野は自身を"旅人"と称し、ラクダの話や白い巨人、霧の大地の話をする。だが"僕"は森野を知らないし話もよくわからない。そんな"僕"に森野はあるクイズを出した。

雪に覆われ閉ざされた城――明確な場所はわからず。読み始めは頭の中にクエスチョンがちらつきましたが途中で"僕"の状況と森野の正体がやっとわかりました~。これまでの4話で経験したことが全て「祈り」に繋がっているんだ。そりゃね、あれだけのことを目の当たりにしてきたらね…。全体的にちょっとわかりづらい箇所もありましたが個人的には他の4編とは全く趣が違う「祈り」を最後に持ってきたのはアリかなと。


『このミステリーがすごい!2011年版』と『2011本格ミステリ・ベスト10』にランクインされていたので借りてきた一冊。今まで読んだミステリーとは趣が違う作品だったので新鮮でした。斉木が探偵役みたいな感じなんですが別に誰かに依頼されてという訳でなく、その場の状況、登場人物の心情などから真相を知っていくという。"なぜ殺さなければならなかったのか"――その国、文化、あるいはその境遇にいる人々だからこその事件と動機。そのプロットは引き込まれる内容でしたが、斉木さん、まだお若いのに話し方がどこか淡々としてらっしゃる。。

他の方の評価がとても高い文章力については私には詩的・緻密すぎてちょっと難しかった(><。)。イメージしたくてもすんなり頭の中に景色や背景が入ってこない~。個人的にはもうちょっとわかりやすい文章の方がありがたかったデス。

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