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「阪急電車」 有川浩

『阪急電車』 

阪急電車

 著者: 有川浩
 出版社:幻冬舎





<簡単なあらすじ>
阪急今津線に乗る人々のそれぞの物語。主な登場人物は・・・
・征史&マキ 征史は時々図書館で見かけるマキと偶然電車で隣の席になる。そこから恋が始まろうとしていた。
・翔子 結婚間近の彼氏を同僚に寝取られ、復讐のため2人の結婚式に討ち入りしたOL。帰りの電車の中で言葉を交わした女性に小林駅はいい駅だから降りて休むといいと言われた翔子はそこで降りることにした。
・時江&孫娘 孫娘と一緒の時江は、夫が亡くなって犬を飼いたいと思っていた。そんな時江は電車の中で訳ありの女性に助言したり、カップルに助けられたりする。
・ミサ どうしよもない男と付き合ってるミサは、電車の中で言葉を交わした女性の一言、そして女子高生の話を聞いて終止符を打とうとしていた。
・圭一&ミホ 軍オタの圭一は、電車の中で同じ大学だと思われるミホと出会う。彼女彼氏いない歴=年齢の2人はゆっくりと恋が始まろうとしていた。
・伊藤さん 中学校のPTAから付き合ってるおばさんグループの1人。傍若無人なグループの面々に無理して付き合ってる伊藤さん。仲間が電車の中でした行為を恥ずかしいと思っているがそれを注意する勇気はなかった。そんな時、電車で隣に座った女子大生から的を得た言葉を受け、新たな人生を始めようとしていた。
・悦子 漢字の読めない年上の彼氏と付き合ってるが、今の悩みは受験。そんな悦子に対し彼氏はとても大事にしてくれていた。

<感想>
新たな恋が始まろうとしていたり、気持ちに迷いがある人は何かを決断しようとしていたりと様々な出来事が阪急電車で起こります。
電車の中から恋が始まるのは私自身経験がないので謎ですが、こんな出会いがあったら♪なんて年甲斐もなく思っちゃいます。それと同時におばさんの行動、回想シーンでの女子高生2人の行動、ホームでの幼い少女たちのコミュニティなど、どの話も「そうそう、うんうん、あるある」と頷けます。
そんな中、女子高生グループの話の内容がめっちゃ面白い!年上の彼氏と付き合ってる1人の女子高生がおバカな彼氏との会話を話してるのですが、私がもしこの女子高生と同じ電車の中にいたら絶対聞き耳立ててる!しかもオチがちゃんとしてる(笑)。

登場人物同士が同じ電車に出くわしてたり、言葉を交わしてたりと全ての物語が電車の中で繋がってます(一瞬の場合もあり)。恋の始まりを偶然見た人はその光景を微笑ましいと思い、迷惑行為をする乗客には腹立たしさを覚えたりと日常的な光景もしばしば。
別れがあれば出会いもある、そんな電車物語で最後は気持ちよく読み終えれるという感じでしょうか。
図書館シリーズも面白いけど、こちらも面白かったです♪

冒頭に阪急電車は鉄道マニアに人気があり、若い女性から「かわいい」と好評、さらに女性観光客からは「おしゃれ!」とびっくりされると書かれてるのですが、そうなの?!阪急電車(神戸線)は学生時代に毎日乗ってましたが、そんな噂一回も聞いたことないなぁ。あずき色の電車ってめずらしいのかな?
この小説の舞台になってる今津線、私は年に数回しか乗らないので街の情景がどれも新鮮に感じます。この駅は人に優しい街なんだとか、この駅にはそんな光景があるんだとか・・・。機会があれば降りてみようかと思います^^

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「ソウ4」

『ソウ4-SAW4-』  SAW Ⅳ  

ソウ4 DTSエディション
 製作年:2007年
 製作国:アメリカ
 監督:ダーレン・リン・バウズマン
 出演:トビン・ベル、コスタス・マンディラー、
     スコット・パターソン、ベッツィ・ラッセル、
     リリク・ベント、ジャスティン・ルイス


<簡単なあらすじ>
ジグソウの死体解剖で胃の中から小さなカセットテープが出てきた。そこには駆けつけた刑事に対し、新たなゲームを告げるジグソウの声が入っていた。SWATのリッグ刑事はジグソウに関わり行方がわからなくなった仲間を捜すことに執念を燃やしていた。FBI連絡員だったケリー刑事の殺害捜査でFBIのペレーズとストラムが加わり、ジグソウとアマンダには別の協力者がいたんじゃないかと考える。
--これらの人物が猶予90分のゲームに新たに参加することになった--

<感想>
今回はリッグ刑事の執念のあり方がゲームのテーマに。
仲間を助けることに執念を燃やしており、家庭を犠牲にしてしまうことも。正義感の強いリッグ刑事が今までのような執念を持っていてはいけないということでしょうか。何度か警告があったのにな~。

SAW3を見てから1年が経っているため、ケリーがどうして殺されたのか、リッグ刑事は前作も登場してたのか、全く記憶にない・・・。前作を観てすぐ4を立て続けに観た方がよさそう。
リッグ刑事のゲームに関してはなんとくわかったものの、今回は時間軸も交差してるようでこちらは結局よく理解できなかった(><)。
ジグソウが解剖されてからなおゲームが続くとは!とも思ってたのですが、最初のシーンをもう一回観直すとどうやらこれは結果論のような。なるほど、そうすると時間軸もなんとな~くうっすらとわかってきたような気も。いや、わかってないかも^^;
ジグソウとアマンダは既に亡くなっている訳で、このゲームを始めた人物との接点が謎・・・。もしかして私、何か見逃してる?!

