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「PK」 伊坂幸太郎

『PK』

PK

 著者:伊坂幸太郎
 出版社:講談社





・「PK」
・「超人」
・「密使」

以上、3作からなる中編集。伊坂さんによるあとがきによると、「PK」と「超人」は2010年の夏には完成しており、「群像」にて2011年に掲載。「密使」は2011年2月には完成しており、「NOVA」にて掲載。この単行本をまとめるにあたり、2編いずれも少し手を加え、繋がりが楽しめる形になっているそです。

「PK」
●サッカーのワールドカップ予選、小津はPKを蹴ることになった。だが数ヵ月前、ある男からPKのチャンスが訪れたら外せと指示されていた。PKを蹴る直前、小津は仲間の宇野と一緒に17年前に偶然見た勇気が湧く出来事を思い出す。
●57歳の大臣は、幹事長から偽証を強要されていた。同時に大臣は、10年前のワールドカップ予選で不調だった小津がPKを決めたことに疑問を持っていた。PKの直前に宇野が小津に話し掛け、その直後、明らかに小津の様子が変わったからだ。その調査を秘書官に調べさせていた。また、作家だった父親から聞いた話として、浮気相手から自宅に電話がかかってきたが、その時たまたまGが出たことで母親が2階に逃げており、その電話を父親がとったことで事なきを得たらしい。また、27年前に大臣は子供を救ったことがあり、勇気の量を試されたと語る。
●ある作家は、幼稚園児の息子2人(うち1人はのちに大臣)の躾にいつも次郎君の話を聞かせていた。ある日、担当者が連れてきた謎の男に小説を書きなおすよう指示される。さもないと大変なことになると…。
●ある居酒屋で。半年前のワールドカップ予選でなぜ小津がPKを決めることが出来たのかの謎、噂の超能力者の話(殺人が起きる前にその殺人犯を殺す者)を話す男女がいた。

時系がバラバラのこれらの話が交互に出てくるため、最初はかなり戸惑りました。大臣を中心に考えると、ワールドカップ予選の話は10年前、作家の話は約50年ほど前、居酒屋の話は9.5年前。小津たちは、子供の頃に議員になったばかりの大臣の勇気ある行動を見て勇気をもらい、大臣は57歳になって小津たちのゴール前の会話が気になり、大臣が幼稚園児頃には作家の父親が浮気してた。そしてとある居酒屋ではワールドカップ予選のPKの謎話や、次の『超人』にまつわる噂話をしてる。あ~この時点で頭の中が渦巻いてる~@@小津と作家の前に現れる謎の男は一緒なんだろうか?

本書を読む前に『仙台ぐらし』を読んだせいか、「PK」に登場する作家さんは伊坂さんご自身に違いない!あの心配性、奥様のキャラからしてきっとそーだ(^m^)こういうところは読んでいて楽しい♪そして作家さんが子供たちに話す次郎君話、まさかオチがそうくるとは!といいつつ私は真相をわかってなかったり^^;不思議系話?それとも秘書官は実はシャレのわかるノリのいい兄ちゃんだったとか?もしかしてこの変わりようも運命が少しずつ変わっていってる証拠?!

気になるのは小津たちが子供の頃に見た生気がないゾンビのような老若男女の集団。大臣も同じような集団とすれ違ってる。これは「臆病は伝染する」の象徴という解釈でいいんだろうか?


「超人」
●田中が作家の三島の家に訪れていた時、警備システムの営業マンである本田がやってきた。三島が作家と知り、ある作品を読んで勇
気づけられたという本田は2人に相談事を話し始める。自分は”特殊な力を持っている”と。送られてくるサッカーの試合結果メールに未来に起こる事件の加害者情報が記載されており、事件が起こる前にその加害者となるべき人間を殺しているという。ただこの情報は本田のみしか見れない。そんな時、ある人物によって10年後に莫大な被害で出るというメールがくる。
●立場が危うい大臣は、秘書官に27年前に命を救った子供を捜してほしいと頼む。そして再会。
●サッカーのワールドカップ予選、PKのシーン。

ここでも子供を救ったと思われる話があり。年数からすると、ここでの大臣は「PK」と同時期?その前に「超人」に登場する大臣と秘書官は「PK」と同一人物?にしてはかなりキャラが変わったような気が…。「PK」の作家の話で、浮気相手から電話がかかってきたがGのおかげで事なきを得たはずだったが、「超人」では母親にバレて大騒ぎになってる!どういうことだ?!


「密使」
●「僕」は、握手をするとその人のその日の6秒間をもらうことができる。ある日、"時間スリ"という能力を持った僕に「あなたの力が必要なんです」と謎の人物から言われる。僕がそれを引き受けたら、子供、老人、さらには世界中を救うことになるらしい。
●「私」は、青木豊計測技師長から、タイムパラドックス・パラレルワールドの説明を受ける。近い将来、耐性菌が蔓延するのを防ぐため過去に密使を送り、時間の流れを変化させ、その後の年月を分岐させることなく耐性菌が蔓延しない未来に徐々に変えていくというらしい。

この話を読んでなんとなくほんのちょっと本書全体の流れがわかったような気がする(気だけ)。密使の登場で、最初の2編につながるだと理解できました。

過去のほんの些細な出来事や人間の行動を変えることで、徐々に時間の流れが変わっていき、耐性菌蔓延を防止することができる。ほんの少しの変化が次に起こる出来事を緩やかに動かし、それがさらに変化を及ぼし、その連鎖によって未来が変わっていく。最も適切な最初の出来事、いわゆるドミノを倒すために密使を送る。

