TK.blog

好きな映画や小説etc

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「道 ROAD」 ルイス・ サッカー

『道 ROAD』  STANLEY YELNAT'S SURVIVAL GUIDE TO CAMP GREEN LAKE

道

 著者:ルイス・ サッカー (Louis Sachar)
 訳者:幸田敦子
 出版社:講談社  




<感想>
『穴 HOLES』の主人公スタンリー・イェルナッツが語り手。中学生だった彼は高校生に。
『穴 HOLES』の後、キャンプは閉鎖されたけど警察・検察・政治家の偉いさんたちが『穴 HOLES』を読んで「こりゃいい!」ってことでグリーン・レイク・キャンプは再開。んでスタンリーがキャンプ場についてのサバイバル・ガイドを書いているという設定。

新しくキャンプに入ろうとする人に向けた感じで語っているのですが、X線のリーダーとしての素質、ジグザグの世界、磁石の脱走劇、ぴくぴくの性格等々、『穴』では書かれてないエピソードもあり、ホントいろんな子たちが集まってたんだなぁと。
キャンプ場のサバイバル・ガイドでもあるんですが、「目的を持って立ち向かえ!」といったエール的な本かな。

6つのサバイバル・テストがあるんですが、ぜっんぜん当たらないよ・・・
なかにはそのテストの前の文章をよ~く読んでたらわかるような問題もあり(答えを見て思わず「あっ!そーだった!」なんて感じ)、なかなかよく出来た面白いテストです。

スタンリーのキャンプでの仲間たちがなぜここに来ることになったのか、そして今現在何をしているのかも書かれてます。愛称ゲロ袋のその後が笑ける!
全体的に『穴 HOLES』を読んでないと大半の意味わからないかも…。というより『穴 HOLES』を読んでからの方が絶対楽しく読めるはず。

さぁ、お次はスタンリーの仲間であるX線と脇の下の話『歩く』を図書館で借りてこよう。

スポンサーサイト

「穴 HOLES」 ルイス・ サッカー

『穴 HOLES』

穴  HOLES

 著者:ルイス・ サッカー (Louis Sachar)
 訳者:幸田敦子
 出版社:講談社 講談社文庫  




<簡単なあらすじ>
太っちょで学校ではいつもいじめられているスタンリー・イェルナッツ、無実なのにまずい場所に居合わせてしまったため、有名野球選手の靴を盗んだ罪で砂漠にある矯正施設グリーン・レイク・キャンプに入れられてしまった。ひいひいじいさんがあるおばあさんとの約束を破ったため子々孫々にいたるまで呪いをかけられたイェルナッツ家。なので何か悪いことが起きれば「あんぽんたんのへっぽこりんの豚の泥棒のひいひいじいさんのせいだ」と言うのが先祖代々のジョークとなっていた。スタンリーも何かあればひいひいじいさんのせいにしており、無実であってもさほど文句も言わずに矯正施設へ行くことにした。そこでは毎日毎日ただ穴を掘り何か出てきたら所長に報告すること。そんな時、ゼロという仲間が脱走をしてしまった。彼のことが心配でスタンリーも彼を捜しに脱走するが…

<感想>
主人公の名はスタンリー・イェルナッツ(Stanley Yelnats)。
前からでも後ろからでも同じ綴りという面白さからイェルナッツ家の代々男性は皆同じ名前。(これが功を奏する時がくるわけだが・・・)  英語にもどっちから読んでも同じ綴りの名前ってあるのね~。ちょっと感動。。

だけどひいひいじいさんは約束を破ったせいで呪いをかけられ(この呪いをかけられる経緯が大事)、ひいじいさんは<キッスのケイト>に身包みはがされ全財産を失くし荒地に置き去り。父親は発明家ながらヒット商品がなくいつも失敗作ばかりで全くの貧乏。そしてスタンリーは無実の罪で矯正施設へ。

グリーン・レイク・キャンプといっても雨が全く降らないので湖は干上ってしまってる。その干上った湖で穴を掘る何かしら悪いことをしてここに連れて来られた少年たち。矯正施設とは名ばかりでとにかく毎日掘る掘る掘る!ただ掘るだけの日々。学校ではいじめられており一人の友達もいなかったスタンリー。施設で他の子たちからあだ名をつけてもらい受けいれられたことがちと嬉しかったり。。