この4では、ジグソウが妻を暮らしていた過去が明らかになりどのような生活をしていたのかわかります。ゲームを始めたきっかけはもちろんのこと、初めてのゲームも・・・。
結構エグいシーンもありましたが、個人的に衝撃度はまぁまぁといったところかな。
謎の部分が多かったので、『ソウ5』で解明があると期待をしよう♪

「恐ろしい話」 ちくま文学の森7

『恐ろしい話』 ちくま文学の森7 

恐ろしい話
 編者:安野光雅/森毅/井上ひさし/池内紀
 訳者:堀口大学/大山定一/山口清/阿部主計
    小池滋/丸谷才一/池内紀/種村季弘
    渡辺一夫/中西秀男/杉捷夫/田中西二郎
    河盛好蔵/深町弘三
 出版社:筑摩書房 <ちくま文学の森7>


『「出エジプト記」より』 文語訳「旧訳聖書」
『詩人のナプキン』 アポリネール
『バッソンピエール元帥の回想記から』 ホフマンスタール
『蝿』 ピランデルロ
『爪』 ウイリアム・アイリッシュ
『信号手』 ディケンズ
『お前が犯人だ』 ポー   
『盗賊の花むこ』 グリム兄弟
『ロカルノの女乞食』 クライスト
『緑の物怪』 ネルヴァル
『竈の中の顔』 田中貢太郎
『剣を鍛える話』 魯迅
『断頭台の秘密』 ヴィリエ・ド・リラダン
『剃刀』 志賀直哉
『三浦右衛門の最後』 菊池寛
『利根の渡』 岡本綺堂
『死後の恋』 夢野久作
『網膜脈視症』 木々高太郎
『罪のあがない』 サキ
『ひも』 モーパッサン
『マウントドレイゴ卿の死』 モーム
『ごくつぶし』 ミルボー
『貧家の子女がその両親並びに祖国にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方法についての私案』 スウィフト
『ひかりごけ』 武田泰淳
この中からいくつか紹介。
『詩人のナプキン』
画家のプレロオグの家には4人の詩人が時々訪ねてき晩御飯をご馳走になっていた。ナプキンを順次4人が使っており、しかも洗ってなかったため肺結核にかかってた1人の菌が皆に感染してしまう。そして誰もいなくなった後、そのナプキンを拡げると・・・。
プレロオグは4人がこんな結末になると意図的にしたんじゃないよね?でも途中でプレロオグが言った通りになってしまう、そして最後の言葉から考えると4人の詩人は知ってたってこと?うーん、単純な話だと思ってましたが考えれば考えるほどわからない・・・

『爪』
元刑事のモロウは食べ物が美味しいある店で5年前にあった殺人事件を思い出した。お金を隠しておいた箱がこじ開けられ、てこずった犯人の爪が残っていた。そこで爪がはがれた犯人を捜すが、それを知った犯人はある行動にでる。
ラストはどちらかと言えば古典的感じがするのですが、私の中のウイリアム・アイリッシュも古典的なイメージがあるのであまり違和感なし。個人的には好きなラストなんですが、今読むとありきたりすぎでいまいちインパクトないかな~。

『信号手』
ある男性が信号手に声を掛けた。その掛け声から信号手といろんな話をすることになった男性。彼の悩みは大事故が起こる前に信号手は幻の声が聞こえるという。この信号手はどうなるのか。
読んでいくうちに信号手に声を掛けた男性がもしかして・・?!なんて期待を持たしつつ、信号手が聞こえる声とは一体なんぞやという疑問からめちゃくちゃドキドキしながら読みました。結果はなるほどね~という感じでしたが、信号手という時代を感じる中でも「どうなるの?!」という期待感は十分に持てます。

『お前が犯人だ』
資産家のシャトルワーズィが行方不明になった。彼の親友オールド・チャーリーは親身になっていろいろと対策を立てるが不良っぽいシャトルワーズィの甥がますます怪しくなるばかり。ところがひょんなことから真犯人が明らかになってしまう。
犯罪を犯す時、いつどこで誰に見られているかわからない。また度を過ぎた率直さは疑問を持たれたり反感を買ってしまうことがある。このからくりを明らかにした人物は、犯人に対し制裁をしたということでしょうか。ちょっと尋常じゃない方法だけど^^;

『盗賊の花むこ』
美しい娘は父親によっていいなずけができた。だが娘はいいなずけをどうも好きになれない。ある日嫌々ながらもいいなずけの家に行ったが、そこで盗賊たちが若い娘を切り刻んで煮立てて食べているのを陰で目撃してしまう。婚礼の日、娘は夢で見た話と前置きをした上で、皆の前で自分が目撃した内容を話し出した。
これってグリム童話の一つなの?!娘が盗賊と結婚する前に、盗賊の悪事を皆に知らせて悪者は処罰されるという話。これだけ聞くと普通のストーリーですが、塩をかけて人肉を切り刻んで煮て食べるって・・・私が子ども時分にこの童話を聞かされたらトラウマになってるよ~(><)。淡々としたストーリーの中、何気に残虐な行為が含まれてます^^;

『断頭台の秘密』
死刑因のところに高名な外科医がやってき、ある申し出をした。首を刎ねられたあとすぐ右の目蓋を3度閉じてほしいと。医学的に動くのではなく、人間の自我であるかどうかを確かめたいと。死刑因は承諾するが・・・。
医学のために実際ありそうな話。恐ろしい話ではないけど、医学的ではなく怪談のような趣旨だったら恐ろしい話になったのかも。

『剃刀』
床屋の芳三郎は剃刀を扱う名人だった。珍しく風邪を引いた芳三郎だったが、弟子に任せずフラフラしながらも自ら仕事をしていた。そこに若者が入ってき、顔を剃りはじめるが風邪のためどうもうまくいかない。疲れきった芳三郎はとうとう客の顔に傷をつけてしまった。その時ある感情がプツリと切れてしまう。
疲れている時に限って仕事がたて込み、うまくいかない状態でイライラ感だけがつのっていく。相手がのほほんとしてるとその態度が癪に障る。そんな中、自分が今までしたことがないミスをしてしまった時、何かが壊れてしまい狂気と化してしまうという話。苛立ちが極限まできてしまった時の人間の感情を上手く描いてるな~。人が壊れる瞬間ってこんな感じなんだろうなと妙に納得してしまいました。

『三浦右衛門の最後』
今川家から寵愛を受けていた三浦右衛門は主君を捨てて高天神の城を目指していた。城将の天野刑部なら助けてくれると思っていた三浦右衛門だったが、織田家と今川家の中間の立場にいる刑部は、今川家が陥落したことを知り織田家に三浦右衛門の首を差し出そうと目論んでいた。
死ぬことだけは嫌な三浦右衛門は「命だけは惜しゅうござる、命ばかりは助けて下され」と言うのですが、この時代の武士道では珍しい発言。勇ましく死ぬということが美学であったため、三浦右衛門の願いは無残にも散ってしまう。残虐な行為も当時は当たり前、それを考えると死に対する時代の流れがよくわかります。

『利根の渡』
利根川のむこう河岸に1人の座頭が何年もずっと立ち、ある人物を探してるようだった。不憫に思った平助は自分の小屋で寝泊りさせることにするが、盲目の座頭が太い針を隠し持っていることを知り怖ろしくなってきた。ある日、座頭の寿命が尽きる前に平助は彼の身の上話を聞くことになった。そして座頭が亡くなってから6年、利根川で1艘の船が転覆し1人だけが亡くなった。その人物とは座頭が探していた男だった。
もの凄い怨念です。でもよく考えたらこの敵討ちの話、なんか変・・・。座頭が不貞な行動をしたから盲目になった訳で、時代劇にあるような純粋な敵討ちとはちょっと違う。でもどんな理由でさえ、怨念&執念は届いた訳で・・・。