だがそれぞれの人たちに何らかの変化を与えてしまう。それが「PK」と「超人」の話ということでいいんだろうか。「PK」では密使が成功してるけど、「超人」では失敗してる。そのことで「PK」と「超人」の未来が少しずつ違ってきてるということ?だから大臣と秘書官の性格が微妙に変化した?でも大臣が幼児を救うことは変わらない。ってことは……ん?やっぱり理解出来てないかも~^^;一方、飛脚と宅配便の例えはわかりやすい。これって「僕」側と「私」側の例えってことだよね?これは合ってるような気がする(気だけ)。


本書を読んだ時、時系列や全体の流れがイマイチ理解できずもう一回読み直しまた。本書は一回読んだだけでは私には難しすぎです~(><。)でも再読すると一回目よりは理解できました!といってもまだまだ理解出来てない部分は多く、さらに理解出来たと思っててても間違って解釈してる部分も多そう^^;3編とも繋がっているんだろうけど、微妙に違うような気もして頭の中が?マーク状態。『密使』での「僕」の仕事が成功した世界が『超人』で、「私」の仕事が成功した世界が『PK』ってこと?

小津や作家の前に現れた謎の男性からの命令、本田に送られてくるメールは未来を変えるための変化の中の一つということ?でも結局断らたり拒否するバージョンもあるわけで。その断られたバージョンも仮定して、さらなる変化も用意されてるということだろうか。さらに「私」はもしかして大臣に助けられた子供?

時系列の表と、この人物はこの人物とイコールですという説明が欲しいところ。んでそれを見ながら再々読したら、さらに理解が出来そうな予感がする。←いや、それはどうかな。。でも全体的の雰囲気は嫌いではないです。ただ自分が理解できてないのが歯痒いだけ…。

幼児がベランダから落ちる時に風邪が囁いた言葉、青い生地の服を着たマントの男等々もよくわかりません。名前は違うけど、もしかしたら同一人物なんじゃ?と思える人もいるんですが確証は全くなし。映画版の『フィッシュストーリー』のラストで、時系列がちゃんと並べて流れた時のような「あ~、そういうことね!」という確認が欲しいっす。

自分の読解力のなさに改めてがっくし~。深く考えれば考えるほどわけわかめ状態~。あと何回再読したら理解できるんだろう。でも明日図書館に返さなきゃいけない。もう一回予約しようかしらん。

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「仙台ぐらし」 伊坂幸太郎

『仙台ぐらし』  

仙台ぐらし

 著者:伊坂幸太郎
 出版社:荒蝦夷




<簡単なあらすじと感想>
あとがきによると、このエッセイ集は基本的に、仙台の出版社である荒蝦夷で発行している雑誌『仙台学』に連載していたものをまとめたそうです。伊坂さんはエッセイが苦手なので「エッセイに見せかけた作り話」にしたらどうにかなるかと思ったそうですが、これがなかなか難しかったらしく、結果的にほとんどが実話をもとにしたエッセイ集に^^本当は2011年6月に発売予定だったそうですが、震災でそれどころではなくなってしまったそうです。震災に関するコメントや文章を求められる仕事があったそうですが、基本的に全て断り、地元の媒体のいくつかへの寄稿と荒蝦夷からの依頼は例外的に受けており、震災に関係するエッセイも本書には少し含まれています。ラストは短編小説ですが、これは石巻でボランティア活動をしていた若者2人をモデルにしたフィクションになってます。

収録中の10編は「~が多すぎる」をテーマに書かれており、どれも日常の伊坂さんを垣間見ることが出来て面白い^^声を掛けられるたび自分の本を知ってる人かなと思い、返事をするもそうでないことがしばしばある話や、いろんなことを考えすぎてしまう話が印象的。自分のことを自意識過剰で被害妄想だという伊坂さんですが、そんなことないよーと思えるものや、確かにそれは考えすぎだってって思えるものまで多々。隣の家で起こってるかもしれない事件はさすがに考えすぎ~(笑)。

「僕がこれだけ心配しているからこそ、何も起きないのだ。」と心配することが自分の役割、安心してはいけないという使命感を持ってる伊坂さん、心配事が尽きないからこそこうやってエッセイに書き、それを「伊坂さんってこんな方なんだ~」と面白く(面白いっていっちゃ失礼?)読めてますます伊坂さんのファンになっちゃう。
猫を女性に例えてるのも面白い。嫌いでもなければ好きでもない女性とか、悪い女とか、その例えがホントぴったりなので笑えました^^
喫茶店で焦りながらパソコンで原稿を書いている時、知らない男性に話掛けられ「このおじさんと話をすべき、これも何かの縁」とパソコンを閉じて話を聞く。そんな人柄だからきっとよく声を掛けられるんだろうなー。

震災後に書かれたエッセイもいくつか。原稿に何を書けばいいのかと思っていたという伊坂さんですが、その時の想いや状況を綴ってくれてます。今後は、伊坂さんが書かれているとおり楽しい小説を今後も書き続けてもらいたいなと思います。

小説が面白いのはもちろんのこと、エッセイも面白い!ご本人は苦手とおっしゃってますが、日常の些細なことが伊坂さんの筆にかかるとたちまち伊坂ワールドになるんだからしょうがない^^現在、図書館で『PK』と『夜の国のクーパー』を予約中。早く読みたいな♪

「ラスト・チャイルド」 ジョン・ハート

『ラスト・チャイルド』  THE LAST CHILD

ラスト・チャイルド (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1836)