ある日脱走した仲間ゼロが心配で彼を捜すために脱走、でも水筒は空。とことん運が悪い^^;ゼロのために一生懸命になり、生き延びるために頑張る2人。自分のことが好きでなかったスタンリーはいつしか自分のことが好きに。心から無実だけど捕まってよかったと思えるように…これも運命。2人して偶然見つけたタマネギばかり食べて生き延び、さらに命まで助かったのも運命。そして過去と未来がこんなふうに繋がってるなんて!読み始めの時はひいひいおじいさんやひいおじいさん、昔のグリーン・レイク・キャンプでの悲恋がどんな役割をしてるのだろうと思ってました。う~、こりゃ素晴らしいわ。
これらの運命が全て繋がっていたことを知った時、ものすごい感動!!次はどんな展開になるのか、過去の話には一体どんな意味があるのか早く知りたくて一気に読んじゃいました。

脱走してから随分たくましくなたスタンリー。少年の冒険話もあり友情の話もあり、大人たちの嫌な部分もあり、要は負け組が勝ち組に?!いや、ちょっと違うか。まぁ代々呪われていたイェルナッツ家、本当に呪われていたのか?この呪いは解けるのか?
やっぱおばあさんとの約束は守らなきゃね~。でもこの呪いがあったからこそスタンリーは成長したわけで。ホントよく出来た内容だこと。感心。

この後に出た『道』という本では高校生になったスタンリーがキャンプ暮らしを振り返りつつ試練の乗り越え方を教えてくれるサバイバル・ガイドになってるんだそう。早速図書館で予約^^同じスタンリーと同じ班にいた仲間たちが主役の『歩く』という本もあるらしくこちらもぜひ読みたいところ。ディズニーで映画化もされてるんだとか。うん、映画も観てみたい。

「絶対、最強の恋のうた」 中村航

『絶対、最強の恋のうた』

絶対、最強の恋のうた

 著者:中村航
 出版社:小学館





<簡単なあらすじ>
「その一、スクランブル」
大野が語り手。大学の試験に受かり浪人生活を終え、予備校仲間とスクランブル交差点であることをする。そして大学生になった大野は彼女と出会った。
「その二、突き抜けろ」
大野が語り手。彼女との楽しい時間、友人坂本と一緒に行く木戸さん宅、学生生活をなんとなくそれなりに過ごしていた。
「その三、春休み」
大野の彼女が語り手。はしゃぎまわっていた中学時代、クールに振る舞おうとしていた高校時代。大学に入ったら彼氏を作ろうと思っていた。正しい男子を見極めハートを一撃で射貫いちゃおうと。これからのことをとりとめなく考えていた。
「その四、最強の恋のうた」
大野の彼女が語り手。新学期の初日、大野から突然もみじ饅頭をもらい、それから毎日会い話をするようになった。だが恋と勉強の両立ができなくなり大野に本音を打ち明ける。
「その五、富士に至れ」
ノー残業デーの日、坂本は同じ会社の女性:高原から飲みに誘われ、それから毎週飲みに行くようになった。そんなある日、高原はモトカレが出るサーフィンの大会に誘われていることを坂本に話す。それを聞いた坂本は…

<感想>
アンソロジー『I LOVE YOU』に収録されてる「突き抜けろ」読み、全体像が描かれているこの本を読みたくなって図書館で借りてきました。ある本の一部分がアンソロジーに入っていると、どうしてもその一部分以外の話も読みたくなっちゃよ~。

彼女とどういう経緯で出会ったのか、どんな流れで付き合うようになったのか、どうして付き合う上でのルールを決めることになったのか。
そして彼女はどのような中高時代を過ごしてきたのか、大野に対してどのように思っているのか…などなど、アンソロジーではわからなかったことがこの本ではわかり、このカップルの謎が解けたような気がする^^