『マウントドレイゴ卿の死』
精神分析家オードリン博士のもとに、外務大臣のマウントドレイゴ卿が訪れた。彼は優秀な人物だったが、身分の低い者に対しては横柄で傲慢な態度を取っていた。そんな彼が見る夢について相談しにきたのであった。内容は毎回夢の中で下院議員のグリフィスが自分に恥をかかせ、下等で卑猥な行動をする自分を冷笑するというものあった。不思議なことにグリフィスも同じ夢を見ているらしく、夢の中の出来事を全部知ってるようだった。博士はある解決法をマウントドレイゴ卿に言うが、彼はそんなことをするなら自殺する方がましだと。すると本当に地下鉄の駅から線路に転落して亡くなってしまった。さらにグリフィスまでもが急病で亡くなっていた。
このストーリーを簡潔にまとめるのって難しい~(><)。夢の中で醜態をさらけ出し、夢の中でそのことを知ってる人物が実は同じ夢を見ており、現実で夢の中の出来事を知ってる素振りをする。さらに夢の中でその人物をビール瓶で殴ったら、翌日その人物が「瓶か何かで殴られたような気がする」と言ってたら?夢の中で殺人をしたら夢が覚めた時その人物は死んでる?なんてことをマウントドレイゴ卿が考えるのもわかるような・・・。
グリフィスに対しひどい仕打ちをしたことがあるマウントドレイゴ卿の妄想なのか、はたまた現実なのか、夢の中というのはまったく不思議。実際こんな奇妙な夢もあるんじゃないかと・・・。ないない(笑)。

『貧家の子女がその両親並びに祖国にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方法についての私案』
子どもを養うことが出来ない両親から生まれた子どもたちの処置についての計画--それは一部の赤ん坊は子孫繁栄のために残し、未来の見通しが暗い赤ん坊は食用として貴族や富豪に売ること(皮は加工して手袋や夏靴にする)。このことによって様々な利益があるという話。
いろんな利益を読んでると、なるほどそりゃそーだとちょっとでも納得しそうになった自分が怖い・・・。というかこの私案はもっと怖い。タブーな事に踏み込んでしまった感が残る話なのですが、当時のアイルランドの状況が作者にこのような計画を考えさせたのでしょうか。最後に「自分の家族は関係ないけどね」というユーモア的(なのか?)で終わってるのが救いかも。

恐ろしい話といってもいろんなパターンがあるもんです。今回は私にとっては珍しく後半のストーリーの方が好きかな。

「スーパーナチュラル」シーズン2 Vol.8

『スーパーナチュラル シーズンⅡ』 SUPER NATURAL #16・#17

SUPERNATURAL スーパーナチュラル (セカンド・シーズン) コレクターズ・ボックス2

 製作:2006年~
 製作国:アメリカ





※順を追って感想を書いてるため、前回までのネタバレが含まれてます。


第16話:死へのドライブ
山道で迷った車が人を轢きそうになり、避けようとして事故に遭う。乗っていたのは夫婦だったが、事故後に夫が消えてしまった。15年前にこの道路でなくなった男性グリーリーが、命日の晩に現れるという調査でこの場に来ていたサムとディーンは、女性と一緒に夫が消えた車の場所に行くが車自体がなくなっていた。3人はグリーリーの死体を除霊するため捜そうとするが・・・。

第17話:狼男
弁護士が心臓を抜き取られ死体となって発見された。同じような事件が数件起こっており、全て満月になる週にだった。死体発見者で秘書のマディソンから事情を聴くサムとディーンは、秘書が元カレからストーカーに遭ってあり、弁護士との仲を疑ってることを知る。元カレを調査する2人だったが・・・。
この世に何か未練がある霊は現世から離れられず、同じ過ちを何度も繰り返すというのはよく言われますが、このことを踏まえると途中から真実はわかってくるかも。(勘のいい人は最初の段階でわかる?)
今回はいつも登場するような霊ではなく、悲しい霊です。霊に新たな旅立ちをさせることもサムとディーンの仕事なんだな~。現世から離れた霊が行く未知の場所、これだけはサムとディーンにもわからない。

18話:昼は人間で満月の夜に狼になるという映画の中でしか観たことがない狼人間と対決できるということがディーンには嬉しいらしい。
優しいサムは狼人間を殺さず解決したいと考え、父親が残した手帳(この手帳、久々登場じゃない?)に書かれている解決法を実行するもそう上手くいくはずはなく・・。
この18話ではサムの恋愛にまで発展するのですが、サムとディーンの2人が涙を流す結果に。私まで目頭が熱くなった~(><)。

サムとディーンがじゃんけんをするシーンがあるんですが、このじゃんけんは初めて見た!これはアメリカ式?それとも地域性があるのかな。2人だけのやり方だったりして(笑)。

「悪いやつの物語」 ちくま文学の森8

『悪いやつの物語』 ちくま文学の森8     
   
 編者:安野光雅/森毅/井上ひさし/池内紀
 訳者:栗栖継/瀧口直太郎/山田稔
    米川正夫/中西秀男/宇野利泰
    杉捷夫/鮎川信夫/守屋陽一
    田中西二郎/平井呈一
 出版社:筑摩書房 <ちくま文学の森8>