 著者:ジョン・ハート (John Hurt)
 訳者:東野さやか
 出版社:早川書房 ハヤカワポケットミステリ №1836 




<簡単なあらすじ>
1年前、13歳のジョニー・メリモンの双子の妹アリッサが誘拐され、まもなく父親は失踪、悲しみに打ちひしがれてしまった母親は地元の有力者ケンによって薬と酒に依存するようになっていた。そんな中、ジョニーは学校をさぼり友人ジャックの助けを借りながら、危険な状況にも臆せずアリッサの行方を懸命に探していた。その様子を見守る刑事ハント、彼は当時アリッサ誘拐事件を担当していたが、何の手掛かりも発見することができず、その結果、事件にのめり込みすぎて妻は出ていき1人息子との間にも溝ができていた。ある日、ジョニーの目の前で事故が起こり、ある男が発した言葉で事件が動き出す。

<感想>
読み始めて思ったのはなんて重い話なんだろうと。妹が誘拐され幸せだった家庭が崩壊。救いようのない背景、さらなる事件、遺体の数々…。ジョニーに一筋の明るい光が差し込む日が来るのだろうか。警察ですら解決できなかった事件を13歳の少年1人の力でどうにかなるのだろうか。

妹が誘拐された時、必ず見つけると言ったのに未だ全く進展していないハント刑事を信用しておらず、逆に家庭環境から社会福祉局に連絡され母親と離されるんじゃないかとジョニーは警戒。ハント自身の家庭も崩壊しており、仕事と個人的感情のはざまで苦悩してます。ジョニーの友人であるジャックの家庭も問題があり、主要人物の3人ともが家庭問題で苦しんでいる状態。

こんな状況下の中たった一人で調べ、危険を顧みない行動力はすごい。いや、親といい親戚といい刑事といい、頼れない大人ばかりが周囲にいるため13歳の少年にここまでの行動を起こさせてしまたのか?頭の回転が速く力強い行動をしつつも、その中に脆さが見え隠れするジョニー。痛々しすぎる。

神の存在やインディアンのくだり、13歳の少年が自動車を運転していたり銃を抵抗なく持ったりするのは(必要であったとしても)いかにもアメリカ的な内容。またジョニーの目の前での事故、神を信じる男の登場シーンなどあまりにも出来すぎた偶然がちょっと多いような気が…。なんていうんだろう、この神を信じる男の存在が物語を非現実的な雰囲気にしてる部分が多少あるかも。

暗い展開で進むストーリーですが読み応えがあって重厚な内容。不幸のオンパレードを詰め込み、最後は一体どうやって解決するんだろうと思いながら読みました。ジョニーをはじめ、それぞれの家庭の苦悩と再生、友情、神、裏切り、信頼、憎悪等々いろんな要素があるものの、やはり崩壊した家族が再生していく家庭が一番の見所かな。

タイトルになってる『ラスト・チャイルド』、読み終えていろんな意味合いが込められてるんだと納得。奥深いタイトルだったのね。早川書房創立65周年&ハヤカワ文庫40周年記念作品としてハヤカワ・ミステリ文庫版と同時刊行された本書、納得の長編ミステリでした。

『[総特集]伊坂幸太郎』

『[総特集]伊坂幸太郎 ―デビュー10年新たなる決意―』

文藝別冊 伊坂幸太郎 (KAWADE夢ムック)

 著者:伊坂幸太郎
 出版社:河出書房新社 KAWADE夢ムック 文藝別冊 





デビュー10年目という節目に出版された本で、タイトル「総特集 伊坂幸太郎」のとおり、まるごと1冊伊坂さんをさらにもっと知るための読本のようになってます。収録されているのは以下のとおり。


書き下ろし小説「クリスマスを探偵と」
・5万字ロングインタビュー「伊坂幸太郎式症悦の書き方、作り方」
・インタビュー「伊坂幸太郎を作り上げた100冊」
・SPECIAL TALK「伊坂幸太郎×斉藤和義×中村義洋」
・書き下ろしルポルタージュ「佐藤哲也に教わる、小説の秘密」
・毎日の音楽「今日、何聞いた?」
・全作品召還カルチャー徹底ガイド
・論考
・全作品解題2000→2010、全作品相関図


上記の間に
・伊坂幸太郎を紐解くIDキーワード
・エッセイ

がいくつかあり。
書き下ろし「クリスマスを探偵と」は、大学一年の時に生まれて初めて完成させた小説のプロットで、今回掲載されるにあたり全面的に書き直したものだそうです。伊坂さんには珍しくドイツが舞台。全面的に書き直したということもあり(最初の一文だけはそのままらしい)、もうすでに伊坂さんが出来上がってるような感じ?とても面白く読めました^^書き直す前の文章も読んでみたかったかな。

ロングインタビューでは主に小説の書き方、作り方という小説の技術論について語られています。描写について、非現実的なことでも書きさえすれば物語の中では現実になるということ、ウソの世界でもリアリティとのバランスを考えているとのこと。そして伏線についての考えにも触れており、伊坂さん=伏線というイメージがあったのでとても興味深い内容でした。

「伊坂幸太郎×斉藤和義×中村義洋」の対談はなんて豪華なんだろう。小説、音楽、映画というそれぞれの作品に対する考えをいい雰囲気の中、語られています。伊坂さんの作品は何本か映画化されてますが、しばらくは原作からの映像化はしないと公言されてたんだと知りました。その理由も語られていてなるほどなーと。いつか映画用の新作プロットづくりをしてみたいとおっしゃっており、映画のために書かれる内容も興味津々。これはこれで楽しみだなー。