特に彼女!5編のうち2編は彼女が語り手なのでどんなことを思ってるのかわかってよかったかも。恋と勉強の両立ってムズカシイと思う。特に学生時代はね~。恋を優先しまいその悩みを彼氏にストレートに相談。そこで彼氏がルールを決めようと提案。うん、こんなルールがあってもいいかもしんない。
同じシーンでも、大野と彼女がそれぞれその瞬間をどう感じているかを比較することができこれはこれでまた楽し。
淡々としてるようで彼女、意外とロマンチストだったりもするんだな。「私の過去にあったいろんなことは、この人に話すために存在したような気がする」だって。 キャ~。

そして「その五」では大野の友人坂本が社会人で登場。社会人になっても苦い思い出、くせ(?)はちゃんと健在でちゃんとツボを押さえてくれてる~。最後の話がまさか坂本だなんて…意外なとこ突かれて笑えた(笑)。
「その五」は「その二」にリンクしているんだけど、その間にクッションのように彼女の話を挟んでるので、頭の中から忘れかけようとしている木戸さんや坂本の学生時代を思い出させてくれてるという感じ。

そういや主要な登場人物の中で木戸さんだけが語り手になってない!木戸さん目線の話も聞きたかったなぁ。だって「その二、突き抜けろ」 では個性強いキャラだったもん。←アンソロジーも含め2回同じ内容を読んだから余計にそう思うのかな。

「その一」でこういう浪人生活の締めくくりっていいなーで始まり、「その二」~「その四」大野と彼女と木戸さんと坂本の青春の話があり、「その五」でなぜか坂本の話。(←このラストにはやられた!)なかなか面白く読めた一冊でした^^

「I LOVE YOU」

『I LOVE YOU』  

I LOVE YOU (祥伝社文庫)

 著者:伊坂幸太郎/石田衣良/市川拓司/
     中田永一/中村航/本多孝好
 出版社:祥伝社 祥伝社文庫




<感想>


・『透明ボーラーベア』 伊坂幸太郎
・『魔法のボタン』 石田衣良
・『卒業写真』 市川拓司
・『百瀬、こっち向いて』 中田永一
・『突き抜けろ』 中村航
・『Sidewalk Talk』 本多孝好
以上、男性6名による恋愛アンソロジー。

『透明ボーラーベア』
"僕"は自身の転勤によりもうじき遠距離恋愛になる彼女と動物園に行った。そこで姉の元彼氏:富樫とその彼女と偶然出会う。昔から男と別れると旅に出てた姉は富樫と別れた後も旅に出たが、それきり帰ってこなかった。シロクマが好きだった姉、そのシロクマがいる動物園で僕たちは何を思うのか。

恋愛っぽくないんだけど、こんな繋がりがあってもいいかも…という感じ。登場人物は限られてるのに姉の存在感がすごいあるストーリー。バリ島から帰ってき「ケチャケチャ」としばらく口ずさむ姉。なんか親近感あるわ~。そうそう、厳重にされてるレッサーパンダってもしかして?ここってあの動物園だったのっ?!

『魔法のボタン』
彼女と別れ4日間で3kg体重が減った"ぼく"は20年を超える幼馴染みの萌枝と飲みに行くことに。それ以来、休みがくるだび会うようになる2人。いつもはすっぴんでジャージ姿の萌枝がある日待ち合わせ場所にイメチェンしてやってきた。

幼馴染みや長年の友人から一線を越えるのって難しい。それを2人が通っていた幼稚園時代に流行っていた"魔法ごっこ"を上手に取り入れてるんですが、読んでてなんだかハズカシイ。。やってる本人たちはドキドキもんだろうけど^^;最後に萌枝の持ち前の明るさが炸裂している会話がなければほんとハズカシイ話だったかも。。でも"魔法ごっこ"のような会話、ちょっとしてみたい(笑)。←もちろんハッピーエンドで終わること前提で。

『卒業写真』
"わたし"に急に声を掛けてきたのは中学時代の渡辺君だった。なんとなく思い出したものの、どうも話が噛み合わない。どうやら違う渡辺君と勘違いをしてることが判明し…

彼女の思いだそうとする姿や慌てぶりはなんか共感できる。でもそこからその展開は…こういうのもありなんだ。忘れかけてた初恋…今再び恋の予感。

『百瀬、こっち向いて』
大学卒業間近に里帰りした"僕"は神林先輩と偶然出会った。高校時代、彼女と付き合ってた男性は僕の憧れの宮崎先輩だった。ある日、宮崎先輩から浮気が神林先輩にバレないようその浮気相手と僕が付き合ってる演技をしてくれと頼まれる。女性と全く縁がない僕は…