『囈語』 山村暮鳥
『昼日中/労賊譚』 森銑三
『鼠小僧次郎吉』 芥川龍之介 
『女賊お君』 長谷川伸
『金庫破りと放火犯の話』 チャペック
『盗まれた白象』 マーク・トウェイン
『夏の愉しみ』 A・アレー
『コーラス・ガール』 チェーホフ
『異本「アメリカの悲劇」』 J・コリア
『二壜のソース』 ダンセイニ
『酒樽』 モーパッサン
『殺し屋』 ヘミングウェイ
『中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃』 三島由紀夫 
『光る道』 壇一雄
『桜の森の満開の下』 坂口安吾
『女強盗』 菊池寛
『ナイチンゲールとばら』 オスカー・ワイルド
『カチカチ山』 太宰治
『手紙』 モーム
『或る調書の一節』 谷崎潤一郎
『停車場で』 小泉八雲
この中からいくつか紹介。
『昼日中/労賊譚』
「昼日中」:休茶屋の亭主に1人の男が多めの釣りを渡してこう言った。「向かいの店の紋を盗むから、知らぬ顔をしててほしい」と。それを聞いた亭主は自分の店のことより男がいつ盗みをするのか向かいの店が気になってしょうがなかった。結局何事も起こらず、店を閉めて奥に入った亭主に待ち受けていたのものは・・・。
「労賊譚」:大ベテランの大泥棒である七兵衛のところへまだまだひよっこの富蔵が泥棒の話を持ちかけてきた。富蔵が何か企んでいるのを七兵衛は察し、事前にある対策を考えていた。そんなことを知る由もない富蔵は七兵衛をハメようとするが・・・。
「昼日中」は店の亭主に泥棒予告をし、亭主がそのことに気をとられることを想定してる手口は単純そうに見えて、実は人間心理をちゃんと考えた上での犯行。「労賊譚」は悪事を働くのもやはり経験と相手が何を考えているのか見抜く洞察力が大事。両方とも軽妙で面白い♪やはり悪人になるには2つの話のように一枚上手じゃないとね。

『夏の愉しみ』
語り手"私"の隣に意地悪女が住んでいた。まったくイヤな奴だったので私は意地悪女に対し数々の悪戯をしかけた。ある日、意地悪女が飼ってる猫に蛍光塗料を塗り、夜にその猫を見た意地悪女はあまりにも驚いて倒れてしまった。
隣人がイヤな奴といっても、実際何かされたとかではなく、ただ単に隣人に対し嫌がらせをして喜んでる"私"。ここまで凝ったことをするなんて嫌がらせが生きがいのような"私"。隣人がイヤな奴じゃなくても結果は同じことのような・・・。

『コーラス・ガール』
コーラス・ガールとある男性が一緒にいると、男性の妻が訪ねてきた。そして「主人はここにいるんじゃないか、会社のお金を使い込んでとんでもない立場にいる主人、そのお金であなたに貢いだものを返してくれ。じゃないと自分たち家族は破滅してしまう」と訴える。男からのプレゼント以外の物も渡してしまったコーラス・ガール。違う部屋に隠れて一部始終を聞いていた男性が放った言葉は・・・。
コーラス・ガールが見事騙されてしまうという話。浮気をする夫とその場に乗り込む妻、この夫婦(もしかしてただの詐欺コンビ?)は不倫をしてるというコーラス・ガールの立場、心理をよく把握してます。コーラス・ガールにとっては踏んだり蹴ったりの結末。

『異本「アメリカの悲劇」』
ある青年が、金持ちだけどケチな老いぼれ伯父を殺し、伯父のフリをして自分に遺産がはいるよう遺言書を書きかえようと計画を立てる。しかし遺産を狙ってる男が他にまだいた。
青年が老人になりすますにはかなり無理がありそうですが、全くバレないのが不思議というか不自然。歯を全部抜いたり努力はしたものの、結果がこれじゃ元も子もない^^;遺産が絡んだ陰謀を企てるには、念入りに慎重にしないといけないという教訓?

『二壜のソース』
菜食主義者スティーガアは貸別荘で少女と同棲をしていたが、ある日少女が行方不明となる。スティーガアはその日から庭のらかまつの木を1本1本切り倒すという奇妙な行動に出た。肉切り包丁やヤスリを購入するなど疑わしい行動はあるものの、少女の死体らしきものは全く見つからなかった。ソースを卸す仕事をしているスミザーズは、スティーガアがソースを肉料理専用ソースを二壜購入したという記事を読んでこの事件に興味を持ち、同居人のリンリイに解決を求める。
読み始めてから、これは犯人がどのようにして死体を始末したかという謎解きミステリーかなと思ってたのですが、ちょっと違いました。結局最後まで明確に死体の行方については書かれておらず、文章中のヒントとラストの言葉から読み手に想像を任せるといった感じでしょうか。なので死体の行方を想像した私は・・・気分が悪くなってきた・・・

『ナイチンゲールとばら』
男子学生は、恋焦がれてる女性に赤いバラを贈りたがっていた。恋に悩んでいる学生を見てナイチンゲールは、彼のために自分の命と引きかえに赤いバラ一輪を用意した。
バラをもらった女性は全く悪気はないものの非常に現実的で、男子学生とナイチンゲールのロマンチストな想いは音を立てて崩れてしまうという・・・。恋は生命より勝るという純真なナイチンゲールの健気な行動が不憫すぎてならない(泣)。

『カチカチ山』
ウサギがタヌキを成敗する有名な「カチカチ山」を太宰治風にした話。ウサギを16歳の美女ウサギ、タヌキをお調子者の37歳の男性タヌキとし、ウサギに惚れてるタヌキはひどい仕打ちをされようが惚れた弱みに付け込まれてしまう。ウサギはタヌキを心底嫌っており、残酷な仕打ちを繰り返すというもの。
「カチカチ山」ってこんな話だっけ?と思いながらも上手にアレンジしてると感心。40歳前の男性が欲を出して若い美女にちょっかい出すと痛い目にあうという教訓のようになってる。ほかの昔話も太宰治風で読んでみたいな~。

『停車場で』
窃盗を犯し巡査を刺した殺人犯が警部に連れられてある停車場へ着いた。警部が多くの見物人の中にいた殺された巡査の妻と幼い子を殺人犯の前へ呼び、幼い子に対し「目の前の男が父親を殺した犯人だからよく見ておきなさい」と言う。幼い子に泣きながら睨まれた犯人は許しを請う。
自分の犯した罪によって父親の顔を知らない子どもを見た途端、自分の罪を深く反省するのですが、これは子どもに対する潜在的な愛情が罪人の改悛を促していると作者は書いてます。確かに。強盗犯人に対し田舎から母親を呼んで説得してもらうというパターンも改悛を促すという点では同じなんだろうな。

「悪いやつ」がテーマになってますが、さほど悪くないやつもいたりして多様な内容になってました。特に印象に残ったのは『昼日中/労賊譚』、『二壜のソース』、『カチカチ山』、『停車場で』かな。

「機械のある世界」 ちくま文学の森11

『機械のある世界』 ちくま文学の森11     
   
機械のある世界 (ちくま文学の森)
 編者:安野光雅/森毅/井上ひさし/池内紀
 訳者:岩崎純孝/江口清/西脇順三郎/米川正夫/
     吉村正一郎/池内紀/徳永康元/瀧口直太郎
     阿部知二/五十嵐仁
 出版社:筑摩書房 <ちくま文学の森11>