エッセイの中に仙台で伊坂さんご自身が行かれる本屋さんの店員さんが書かれたものがあり、何気ない普段の伊坂さんの素顔を知ることができちょっと嬉しいかったり☆そうだよね、仙台に住んでらっしゃるってことは街中で伊坂を見かけることもあるってことなのよね?。
「伊坂幸太郎を作り上げた100冊」では、私が好きなウェストレイクやローレンス・ブロックが入っているがちょっと嬉しい♪

この間読んだ『3652―伊坂幸太郎エッセイ集』もデビュー10周年記念で書かれたもの。最近、伊坂さん自身の魅力に触れる機会が多く今後の作品がますます楽しみになりました。

『3652―伊坂幸太郎エッセイ集』 伊坂幸太郎

『3652―伊坂幸太郎エッセイ集』  

3652―伊坂幸太郎エッセイ集

 著者:伊坂幸太郎
 出版社:新潮社





<簡単なあらすじ>
デビュー10周年。2000~2010年にさまざまな分野で書かれたエッセイを年代順にまとめた1冊。タイトルの『3652』は10年目にエッセイ集を出すということで、365日×10年にうるう年の2日を足したもの。ちなみに発売日もデビュー作が発売された日と同じ日付だそうです。

<感想>
あとがき(この本ができるまで)によると、エッセイは得意ではないのでなるべくは引き受けないように考えていたそうですが、親しい編集者からの依頼に応えたい、企画意図によってはやってみたいと感じることがあったようで。といいつつもだいたいは依頼が断れなかったのが理由のようです。そんな中、10周年というタイミングで今まで書かれたエッセイをまとめた本書、初エッセイ集が出来たわけですが、すべてのエッセイの下に脚注が付いており、伊坂さんが当時を振り返って思うことや裏話を丁寧に書き下ろしてくれているので、当時のエッセイと現在の伊坂さんが楽しめるという一石二鳥な1冊。というか1冊の本になるほどエッセイを書かれていたとは!エッセイを書かれていたこと自体全く知らなかったのでなんだか嬉しいぞ!

小説系の雑誌、新聞、書評、アンケート、地方広報誌、社団法人学士会の会報、家裁調査官の広報誌などなど、いろんな媒体からの依頼なのでテーマもバラバラ。その都度テーマに沿って書いているのですが、時おり四苦八苦している部分もあったりw
デビューした頃の思い出、好きな音楽や小説(作家)、今まで書いた小説への思いや登場人物の名前の由来、家族のことなどなど、たまに正直な本音を垣間見ることができます。

伊坂父の話がよく登場するのですが、小説のモデルのような雰囲気でどの話も面白い。伊坂父が書いたという"新十訓"の全部が知りたいなー。
好きな本、好きな音楽については、伊坂さんが何から影響を受けたのか知ることができるのも嬉しい。なによりこれらについて語る伊坂さんは生き生きしてる!本書によく登場する大江健三郎さんと打海文三さんの著書が読みたくなっちゃうほど。伊坂さんはよっぽど影響を受けたんだろうなー。

映画館の話には「わかるわかる!」とうなずいたり、グラタンの話も面白くアメリカンコーヒーの話では笑わせてもらいました!このアメリカンコーヒーは専業作家になったばかりで毎日不安だった頃に書いたんだとか。時おり親近感が沸く内容になっているのがいい感じです♪「干支エッセイ」では苦労したらしく、その苦労ぶりを面白おかしく書いているので読んでいて楽しい。(人の苦労を楽しむとは失礼な話だ^^;)

あとがきに伊坂さんが今回集めたエッセイを読み返し、自分がいかに平凡な(刺激のない)日々を送っているのか分かるし、毎回同じことをいっているなとつくづく思う。ただどの原稿にもそれぞれ思い出や思い入れがあると。
確かに群を抜いて素晴らしいエッセイではないですが、平凡な中に伊坂さんの素の部分が見えたり、影響を受けた小説(作家)や音楽、小説への想いを知ることが出来たし、想像以上に楽しめました。ずっと伊坂幸太郎というのは本名かと思ってましたがペンネームだったのね。。そういやいくつかの話の脚注で「これはいつか小説に登場させてみたい」と書かれていた箇所があったので、今後出される小説が楽しみ。

「マリアビートル」 伊坂幸太郎

『マリアビートル』

マリアビートル

 著者:伊坂幸太郎
 出版社:角川グループパブリッシング





<簡単なあらすじ>
"木村"は6歳の息子をデパートの屋上から突き落とし重傷を負わせた中学生"王子"に復讐するため、彼が乗っている東京発盛岡行きの東北新幹線はやとに乗り込む。"蜜柑"と"檸檬"はある人物からの依頼で、人質に取られた息子と身代金を取り返し、盛岡まで護送中するためはやとに乗車。"七尾"はある乗客のトランクを盗み、次の駅で降りるだけという仕事のためにはやとに乗り込む。彼らを乗せた列車は東京を出発。それぞれが自分のやるべきことを遂行しようとするが、事態はとんでもない方向へ動き出す。

<感想>
同じ列車に乗り合わせた同じ裏家業の者たちが、各々依頼された仕事をするために集まり繰り広げる騒動、それをはたから見て楽しんでいる中学生の王子によるドタバタ劇。続編というわけではなさそうですが、『グラスホッパー』と同じ殺し屋さんたちの話。
『グラスホッパー』に登場していたと思われる人物の名が出てきたり、実際登場したりするのですが、この本の内容をあまり覚えてないかも…。名前は覚えてるんだけどその人にまつわるエピソードは殆ど覚えていない…。過去に書いた自分の『グラスホッパー』の感想を読んで、鈴木だけはどんな役どころだったのか思い出せたのでよかった^^