人間レベル2と自分で位置づけしている僕、そんな僕にいきなり百瀬の存在が心の中にどっぷり入ってきたもんだからたまったもんじゃない。人を好きになって苦しい思いをする僕に対し、友人の田辺くんは純粋だ。この田辺くんの今が知りたい。主人公と同じような感情をもう経験したのか気になるところ。

『突き抜けろ』
"僕"は同じ大学に通う彼女がいるが、うまく付き合っていくためにルールを決めていた。電話する日、会う日を決めそれなりにうまくやっていたある日、友人の坂本から地元の先輩である木戸のアパートに一緒に行ってほしいと頼まれる。それ以来毎週木戸のアパートに行く2人だった。

これは青春ストーリー?木戸のキャラが際立ちすぎ(笑)。伊坂幸太郎の小説に出てきそうなキャラだわ。ところで富士山って5合目まで車で行くことができ、そこから日の出が見れるということを初めて知りました。富士山、死ぬまでに一度は行ってみたいなぁ。
ちなみに同著者の『絶対、最強恋のうた』という本とリンクしてるらしい。←知ってしまうと気になる~。図書館で借りてこよっと^^

『Sidewalk Talk』
"僕"が彼女を待つのはこれが最後。今日で5年間の結婚生活が終わろうとしていた。離婚を決めた夫婦が最後の晩餐をするストーリー。

大人の男女が穏やかに最後の晩餐をしてます。これが本当に最後?と思ってしまうような雰囲気の2人。このまま別れていいのか?と思っていたら絶妙なタイミングで香水の思い出が…。しっとりとしてラストを飾るにふさわしい内容。
全体的に男性が書く恋愛ってどこかロマンチックのような気がする。
こういう青春時代があったら、こんな出会いがあったら、こんな落ち着いた恋愛の終わりがあったら…なんて。なのでどれもドロドロしてなく結果がどうであれ、全体的に前向きな終わり方なので後味も全く悪くない。恋愛モノって嫌いじゃないけど読んでてたまに「こんな展開ないない~」って小説なのに突っ込みたくなる(笑)。「あるある~、わかるわかる」と頷けるようなものすごい現実的な恋愛ストーリーってないのかな?

「夏天的尾巴」

『夏天的尾巴』  SUMMER'S TAIL

夏天的尾巴

 製作年:2007年
 製作国:台湾
 監督:チェン・ウェンタン(鄭文堂)
 出演者:
 ENNO(鄭宜農)
 ブライアン・チャン(張睿家)
 藤岡靛
 リン・ハン(林涵)
 クリスティン・クー(柯奐如)
 ウェン・シャンハオ(温昇豪)





<簡単なあらすじ>
阿月は心臓が悪いため学校を休学し、家で毎日ギターを弾いてる女の子。同じ学校に通う優秀な雯莉は親友。2人がよく通る道では同級生で日本人の朗が毎日コンテナがある前で1人サッカーの練習をしていた。学校の成績が優秀な陳懐鈞は女性教師に恋をしてるが行き過ぎる行動をしたため退学に。そんな4人がいつしかコンテナがある場所に集まるようになる。

<感想>
昨年台湾で購入したDVD。観よう観ようと思いつつも密かに心の中でそのうち日本語版が出るんじゃないかと期待。だけど待てど暮らせど出ないので思い切って中文字幕でトライ!

冒頭で猫の夏天が体を洗ってもらうシーンは和む~。めちゃ可愛い♪時折登場する夏天はホント可愛らしい。静かな田園、そこに走る列車、そしてロック。アンバランスのようだけど、のどかな景色に対照的な音楽は田舎に住む彼らを象徴しているよう。

この映画を観るまでさわやかで甘酸っぱい青春映画とばかり思ってましたがちょっと違った。青春話であることに間違いはないんだけど、親から辛い仕打ちを受けている男の子:小偉の家庭の話もあり甘酸っぱいだけではないストーリー。
大人たちのすることに理解できない阿月。心臓が悪いのに自転車飛ばしたり走ったり。人のことに一生懸命になりすぎの部分もあるけど、今という時間を一生懸命生きてるとい感じ。
この阿月のお祖母さん、密かにいい味だしてる!いざという時は頼もしい。阿月の音楽好きはお祖母さん、母親、娘と遺伝なのかも^^
父親は海外出張(多分)に行っており時折その父から届くハガキを親子共々楽しみにしてる模様。