『引力の事』 福沢諭吉
『私の懐中時計』 マーク・トウェイン
『時計のネジ』 椎名麟三
『メカに弱い男』 サーバー
『自転車日記』 夏目漱石
『瞑想の機械』 ボンテンペルリ
『怪夢 抄』 夢野久作
『シグナルとシグナレス』 宮沢賢治
『ナイチンゲール』 アンデルセン
『両棲動力』 A・アレー
『栄光製造機(政府ノ保証無シ)』 ヴィリエ・ド・リラダン
『流刑地にて』 カフカ
『To the unhappy few』 渡辺一夫
『メルツェルの将棋差し』 ポー
『金剛石のレンズ』 F・オブライエン
『フェッセンデンの宇宙』 E・ハミルトン
『実験室』 中谷宇吉郎
『操縦士と自然の力』 サン=テグジュペリ
『軽気球』 ラーゲルレーヴ
『蓄音機』 寺田寅彦
『天体嗜好症』 稲垣足穂
『夢みる少年の昼と夜』 福永武彦
この中からいくつか紹介。
『私の懐中時計』
全く狂いがなかった懐中時計がある日止まってしまった。宝石時計店や時計専門店、時計屋に持ち込むが結局元には戻らなかった。別の時計屋へ持ち込むが・・・。買った時の値段よりはるかに修理代にお金がかかってしまい、最終的に持ち主の堪忍袋が切れてしまうという話。マーク・トウェインの短篇は初めて読んだのですが、こんなオチを持ってくる作家だったとは知らなかった。私の中のマーク・トウェインのイメージが変わったかも。

『自転車日記』
ロンドン留学時に、自転車の稽古に励む体験記。
「ヒゲを蓄えた男が女の自転車で稽古をするとは情けない」とあるからこれは自伝なのかな?東洋の成人男性が悪戦苦闘してる姿は現地の人にはさぞかし珍しい光景だったんでしょうね~。坂の上から転がり出す場面やある令嬢からサイクリングに誘われる場面はユーモアに書かれてて面白い♪自転車に乗る稽古という何気ないことを面白可笑しく書く夏目漱石はやっぱりすごい。

『瞑想の機械』
バルセロナでエレベーターの行動をに変える男がいた。エレベーター係のその男は独特の理論を持っており、ある乗客に自分の考えを披露するが・・・。
エレベーターでここまで瞑想するとはただただびっくり。ダンテの階段を引き合いに出したり、エレベーターが動く方向が決まっており天に向かって無限に進むという・・。真から瞑想にふけるエレベーター係のその後が気になる。エレベーターと共に天への旅行をはじめたんだろうか・・・瞑想はまだまだ続きそう^^;

『怪夢 抄』
「工場」「空中」「街路」の3篇からなる怪奇的な話。
「工場」はまさしく悪夢でホラー的な感じで重い。「空中」は怪奇現状っぽいけどインパクトあり。「街路」はなんだか都市伝説のよう。違うタイプの3つのストーリーですが、どれも結構好きかも。

『シグナルとシグナレス』
鉄道本線の信号機シグナルと軽便鉄道のシグナレスは互いに恋をしていた。それに対し本線シグナル附の電信柱は身分違いの恋に対し怒り心頭。倉庫の屋根はシグナルとシグナレスを一緒にさせてやろうとするが・・。
シグナルは意外に積極的にシグナレスにアピールし、シグナレスも同じ気持ちで結婚の約束をするのですが、歯が浮くようなセリフが何とも・・・^^;信号機を擬人化しての切ない恋物語でした。

『流刑地にて』
学術調査の旅行家が、流刑地である機械を使った死刑に立ち会うことになった。前司令官が発明したこの機械に誇りを持っている将校は長々と説明をするが、現司令官はこの機械に疑問を持っており、将校は旅行家に現司令官にはこの死刑方法について意見を言ってくれるなと頼む。しかしこの方法に不満がある旅行家は断る。その言葉を聞いた将校がとった行動は・・・。
流刑地の裁判官という立場、これこそが正義だという軍隊的な秩序に誇りを持っており、新しい時代の流れに背を向けてる将校。信念を貫く姿勢は、生きてる時代・国が違えばヒーローになりえたかもしれない。内容的に重いですが印象に残る作品でした。

『金剛石のレンズ』
物心ついた頃から顕微鏡に魅せられた主人公、金剛石のレンズを手に入れるため殺人まで犯してしまう。そして完璧なレンズが完成するが、そのレンズを通して完全無欠の女性"擬女"を発見した。顕微鏡から目を離すとただの水滴。その中にいる"擬女"にすっかりハマった主人公だったが、ある日"擬女"に異変が起こった。
自分でも妄想だとわかっており、現実の女性に目を向けるが"擬女"を知ってしまった今では手遅れ。結局は狂人と呼ばれるのですが、何かにハマりその中で自分の世界を作り出してしまうのはわかるようなわからないような・・・。

『フェッセンデンの宇宙』
天文学者のフェッセンデンを訪れたブラッドレイは恐るべきものを見せられる。なんとフェッセンデンが実験室に1つの宇宙を創造していた。しかも縮小された宇宙といっても現実とまったく同じ生物がいる本物の宇宙。フェッセンデンはこの小宇宙に対し様々実験をし、ここに住む人々にどのような変化を
もたらすかブラッドレイに見せるが・・・
ブラッドレイはこの様子を超倍率顕微鏡で見るのですが、現実と同じ自然法則で形成されてる小宇宙。科学的な詳細はよくわからなくても、フェッセンデンの手に握られた小宇宙はすごい!しかもこの小宇宙の時間はものすごい速度で進めることが出来る。地形の変化、そしていろんな生物が進化し惑星は発展していく。
この作品は有名らしいのですが、全く知らなかった私にはとても新鮮に感じられました。実は自分の運命や災害は誰かが操作してる・・・こう考えるとよく似た感じの内容をどこかで読んだ(観た?)気が・・・。

『軽気球』
「軽気球にのって六週間」という小説をとても気に入って読んでる発明や探検旅行を夢見てる仲の良い兄弟がいた。兄は13歳で弟は1つ下。両親は別れることになり2人は父親と一緒に住むことになったが、いつしか希望も持てない状態に。ある日スケートをしに出掛けた2人は大きな軽気球が飛んでるのを見つけた。あまりの嬉しさに追いかけるのだったが・・・。
どうしよもない父親と暮らすことになってもいつか自分たちを愛してくれるだろうと少しの期待も持ってたのに、いつしか子どもたちは深い絶望に。そんな中、大きな軽気球が飛んでるのを生まれて初めて見た2人の喜びようを考えるとラストは切なすぎる(悲)。夢に向かって前に進もうとする2人に待ち受けていたものは・・思い出しただけでも目頭が(泣)。