元殺し屋で少し前まで酒浸りだった"木村"、機関車トーマスをこよなく愛する"檸檬"、小説が好きな"蜜柑"の2人は腕の立つ殺し屋、関わると物事が必ず裏目に出てしまうという不運にとりつかれた殺し屋"七尾"、そして大人を見下した悪魔のような中学生"王子"。この独特の個性ある登場人物だけでなく、他にも乗り合わせている一般客、怪しげな客なども巻き込んでストーリーが進んでいくのですが、ほぼ車内の中での話で、果物コンビが持っているトランクがあっちに行ったりこっちに行ったり。軽妙な会話とともにドタバタと次の駅へ。次第に殺し合いに発展。

今回、殺されてしまう人が何人かおり、なかには濃く、なかにはあっさりやられてしまうので「あの人が…うっ(悲)」と感傷に浸るヒマもなく次の展開へ進んで行きます。

殺し屋さんって寡黙なイメージあるけど、今作品に登場する殺し屋さんや彼らに関係してる人たち、みなおしゃべり好きだねー。読んでいて楽しい会話が多いのですが、殺し屋さんたちなので当然物騒な話もするわけで。もちろん大声で話してるわけはないですが、コソコソ話って感じでもなく普通に話しをしている感じ。ここまでいろいろとおしゃべりしてたら周囲にいるお客さん一人ぐらいに話が漏れててもおかしくないと思うんだけど^^;

今作品を読んで、以前の伊坂節が戻ってきたと思われてる方が多いみたいですが、私もそう思いました。最近、何冊かはちょっと違った感じでしたもんね~。関係ないと思われていた人物や多少関係ある人物が最後に繋がっていく様、多数の伏線が回収されていく様、テンポよいストーリー、意外な展開。伊坂さんの本を読むといつも同じような感想になってしまうのですが、読み終えたらホントそう思うんだからしょーがない。

七尾の不運さは脱帽もの。ここまでくると何かに取り憑かれているしか思えない。といいつつ特技は首折って…。実はやり手なんじゃないの~?桃の口から語られる七尾の性格を知り納得。
機関車トーマスは奥深かったのね。。キャラクターの特徴文みたいなのがうまく活かされててちょっと感動しちゃった。檸檬が好きなのもわかるような気がする。

木村夫妻は孫が可愛すぎて息子の子とは思えない、隔世遺伝だとかなんとか言ってましたがよく考えたら一緒じゃんwでもまぁ似るんだったら祖父母に似た方がよさげかな。自分を最強に幸運だと思っている王子、自分を最強に不運だと思っている七尾。この2人が重なった時、一体どちらに軍配があがるのか。ってか最後の七尾の見せ場のシーン、こんなありえない偶然って…びっくりしちゃった。

終盤で意外な人物がシメてくれたのには爽快!これがあったから読後にイライラ感が残らずにすんだかも(笑)。今作品で生き残った人たちにまた何かの小説で会えるといいなー。

「わたしを離さないで」 カズオ・イシグロ

『わたしを離さないで』   NEVER LET ME GO

わたしを離さないで

 著者:カズオ・イシグロ (Kazuo Ishiguro)
 訳者:土屋政雄
 出版社:早川書房 ハヤカワepi文庫 




<簡単なあらすじ>
優秀な"介護人"キャシー・Hは、11年以上"提供者"の世話をしている。ここ数年は"提供者"を選べるようになり、キャシー自身が育ったヘールシャムの人間を意識して世話するようになっていた。ヘールシャム――そこは他の出身である"提供者"から羨ましがられる施設で、閉鎖的ではあったが子供たちは大事に扱われ最高の教育を受けさせてもらえる場所。キャシーがそこで過ごした幼少時代を回想していく。友情・愛情・疑問・不安などを持ちながら成長していく過程、そして次第に施設の真実が明らかになっていく。

<感想>
第23回東京国際映画祭で上映された作品の原作。この映画でのネタバレしていない簡単なあらすじに目を通しただけなので、ストーリーの核心となる部分を知らず読みました。
"介護人"や"提供者"、"保護官"施設などという言葉で全寮制のような感じで読んでいたのですが、どうやら特別な生徒で普通の子供たちではない様子。普通の学校と何ら変わりないように見えて明らかに違和感が…。一体何の為の施設なのか、子供たちはどうしてここに?先生(保護官)たちは何を隠してる?と疑問に思いながら読み進んでいくと(といっても"提供者"という言葉で大体の予測はつきますが…)、ポツリポツリと何について書かれているのかがわかる言葉が出てくるように。でも確信はまだなく読み続けるとじわわと感じるようになり、途中で「やっぱり…」と納得。

これってネタバレせずにあらすじや感想を書くのが難しい…。著者自身は「最初から言ってもたいしてかわらない。そんなこと(ネタばらし)は本書の小さな一部にすぎない。なんなら本の帯に"これは○○についての物語である"と書いてくれてもかまわない」と言ってるらしのですが、それでもねぇ…やっぱりねぇ。

こういう運命だというのは宿命であり揺るぎない事実で、そのこと自体の問題性とか論理的なものは全く描かれてなく、ただただその運命を待ち受けている子たちの話。
このような話はSFとかであるけど、どちらかと言えば脱出するとか不満を持った話の方が多いような気がする。本書では、この結果が運命だと思っているのか、はたまた生まれた時から洗脳されてるせいなのか、自分の行く末をちゃんと受け入れている。これほどまでに(ルースにいたっては人並み以上?)喜怒哀楽の感情を持ち合わせているのに、全く抵抗もなにもないのがちょっと不思議だったりする。