キレイな女性教師に恋したり廊下に立たされたりとよくありそうな青春映画なんだけど、女性教師のどこか思わせぶりな態度や廊下に立たせる男性教諭のすることを見てるとやはり理不尽。そんな中で戸惑いながらも自分たちの居場所を見つけていく阿月たち。

といった内容だと思うんですがどうだろ?字幕が出るだび一時停止をしてじっくり見ないと読めないから1時間40分の映画に4時間ほどかかったよ^^;しかも中文の意味が90%理解出来ないから映像の流れだけで内容を想像してみました(笑)。
それでも十分楽しく観れたんだから不思議。←わからない箇所は「きっとこういうことだろう」と勝手に自分の理想的な展開に解釈したのが良かったんだろうか。

中文を読む、あるいは聴く能力がレベルアップしたらまたこの映画を観よう。今回書いた感想とは全く違った感想になりそうだわ^^;

「死因不明社会」 海堂尊

『死因不明社会 : Aiが拓く新しい医療』 

死因不明社会 (ブルーバックス 1578)

 著者:海堂尊
 出版社:講談社 ブルーバックス





<感想>
日本の解剖率は先進諸国中最低レベルの2%台で、98%の死者は厳密に医学検索を行われないまま死亡診断書が交付されている。いわゆる「死因不明」のままということ。このままでは医療崩壊どころか犯罪や児童虐待死まで曖昧になってしまい治安まで破壊。そこで重要なのは画像診断するAi導入。Aiと解剖は次元の違う検査なので基本は比べることが出来ないのですが、本書ではわかりやすく比較してくれてます。「死因不明」に対するAiの役割、必要性をわかりやすく説いた1冊となってます。

奇数章は小説でお馴染みの厚生労働省の白鳥が、同じく小説の登場人物の1人である別宮葉子記者が独占インタビューするという形で進みます。偶数章は著者による説明。
白鳥は厚生労働省の人間なのに小説と同じく言いたい放題^^;まぁ架空の人物だけど(笑)。

日本の医療は進んでいたと思っていましたが、解剖率はたった2%だったとは…。死んだ後の医療を全く考えたことがなく、解剖制度すら初めて知りました。

Ai導入により解剖数が減るのではなく、白鳥はAiによって解剖数は増えると提言。Aiは解剖にとって大事なパートナー、解剖だと遺族の承諾を得るのは難しい(頭部ならなおさら)。でもAiだとメスを入れず画像撮影するだけなので承諾も得やすい。

解剖前にAiを施行すれば必要な解剖場所がわかり、不必要な解剖を避けられる。小児死亡前例にAi施行を義務化すれば虐待死を見逃すことがないとのこと。この本を読むとAiとはいいことばかり。もちろん問題点もあるけど、著者いわく今後の課題はあるもののそれらはすべて解消されるらしい。

なぜ田口&白鳥シリーズやその他小説の中であれほどまでAiを主張するのか理解できます。要はAi費用の拠出を国が保証すればいいってこと。こんなにいいことばかりのAiなのに国がしぶちんなのはどうしてなんだろう?この本に書かれていない理由が他にあったりして。

医療系の専門誌も読まないし普段メディアでも知ることがない解剖やAi、人気作家の著者がこのように提言することでこの事実を知った人は多いんだろうなぁ。勉強になりました、ありがとう海堂さん!