『機械のある世界』というタイトルから、もっとコテコテの機械ばかりが登場するのかと思いきやそうじゃなかった^^;
個人的に印象に残っているのは特に『自転車日記』『流刑地にて』『フェッセンデンの宇宙』『軽気球』かなぁ。全体的に面白く読めました♪

「村上春樹のなかの中国」 藤井省三

『村上春樹のなかの中国』 

村上春樹のなかの中国 (朝日選書 826) (朝日選書 826) (朝日選書 826)

 著者: 藤井省三
 出版社:朝日新聞社





<感想>
村上春樹のファンではないですが、図書館で何気に手にして読んでると台湾や香港、トニー・レオンやチャウ・シンチー、さらにはウォン・カーウァイ、さらにさらにジミーの名前が書かれてる!なんだか読みたくなってきたぞ!ということで借りてきちゃいました♪内容はというと、


第1章:村上春樹のなかの中国
第2章:台湾のなかの村上春樹
第3章:香港のなかの村上春樹
第4章:中国のなかの村上春樹
第5章:にぎやかな翻訳の森
第6章:東アジアにおける「阿Q」像の系譜
となってます。まず最初に村上春樹が中国から影響を受けてるということを知りませんでした(しかも魯迅から影響を!)。村上春樹ファンの間では有名なのかな?
かなり昔に村上春樹の著書を数冊読んだことはあるのですが(確か村上春樹ブームが起こった時。いつだっけ?)、内容を全く覚えてないためビックリです。といっても魯迅を読んだことがないため比較することが出来ないのが現状ですが(苦笑)。
さらに台湾→香港→上海→北京と村上春樹ブーム時計回り展開してたとは!今作品ではこのあたりの詳細も書かれてます。
ちなみに著者いわく、アジアでは「森高羊低の法則」(『ノルウェイの森』は人気が高いが『羊をめぐる冒険』は低いという意味)で、欧米やロシアでは逆の「羊高森低の法則」なんだとか。

第2章「台湾のなかの村上春樹」の中で、台湾で珈琲館「挪威森林珈琲館(ノルウェイの森)」を経営してる”村上の達人”の話題が。実は2月に台湾旅行に行った時、公館駅近くでこの店を発見!

公館ノルウェーの森コーヒー

実はこのお店の存在は今作品を読む前から知ってました^^台湾旅行でいろいろとネットで調べてる時に知っただけなんだけどね~(笑)。

第3章「香港のなかの村上春樹」ではアジア型と欧米型が混交した「森羊双高」なんだそうな。そして映画界が村上春樹から深い影響を受けてると書かれています。
またトニー・レオンは『ノルウェイの森』が好き、やTWINSのシャーリーン・チョイは愛読書は村上春樹と語ったとか。スタンリー・クワン監督の『異邦人たち』やジョー・マ監督作品も村上春樹の影響を受けてるらしい・・・。
ウォン・カーウァイにいたっては、90年代以来村上文学の影響を指摘され続けてるそうです。
『欲望の翼』から『2046』までウォン・カーウァイ監督作品はいくつか観たのですが、村上春樹著を覚えていないためどのように影響されてるのか全くといってわからなかった(><)。
著者には世界映画界における最大の村上チルドレンなんて言われてるけど、本人たちはどのように思ってるんだろう。

第5章「にぎやかな翻訳の森」では、中国の翻訳家"林少華"、香港の翻訳家"葉"、台湾の翻訳家"頼明珠"を比べています。
村上文学を忠実に、正確に訳し村上ワールドをそのまま中国語訳にしてる"頼明珠"、"葉"に対し、中国に読者に好まれる訳をする自分の翻訳が1番良いと自信を持ってる"林少華"。さらに"林少華"は他の2人の訳の批判までしてる^^;
著者は"頼明珠"と"葉"を、お化粧もせず本来の姿を残す完璧な直訳をする「素顔の村上文学」、"林少華"のことは「厚化粧の村上作品」と称しています。こりゃ上手い表現だわ。
中国語訳に限らず翻訳家によってその本に対する想いがあり、お国柄というかその国で求められる文体、表現があるので完璧な直訳で著者ワールドを追求したいのか、その国独特の雰囲気や文章で読みたいのかは結局読者に委ねられるわけで。

冒頭に私の好きなキーワード(台湾や香港、トニー・レオン等々)を書きましたが、実際このキーワードが登場するのはほんのわずか^^;ジミーに関しては影響を受けたとかではなく、同時期にブームを起こしただけという・・・。そ、それだけ?
この本は村上春樹ファンじゃなくても読めますが、やはり著書を網羅してるファン向けの本かも。

「おかしい話」 ちくま文学の森5

『おかしい話』 ちくま文学の森5     
おかしい話 (ちくま文学の森)
 編者:安野光雅/森毅/井上ひさし/池内紀
 訳者:岩崎純孝/江口清/西脇順三郎/米川正夫/
     吉村正一郎/池内紀/徳永康元/瀧口直太郎
     阿部知二/五十嵐仁
 出版社:筑摩書房 <ちくま文学の森5>


『おかし男の歌』 長谷川四郎
『太陽の中の女 -ブルジョワの散歩-』 ボンテンペルリ
『死んでいる時間』 エーメ
『粉屋の話』 チョーサー
『結婚申込み』 チェーホフ
『勉強記』 坂口安吾
『ニコ狆先生』 織田作之助
『いなか、の、じけん 抄』 夢野久作
『あたま山』 八代目 林家正蔵演
『大力物語』 菊池寛
『怪盗と名探偵 抄』 カミ
『ゾッとしたくて旅に出た若者の話』 グリム兄弟
『運命』 ヘルタイ・イェネー
『海草と郭公時計』 T・F・ポイス
『奇跡をおこせる男 散文詩』 H・G・ウェルズ
『幸福の塩化物』 ピチグリッリ
『美食倶楽部』 谷崎潤一郎
『ラガド大学参観記(その一挿話)』 牧野信一
『本当の話 抄』 ルキアノス
この中からいくつか紹介。
『太陽の中の女』
小さな飛行機で飛行中、もう少しで向かって来る飛行機とぶつかりそうになった。拡声器で文句を言うと、相手は女性だった。この女性に対し話しかけるが・・・。
自分の気持ちを景色や空の光で表現してるのかと思ってるのですが、違うのかな?気に入ったのは地上でのデートに誘われた時の断り方。なんか洒落てる♪