自分たちの未来を薄々気付いていながらも、はっきりとしたことはわからない子供時代。なので保護官が話す事や噂話、いろんな出来事が重要なことに見えたり聞こえたりし、彼らはそれについていろいろ論議したりする。本当は彼らにとって意味がないことだとしても。
自分の未来をはっきり知らず、うやむやな情報や知識しか持っていないから日常に起こる出来事一つ一つにいろんな疑問を持ったり感情を持ったり。好奇心いっぱいだけど、それ以上踏み込んではいけないという自分たちでバリアのようなものを張っていたり。

小学生ぐらいの年齢から物語がはじまるので生まれた頃のこととかはわからず、将来の役目はわかっても具体的な使命はわかりません。役割自体の問題定義ではなく、彼らにまつわるエピソード的内容が大事だってことかな?使命を果たすまで、仲間たちと共に成長していく中でのさまざまな感情を描いているような感じでしょうか。

非現実的な話ではあるけれど、友情間の感情は生々しく普通の女の子となんら変わりない。だけど自分たちが辿る運命についてはもはや使命として決定づけられているせいか、さほど悲観的に思っていない。自分の決まった運命に対し「どうして自分が?」とか「受入られない」といった疑問はないんだろうか?自分たちの運命をあそこまで順応に受け入れているのはどういう経緯があったからなんだろう。

同じような内容でも、もっとSFらしい違う角度からの内容なら面白く読めたかもしれませんが、個人的に一人称で語られるキャシーの語りからはそれほど心打たれるものは得られず…。使命を果たすまでどのような感情な持ち、どのような恋をし、どのように成長していったか。映像だと原作本より多少はのめり込めるかも…。忘れた頃に映画の方を見ると、また違った感想を持つかもです。

「バイバイ、ブラックバード」 伊坂幸太郎

『バイバイ、ブラックバード Bye Bye Blackbird』

バイバイ、ブラックバード

 著者:伊坂幸太郎
 出版社:双葉社





<簡単なあらすじ>
<あのバス>に乗せられ連れて行かれるまで2週間。星野一彦は監視役の繭美に、付き合っていた5人の女性に別れの挨拶をしたいと頼む。別れ方は繭美の指示により「繭美と結婚するから別れたい」という嘘の内容。出会い方も別れを告げた時の反応もさまざまな5人。彼女たちの問題を知った星野はそれが解決するまで、あるいは糸口が見つかるまで見届ける。嫌々ながらもそれに付き合う繭美だったが対応は容赦なかった。5人に別れを告げたのち、星野の前に<あのバス>が現れる。

<感想>
1つの話につき1人の女性との出会いから別れを告げるまで描かれており、最後の1話は書き下ろしで全部で6話から構成されている連作短編。この小説は双葉社の企画「ゆうびん小説」で、短編1つ書き終えるたびに抽選で選ばれた50名に届けられ読んでもらったそうな。確かにある日小説がポストに届いていたら嬉しいけど、これって1~5話まで同じ50名に届けてくれたのかな?それとも1話ごとその都度選ばれた50名という意味なら前後の話が気になって仕方がないよね?

<あのバス>が何の目的でどこに向かうのか、どんな経緯でこのバスに乗ることになったのか、そこでどんなことが待ち受けているのか詳細は謎。繭美いわくとっても恐ろしい所らしい…。最初は気になりながら読んでましたが、読み終えると詳細がはっきり書かれてない方がこの作品には合ってるなーと納得。

なんといっても繭美のキャラと存在が強烈炸裂爆発的!身長180cm、体重180kgの巨漢体で何から何まで規格外、その上、態度も大きく横暴で傍若無人。さらにケンカも強く肝も据わっている。「わたしの辞書にはのってない」と年季の入った小さな辞書を持ち歩き調べたり(でも常識的な単語は全部塗り潰されている)、箱に入った金色耳かきを持ってたりと意外にこわだり屋さん。とにかく体もすることも言うことも強烈でインパクト大な繭美、基本やること全てにおいて横暴極まりないんですがたまに的を得た事を言ったりするもんだから「あれ?繭美さん、今いいこと言ったよ?」というシーンもちらほら。結構物事冷静に見てるのね。
マツコ・デラックスのような繭美に対し(これって読んだ人は必ず思うよね?)、不思議なことに最後にはちょっと好感が持てたりなんかする。

5人の女性と付き合ってるなんてどんな色男?なんて思いますが、顔は整ってるとは言い難いけど個性ある顔立ち。不器用と言っちゃ不器用なんだけど世の中の計算が出来ない男性。よく言えば正直に生きていて、基本、優しい。それも計算ではなく持って生まれたもの。彼と付き合った女性たちからすれば惹かれる何か、あるいは興味が持てる好感オーラが出てるんだろうなぁ。なんとなくわかるような気がする。だって繭美自身にも興味を持たせたんだから。。といっても結局その優しさと正直さから5股してるわけだから決していい奴ではないんだよな~。

最後、一瞬だけ「そっちが目的だったの?!」と勘違いしてしまいそうな繭美が絡むシーンがあるのですが、このシーンはラストに繋がるためのシーンだったのね。。私はてっきり実は繭美の方が…なんて思っちゃったよ。

交際関係を全て精算し、毎日監視され、挙げ句には恐ろしい未知ともいえる場所へ連れて行かれるといった決して愉快な話ではないけれど、会話が軽妙で終わり方もどこか爽やかな風が吹いてる。なのでサラリと読めちゃう1冊。(まぁ結果はどちらに転ぶかわからず読者の想像に任すといった感じで、もしかしたら全然爽やかな結果じゃないかもしれないけど)