「ブラックペアン1988」 海堂尊

『ブラックペアン1988』  

ブラックペアン1988

 著者:海堂尊
 出版社:講談社





<簡単なあらすじ>
1985年、1人の研修医が東城大学医学部附属病院の佐伯外科に入局した。名は世良雅志。 器械「スナイプAZ1988」を導入し、誰にでも手術が出来るよう掲げる講師に着任したばかりの高階、 手術の技術を重視する最年長医局医の渡海。彼らの間で新米医師の世良は翻弄させられる。そして次期病院長選挙が近付いた時、佐伯教授と渡海との確執が終焉を迎えようとしていた。

<感想>
田口&白鳥シリーズでお馴染みの東城大学医学部附属病院が舞台。いつもと違うのは時代が今から約20年前の1988年ってこと。入局したばかりの世良雅志の目線から描いた物語で、20年後の東城大学医学部附属病院に登場する人物がズラリ。

自分自身の頭の中を整理するために登場人物のおさらいをしておこう。


高階:帝華大学からやってきた講師。ビッグマウスで佐伯教授からは"小天狗"と呼ばれている。手術をする姿は"阿修羅"とも。20年後は東城大学医学部附属病院長。
渡海:自由奔放に仕事をしてるが手術をする腕前はぴか一の渡海。彼にはどうしても許せない過去があり、それがクライマックスに向けて走り出す。手術室では悪魔と呼ばれている。
佐伯:佐伯外科の大御所教授。
世良:入局したばかりの新米外科医。手術で人を殺めそうになり一度は挫折しようとするが、高階・渡海から目をかけられなんとか乗り越える。
垣谷:世良の8年先輩で助手。20年後は『チーム・バチスタ』第一助手バイパス手術の専門家。
黒崎:助教授。20年後は臓器統御外科教授。
藤原:手術室婦長。20年後は不定愁訴外来で田口先生のお手伝い。20年前から既にコーヒーを入れてた模様。
猫田:昼寝場所を探している看護婦。ぼーとしてるようだが勘はいい。20年後は小児科病棟看護師長。
花房:新人の看護婦で淡い恋話あり。20年後、救命救急センター看護師長として『ジェネラル・ルージュ』に登場。
坂田:窓際で干されている室長とは名ばかりの官僚で今回は名前だけ登場。20年後は医政局長で白鳥の上司となる。
水落冴子:渡海がよく聞いている歌手。20年後は『ナイチンゲールの沈黙』にて登場。
速水・田口・島津:附属病院にベッドサイド・ラーニングとしてやってくる学部2年の学生たち。20年後、速水は『ジェネラル・ルージュ』で血まみれ将軍と呼ばれる。速水と花房さんはここで既に出会ってたのね…。まさか20年にあんなことになるとは誰が想像しただろう…。田口は田口&白鳥シリーズの1人。
登場人物を書いただけでもう感想も書いた気分になった(笑)。

学生時代の田口先生がちょろっと登場するんですが、なぜ血が苦手になったかがここで判明。教育指導をしていた世良のお陰で早い時分に気付いてよかったかも^^;
20年後の高階病院長は見晴らしのいい部屋ででーんと座ってるだけかと思いきや、若かりし頃は、着任早々佐伯外科を引っかき回したりしてバリバリ最前線で頑張っていたのね。。ちょと見直しちゃった。

「必要なら規則を変えろ。規則に囚われて、命を失うことがあってはならない」
「学会よりも患者の命が危なければそっちの方が最優先だ」
登場人物の2人が放った言葉。当たり前のことなんだけどこのストーリーの中でこの言葉は重みがある。後者のセリフはラストに向かい大事なシーンでの一言だけになおさら。

最初は高階vs渡海、高階vs佐伯教授なんて思っていたのですが、両方ともいいコンビだったりする。。結局は渡海vs佐伯教授が大きな焦点になり、開けてはいけないパンドラの箱がとうとう…ぎゃ~~!!誰が悪いっていう訳ではなく、それぞれがちゃんとした理由を持っているからどうしようもない結果とも言える。

その佐伯教授が手術をする時、手術セットにいつも置いているのがタイトルにもなっている「ブラックペアン」。読み終わったあと、かなり重要な鍵になっていたんだと。自分の考え、信念を自信持ってそれをやり通してきた分、その信念が間違ってたり納得したりした時、みな引き際が気持ちいいいほどすっきりしている。

20年前が舞台と言えども、かなり面白く読めた本書。内容が面白いのはもちろんのこと、お馴染みのメンバーの若かりし頃を楽しめたというのもポイントが高い^^病院長となった高階のもとにいつか渡海、あるいは世良が会いにくるっていう話があったらいいなぁ。

該当の記事は見つかりませんでした。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。