『死んでいる時間』
主人公マルタンは1日おきにしか存在しない。24時間は普通に生活し、次の24時間は無となり姿させも消えてしまう。他の人にバレないようマルタンは細心の注意を払って生活していたが、ある日恋に落ちてしまった。毎日生きてる妻は、1日おきにしか生きてないマルタンより倍の年月が経ってるので新鮮味や愛情の度合いがズレてくる。結局マルタンはまた1人になり、人前で姿を消すという冒険を試みるのですが、これが皮肉な結果に・・・。非現実的で悲しい運命を辿る主人公というのがエーメのパターン?よくこんな奇怪なストーリーを思いつくなと感心しちゃいます。

『粉屋の話』
若くて綺麗な妻アスリーンを持つ大工がいた。この大工は妻を大事にしており、浮気されるのを恐れ家から一歩も外に出させないでいた。しかしアスリーンは家に置いてる下宿人の青年ニコラスといい仲に。一方教会の役人アブソロンもアスリーンに言い寄っており、ニコラスが大工を騙そうと計画中にもやってきた。ニコラスにすっかり騙された大工、ニコラス対アブソロン、一体どうなる?
何が面白いって、ニコラスの「ノアの洪水」を持ち出した騙し方から始まるドタバタぶり。洪水がくると信じて舟にじっと隠れている大工、その間に浮気をするアスリーンとニコラス、そんなことを知らずにアスリーンを口説こうとやってきたアブソロン、これが上手い具合に絡んでいて楽しい。この話が収録されてる『カンタベリー物語』も是非読んでみよう♪いろんな出版社・翻訳者から出てるから迷うな~。

『結婚申込み』
隣人の娘にプロポーズするため、ロモーフは家を訪れた。そこで父親と話し、娘のナタリヤが登場するがひょんなことから土地をめぐり所有権についての話になる。隣人同士は互いに譲らず家同士の争いに発展するが、自分にプロポーズするためにロモーフが家に来たことを知ったナタリヤ。いったんは冷静になるが今度は互いの飼ってる猟犬の話で言い争いになる。
こんな古典的なドタバタ喜劇、好きです^^登場人物が3人なので読みやすく、単純に読めて楽しい♪これってもとは劇作なのかな?演出の仕方によっては新喜劇でも十分楽しめそう(笑)。

『勉強記』
誰でも無条件で入学できる大校のインド哲学科に入学した按吉。人気のない梵語と巴利語の講座を受けていたが全く身に付かない。先生の言うことを真に受けて原書を読んだ気分だけに浸っていた。次にチベット語を勉強するもこちらもさっぱり。そして今度はトルコ語とアラビア語を習い巡礼に出ることを考えるが・・・。
淡々と書かれているため波のないストーリーですがどこか気になる作品。結局は悟りを諦めた按吉、流されやすい性格というかお馬鹿さんというか・・・。何でも興味は持つけど全然身に付かないというところは何だか自分を見てるような感じ^^;だから気になるのか?!

『大力物語』
大井子・お兼・尾張の女・大井光遠の妹、4人の女性の怪力ぶりと、実因僧都・寛朝僧正の怪力男性の話。
これらは有名な話なんだとか。女性バージョンは皆正義感が強く、そのために力を発揮しているけどあっけらかんとしていてそこがまたいい。男性バージョンはユーモアがあってこれまた面白い。著者が最後にどの話も誇張されてるに違いないが、その誇張が空とぼけていてほほえましいと書いていますが、ホントその通り。言い伝えられてるうちに、話がどんどん大きくなっちゃったんでしょうね~^^

『ゾッとしたくて旅に出た若者の話』
ゾッとするということが全く理解出来ない男がいた。そのことを聞いた教会守りが試してみるが、反対にえらい目にあってしまう。家を出された男はゾッとするために旅に出るが、そこで呪われた城を知る。続けて3晩その城で見張りをしたら、そこの美しい姫と結婚できるという。早速男は園城の王に会い、見張りをするが・・・。
何をされても全くゾッとしない男。途中まで面白く読めたのですが、ラストでトーンダウンしちゃった。もっと単純で解りやすい方が面白かったかな。例えば姫がいきなりスッピンをみせて男がゾッとしたとか。ダメ?

『海草と郭公時計』  
ヘスタアは結婚ということをいつも考えていた。といっても普通では考えられない結婚で、家にある時計に妻を見つけようとしていた。一生懸命探して見つけた結婚相手は海草だった。夫婦は幸せに暮らしていたが・・・。
ヘスタアはいろんなモノと話せるのですが、これはこれで楽しいかも。ヘスタアが極端に感受性が強いと思えばそれまでなんですが^^;でも普通に考えて海草と時計の結婚って・・・。と思ってたら意外にナイスカップル?モノがこのような感情を持ってたら夢があるというか、いや、夢じゃないな。なんて言うんだろう、モノにも命があるって感じ?真面目に考えようとしたけど、よく考えたらこの本のタイトルは『おかしい話』。そう、この話はまさしくおかしい話。

『奇跡をおこせる男 散文詩』
奇跡を起こす力を全く信じていなかった男性に、ある日突然自分が思ったことが現実に起こるという能力を持ってしまった。だがこの能力で地球の回転を止めてしまった。事の重大さを知った男性がとった行動とは・・・。
なぜだろう、どこか懐かしいストーリーのような気がするのは。前にも読んだことがあるのかな~。それともよく似た話があるのかな?ある日自分にこんな能力があると知ったら、私はもっとミーハーなことを願うかも(笑)。 

『変身ものがたり』を読んでこのシリーズは2冊目ですが、やっぱり面白い!
個人的にはどちらかというと前半の方に興味があるみたい^^というか、感想を書いてて後半の感想は疲れてこれ以上書けない!ってのが本音かも(苦笑)。
これもあれも・・・と思って感想を書いてたら勢いあまって全部書きたくなり、時間が足りない~(泣)。でも頭にはしっかり入。けど3日も経てば忘れちゃうんだろうな・・・。は~

「追伸」 真保裕一

『追伸』  
  
追伸
   
 著者: 真保裕一
 出版社:文藝春秋





<簡単なあらすじ>
単身でギリシャに赴任してる山上悟。一緒に行くはずだった妻の奈美子は交通事故に遭ってしまい、怪我が治るまで日本にいることになった。そんなある日、夫のもとに妻から離婚届が届く。その後さらに妻の祖父母の間で交わされた手紙のコピーが大量に送られてきた。そこには家族でさえも知らない真実が語られていた。そして離婚届を送った妻の真実も明らかになる。