そう言えば今作品は他作品とのリンクがなかったような?あったかもしれないけど気付かなかった。確かに『伊坂幸太郎WORLD&LOVE!』に、「リンクさせることを常に考えて書くのは違うかなと思うように。今はあえてできるだけ入れないようにしている」という本人談があった!そっか、だから今作品には他作品とのリンクがなかったのね。納得。リンクもなければ伏線もほとんどない。それでも伊坂さんらしい今作品。面白く読めました☆

『「バイバイ、ブラックバード」をより楽しむために』という本も出ており、早速図書館に予約をしました。何が書かれているんだろう?裏話とか聞けちゃうのかしらん?早く手元に来てくれないと「バイバイ、ブラックバード」自体の内容を忘れそう~。

「伊坂幸太郎WORLD&LOVE!」

『伊坂幸太郎WORLD&LOVE! 稀代のストーリーテラーが構築する精緻な小説世界の全貌』

伊坂幸太郎WORLD&LOVE! (洋泉社MOOK)

 出版社:洋泉社 洋泉社MOOK






<感想>
副タイトルにある通り、伊坂幸太郎氏の小説世界の全貌が載っている雑誌です。


・伊坂幸太郎の世界
・映画公開目前!『ゴールデンスランバー』はこう読む
・最新刊登場!『SOSの猿』
・伊坂幸太郎作品刊行年表
・ずばり伊坂作品はこう読む!
・人気キャラクターランキング
・伊坂検定100問
・コラム
・伊坂ワールド作品間リンク!
・伊坂ワールドにふれる仙台散歩
・主要17作品徹底ガイド
・伊坂作品を30倍楽しむための小説・音楽・映画30作品
・単行本未収録作品ガイド どれ読んだ?まだまだあります伊坂作品
・ネタバレ注意!『ラッシュライフ』を徹底“解体”する  
等々
主要17作品徹底ガイドでは、ストーリー、キーワード、登場人物、心に残る名セリフ、一言説明などが書かれているので、伊坂さんのファンで全ての本を読んだ人はおさらい感覚、今から読もうとしている人には予習という感じでいいかも。
私は紹介されている17冊全部読んだと思うのですが、結構内容を忘れている本があるのでストーリーを思い出すことができまた読みたいなーなんて思えるのもあったり。あとその本に関連した映画やコミック本、登場する音楽、アイテムなども紹介されているので、本を読んだだけで満足していた私には新たな発見がいっぱい。

伊坂作品の魅力の一つとして作品間リンクがありますが、「リンクさせることを常に考えて書くのは違うかなと思うように。今はあえてできるだけ入れないようにしている」と09年にご本人が語ってるそうな。そうですよねー、読んでいる方は楽しいけどリンクを考えながら執筆していると本来書きたかった内容にも影響ありますもんね。ごもっとも!

あと伏線がちりばまれておりそれを回収していく様も魅力の一つですが、こちらも「自分が好きだからということよりも、読者に喜んでもらいたいから」なんだとか。いやー、ファンからの要望が高いと作家さんも大変だ…

「直木賞にまつわるエトセトラ」もなかなか興味深いです。2008年に伊坂さんが選考を辞退したのは記憶に新しいですが、その直木賞、選考委員に伊坂作品の魅力は通じないと洋泉社MOOKの編集部さんは書かれています。現在の選考委員はご年配(70~80代)の方が多数だそうで、年配の方は伊坂作品の感性に合わないんじゃないかと。そして唯一褒めてる北方謙三氏に対しては編集部さんは北方先生はえらい!と褒めてる(笑)。

でも確かに伊坂さんは「本屋大賞」では常連さん。これは一般の書店員の投票によるもので20~30代と比較的若い世代。要は伊坂作品は若い子の感性にマッチしてるってことなのかしらん。。
ファンもがっつりついてる大人気の伊坂さんが直木賞をもらうメリットは、伊坂さんの本を手にしたことがない40~50代男性も手に取るぐらいと。たしかにそうかもしれないですが、かなり伊坂さんに肩入れした内容になってます^^;この本の殆どが伊坂さんを肯定した内容になっているので、バイブル本というより崇拝本に近いかも。

でも全体的にわかりやすく説明してくれてるし単行本未収録作品ガイド、仙台散歩などもあるので読んでいて楽しい1冊。仙台に行ってロケ地巡りしたくなりました^^
この『伊坂幸太郎WORLD&LOVE!』を出版するにあたり、写真付き単独インタビューなどがあったらもっとよかったなぁ。過去の発言の抜粋もよいですが、今の声もちょっと聞いてみたかった。。ただ伊坂祭りのような褒めまくりのこの本に伊坂さんが単独インタビューに応じるとは…思えない(笑)。

感動したのが『モダンタイムス』に出てくるキーワード「播磨崎中学校」 「安藤商会」 「個別カウンセリング」を実際に同時検索すると、とあるページにたどり着くこと。怪しげなサイトと思いきや講談社さんの手の込んだサイトで遊び心満載♪

この1冊は知らないことが沢山載っておりなかなか勉強になりました!コミック化された本が読みたくなったり、DVD化されてるのを見たくなったり…。ますます伊坂ワールドにはまりそう~。

「素数たちの孤独」 パオロ・ジョルダーノ

『素数たちの孤独』   LA SOLITUDINE DEI NUMERI PRIMI

素数たちの孤独(ハヤカワepiブック・プラネット)

 著者:パオロ・ジョルダーノ (Paolo Giordano)
 訳者:飯田亮介
 出版社:早川書房 ハヤカワepiブック・プラネット 




<簡単なあらすじ>
双子の妹を公園に置き去りにしてから自責の念にかられ心に深い傷を負ったまま、まるで世界を拒否してるかのようで自傷癖があるマッティア。スキーで片足が不自由になったのは無理矢理スキーをさせた父親のせいだと憎み、心身ともに傷つき、世界に拒否されたかのように感じている拒食症のアリーチェ。孤独の殻に閉じこもった2人は高校で出会い、やがて恋とも友情ともつかぬ関係を育んでいく。大人になりそれぞれの道を歩む2人だったが、アリーチェがあるものを見たことをきっかけに再び出会う。久しぶりに会った2人は…

<感想>
イタリアで2008年、ストレーカ賞を受賞した作品(といっても私は初めて耳にする賞だけど^^;)。なんでも著者パオロ・ジョルダーノは史上最少の26歳、しかも処女作、さらに本職は物理学者ということで相当話題になったそうな。

この作品の映画化が第23回東京映画祭で上映されてるみたいで、少し前に某サイトで"原作はかなりいいらしい"と噂になっていたので借りてきました。映画の方は全くノーチェックだったので、詳細内容も著者についても予備知識なく読んだので"恥ずかしがり屋の2人の恋物語"ぐらいの軽い感じの本かと思いきや…

互いに心身傷を負い惹かれ合う2人。だけど心の奥深くにある孤独を完全にぶつけるはできずにいる。そんな2人の成長を交互にそれぞれの立場から描いた物語。暗い雰囲気になりがちな内容なんですが、どんよりしておらず意外と淡々としてる?2人が今のようになった原因、経過、それによって変わった生活、親・周囲のとの関係なども順序追って丁寧に説明してくれているので感情の変化がわかりやすく読みやすいかなーと^^

傷つけることも傷つけられることもなく、1人ですることができ、どれも同じ口調の教科書は選ぶ余裕を与えてくれるから勉強(特に数学)が好きになったマッティア。孤独→勉強好きになるとはこれはこれで将来が明るいなとちょっと的外れなことを思ってしまった(笑)。

そんな数学好きのマッティアは2人の関係をこう表現。以下引用

「素数は1とそれ自身でしか割り切ることができない。自然数の無限の連なりのなかの自分の位置で素数はじっと動かず、他の数と同じくふたつの数の間でおしつぶされててこそいるが、その実、みんなよりも一歩前にいる。彼らは疑い深い孤独な数たちなのだ。素数が普通の数の間に紛れているのはひょっとすると何かの間違いに過ぎず、ネックレスの真珠のようにそこにはまり込んで動けなくなってしまっただけでないか。あるいは素数だってみんなと同じ、ごく普通の数でいたかったのかもしれない。ただ、何かの理由でそうすることができなかったのではないか。
"双子素数"――隣りあったふたつの素数をいう(より正確に言えばほとんど隣りあった素数のペア)。ここで”ほとんど”と言うのは、このふたつの素数の間には必ずひとつの偶数があり、両者が本当に触れあうことを妨げているからだ。例えば11と13、17と19といった素数がそうだ。辛抱強くさらに数えていくと、先に進めば進むほどこうしたペアが滅多に現れなくなることが分かる。ひとつの素数から次の素数までの距離はますます遠ざかるが、数えるのを止めようと思ったまさにその時、そこでしっかりと抱きあっている新たな双子に出くわすのだ。」


なるほど、この関係の説明はわかりやすい。全ては自分自身で割り切る、自分の人生は自分で変えるもの、すなわち自分自身だけが解決への道を知っている。ということでしょうーか。そして2人は近くにいるが間に何かしらのものがあるためそれ以上ひっつくことはない。少し遠ざかっても、また存在が近くにやってくる。だが本当に触れ合うことは決してない。うーん、はがゆい。

1枚の手紙から数学に対し天才的な頭脳を持つマッティアは外国へ、一方アリーチェはカメラマン(見習い?)となり別々の人生を歩み始めるが、1枚の手紙でまた再び出会う。選択のきっかけはあるものの2人ともが今より一歩前へ出ることはない。心の中では進みたいと思っていても。こうしておけばよかった、会っている時に次はこうしようと思いはするものの実際行動を起こしたりはしない。次に何をすべきかわかっているんだけどね~。
とこのように時折、2人には決断を迫られる箇所があり、それぞれが決断した結果をみても素数な関係。だけどそれについてうじうじ思い悩むことはしない。そしていつもの生活に戻り…。こういうところがマッティアの言う素数のような関係なんだろうなー。逆のこの関係だからいいのかもしれない。そんな互いの存在が、結局のところ自分の殻を破るきっかけとなったりもするわけで。といっても2人の生活に今後、大きな変化はなさげかも…

2人とも両親との距離が随分あったのですが、年を重ね少しでも距離が縮んだ(縮もうとしている)のが救い。特にマッティア。アリーチェの方は自分のことでいっぱいいっぱいで、どちらかと言えば父親に対し恨み言を思う余裕がなくなったという感じ^^;
読み終えてこの作品は映画化にふさわしい作品だと確かに思いました。作中に舞台となる町の名は出てこないけどイタリア人が見ればわかるらしいトリノの町並みも堪能できそうだし、2人の成長過程を映像で観てみたいと思わせてくれる。映画祭での評判はどうなのかな?一般公開されるのかしら?

最後に:3で割れるかどうかを知るには各桁の数を足し合わせて3の倍数かどうか調べればいいらしい。これは勉強になった☆(一般的に知られてそうな法則なので今頃になって初めて知ったのがちと恥ずかしい…)

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