<感想>
山上悟と奈美子の夫婦、奈美子の祖父母、2組の夫婦間で交わされた手紙だけで構成されてるストーリーです。
まず思ったのが、離婚届を送るつけるのはいいとして、別れようと思ってる相手に家族のことを長々と書いた手紙を送るだろうか。離婚とは無関係ではない内容と言えども、別れると決めたならそんな必要ないと思ったり。祖父母の関係を引き合いに出して、だから自分はこうなったと言い訳してるとしか思えないのは私だけ?それに対し戸惑いながらもちゃんと答えていく夫。略奪愛にしては手紙の内容はどこか丁寧すぎるような・・・。

現代を生きてるこの2人に対し、約50年前、刑務所にいる祖母と無実を信じてる祖父の間で交わされた手紙は時代のせいか、丁寧な文面でも妻への夫の愛が詰まってます。
誠実で優しい夫を持ち、自分は十分に幸せだと前置きした上で妻は夫に対し深い罪を手紙に書いてるのですが、これを読んだ夫の心情は・・・。
信じていた伴侶からこのような告白をされたら、私ならこの本の祖父のような態度を取れるかどうか・・・。
それなのに妻の無実を信じて自ら調べまわる夫。一方で離婚を覚悟したからこそ、相手を傷つける内容であっても自分の気持ちを正直に手紙に書くことができた妻。
といっても奈美子、祖母ともに最初から正直に言ってるのではなく、後になって(言い訳できる状態ではなくなったから?)真実を話してるのが気になるところ。

それに対し2人の夫は寛大すぎのような気がしてならないよ~。2組の夫婦は似てるといっちゃ似てるけど、時代のせいか現代の夫婦の方がどうも現実味がないんだよな~。
も、もしかして私が独身だから夫婦の繋がりというものに対し理解出来ないのか?!それを言っちゃおしまいよ~(><)

「呉清源 極みの棋譜」

『呉清源 極みの棋譜』  THE GO MASTER

呉清源 極みの棋譜

製作年:2006年
製作国:中国
監督:ティエン・チュアンチュアン(田壮壮)
出演:チャン・チェン(張震)、柄本明、松坂慶子、シルビア・チャン(張艾嘉)、伊藤歩、仁科貴、野村宏伸、南果歩、大森南朋

<あらすじ>
昭和3年、瀬越の尽力により14歳で中国から日本へ渡った天才棋士呉清源。彼を取り巻く環境、そして孤独から真理を求め宗教に入り結婚、懲役免除、事故、周囲の死など半生を描いた作品。

<感想>
宗教にはまったこと、奥さんと出会ってから結婚にいたる経緯などなど、どうしてそうなったかという過程が殆ど描かれておらず、シーンが変わるごとに「これはどういうシーン?」「このシーンはどこ?日本?中国?」と思ってしまいました。
奥さんが入院してるシーンでは、「ああ、奥さんもとうとう病に・・・苦労したもんね(悲)」と思ってたらなんと出産後で大変喜ばしいシーンだった(笑)。

野村宏伸が川端康成、松坂慶子が女流棋士というのも事前に知ってないと全然わからなかった^^;
囲碁に詳しい人なら登場人物の名前を聞いただけで、何の役かすぐさまわかるのかもしれないですね。
映画観る前、父親に「中国から来た有名な棋士の半生を描いた映画を観に行くねん、えーと、誰やっけな?」というと、「呉清源か?」と一発で返答。時代背景や有名な棋士を知っている父親世代の人が観ると、私以上にこの映画を楽しめたんじゃないかと思います。
映像だけではわからない部分は字幕が補ってくれるのですが、説明が少ない分、呉清源の人生を全く知らない人にとってはちょっとわかりづらいかな。

戦前戦後をはさんで日本での呉清源の精神的な部分が主となっており、その時代に生きた呉清源の半生を描いた映画といった感じでしょうか。
パンフレットにも「呉清源さんの視点で見たことや感じたこと、体験したことを奥行きのある描き方にした」とのこと。なるほど~。
私がこの映画で好きなのは、まず風情ある景色がいい!丸坊主でメガネ姿のチャン・チェンも昭和の時代にぴったりで好演(←ひいき目なしで(笑))。
子どもが生まれた時の笑顔がまたいい!赤ちゃんに触れる前に、自分の冷たい手を息をかけて温める姿もまたステキ♪
あとやはり対局のシーン。入れ物から碁石をジャラっして、基盤にコンと置きユラユラと揺れる碁石。ものすごい緊張感が漂います。

冒頭に現在の呉清源夫妻と、映画の中の呉清源夫妻(チャン・チェン、伊藤歩)の4人で談笑してるシーンがあるのですが、これを最初に持ってきてることによってこの映画が実話なんだという重さがズンときます。同時に今はご夫人とともに幸せに暮らしているんだという安心感も。
ただやはりこの映画を1回の鑑賞で理解するのは難しい・・・。特にチャン・チェンだけ目当てで観た私にとっては(苦笑)。今回初めて鑑賞しその後パンフレットをじっくり読んだので、改めて観るとおそらく違った感想になるだろうな。

「チャン・チェンとの夕べ」

第3回おおさかシネマフェスティバルスペシャルイベント「チャン・チェンとの夕べ」

 場所:大阪国際交流センター
 開催:2008年3月2日(日)18:30~
 上映作品:『呉清源 極みの棋譜』



タイトルにもある通り、チャン・チェン(張震)がスペシャルトークゲストなのです!
大好きなチャン・チェンが大阪に来るなら是非行かねば♪
トークショーは左から司会者、チャン・チェン、通訳の3人が舞台の椅子に座って始まります。
来場者からの質問タイムもあり、和やかな雰囲気^^
最初に司会者から「トークショー時の撮影はご遠慮ください。そのかわり最後にチャン・チェンさんに少し前に出てもらい、撮影タイムを設けます」と。
いやった~!!デジカメ持っていっててよかったよ~(泣)。
後ろの方からズームいっぱいで撮ったので、あまり上手く撮れてませんが^^;
以下が撮影タイムで撮った写真です。

08.03.02チャン・チェン1

08.03.02チャン・チェン3

08.03.02チャン・チェン2

前の席の人はきっともっとアップで撮れたんだろうな~。
後ろの席でもチャン・チェンを生で見れただけで大満足♪実物も超かっこよかった~。
全体で30分ぐらいだったかな?
チャン・チェンに会えた喜びで心臓バクバクしてる中、『呉清源 極みの棋譜』が始まりました。
映画の感想はまた後日・・・。

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